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洋書読書を継続する4つのアイデアと、Kindleハック3選

洋書読書を継続する4つのアイデアと、Kindleハック3選

「洋書を読む」のはハードルが高い?通訳者として活躍する川合亮平さんが、ユーモアたっぷりに洋書の魅力を語ります。第3回では、洋書体験を最大限に楽しみながら英語力(読解力)も最大限上げる方法について紹介します。

洋書を楽しみながら英語力アップする3つのアイデア

こんにちは、「洋書、読んでますかっ!」でおなじみの通訳者・川合亮平です。

洋書読書の魅力と攻略法をシェアする連載です。今回は最終回の第3回。第1回第2回も未読の方はぜひチェックしてみてください。

最終回は、

1.「洋書読書体験を最大限楽しむ」

2.「英語力(読解力)を最大限上げる」

この2つの要素を“同時に”高めるのに役に立つと思われるアイデアをシェアします。主なトピックは、

  • 継続のコツ
  • メディアミックスすることで楽しみを増す
  • Kindle活用法

 

の3つです。ピンとくるものがあったら試してみてくださいね。

今すぐ試してみてくださいね。

アイデア1:継続はパワーになる

酔拳の極意は「呑めば呑むほど強くなる」ですが、洋書は「読めば読むほど強くなる」であると実感しています。

「はぁ?強くなる?」と思われたかもしれませんが、つまり、読んだ分量に比例して洋書を楽しむ力が強くなるし、読んだ分量に比例して英語読解力が強くなる、ということ。だから、必然的に洋書読書を「継続」することが、洋書を楽しみ、英語力を高める上で、とっても重要な要素の1つとなってきます。以下、僕が効果を実感している洋書読書継続ハックをシェアします。

とにかく面白い本を選ぶべし

苦行・難行として洋書読書を自分に課している方以外は、「どうしても進んじゃう。やめられないとまらない」くらい自分にとって面白い一冊を選ぶことが大切(そしてそんな一冊は絶対存在する!)。具体的な選び方アイデアは第2回の記事に書きましたのでご参照ください。

読む量を決める

僕の場合、今のところ、「月に一冊(以上)読破」というのを大きな目安にしています。それを達成するためにまず、新しく手に取った洋書の総ページ数をチェックして、それを30日で割ります。すると、1日に読むべきページ数がわかります。そのページ数を目標に毎日読むようにしています。

毎日読み始める時、手の甲にボールペンでその日に到達すべきページの数字を書くと続けやすいです。例えば、250ページ目から読み始めるとして、その本の1日における目標ページ数が15ページだった場合、手の甲に265と書くんです。一気に15ページ読めないかもしれないけど、手の甲に書いてたら、その日の到達目標ページは一日中可視化できます(手を洗い過ぎない限りは)。こうすると、1日の細切れ時間でも読み進められる良いモチベーションになるんです。

進まないならキッパリ止める!

これは意外に大切なハックかもしれません。“せっかく”買ったんだから最後まで・・・という気持ちはわかるんですが、「洋書読書を楽しむ」「英語力を上げる」という2つの観点から見て、全然面白くないと感じる本を苦行的に読み続けるのはあんまり生産的ではないと思います。とはいえ、最初全然入り込めなくても、徐々に盛り上がってくる、という類の本もあるにはありますよね。

だから、最初は全然楽しめない本でも、例えば、全体の1/3までとか、1章をとりあえず読んでみる、とか自分の中で線引きすると良いと思います。ちなみに僕は2020年度、途中でやめた本は2冊ありました。そのうち一冊は最初の数ページで「あ、なんかちゃう」と思って諦めましたよ。

時間・場所を決める

洋書読書に限らず、継続させたいアクションの“いつ?”と“どこで?”を完全固定する、というのは習慣化の有効なハックです。例えば、毎朝家族が起きてくる前、居間で、とか。

アイデア2:世界がグンと広がるメディア・ミックス

本以外のメディアでお気に入り作品や作家に触れてみる、という発想です。そうすることで、読書体験に奥行きが出る、と個人的には感じています。具体的には、動画サイトや、ポッドキャスト、ウェブ記事などを通して、関連情報を得て楽しむ、ということですね。

僕は、長年のポッドキャストファンなので、例えばポッドキャストの検索エンジンで “Anthony Horowitz”と検索します。すると、(僕の大好きな著者である)アンソニー・ホロウィッツさんがゲスト出演しているポッドキャスト番組がずらっと出てくる(ちなみに、今メディアで公開されてる彼のインタビュー音源はほとんど網羅したんじゃないかな、僕)。

「英語リスニングに慣れてない」という方には音声メディアは少しハードルが高いかもしれません。でも、好きな作家さんや興味のある話題の英語音声なら、意外に集中して聞けるかもしれません。そして、集中して聞ける、ということはとりもなおさず、それが良いリスニング訓練になっている、ことを意味します。

上記のような著者名での一本釣り検索のほか、ジェネラルな“洋書情報”という括りで僕は以下のようなポッドキャスト番組をフォローしています。「面白そう!」と思える作品に出会えたり、「へ〜」と思うような雑学を知れる機会が少なくないです。

『Read On – The Audiobook Show from RNIB』

英国王立盲人協会が提供しているオーディオブック紹介番組。週1回更新。基本的には話題書(主に小説)の著者のインタビューで構成されています。

audioboom.com

『Shuggie Bain』Douglas Stuart

このポッドキャストの著者インタビューで知った一冊。2020年ブッカー賞受賞作です。僕が2019年夏に取材で訪れたスコットランド・グラスゴーが舞台ということと、一筋縄ではいかない時代背景の中、少年を主人公に家族愛が描かれているという概要にとっても興味を持っています。英語はちょっと難しめ、らしい。

(参照:僕のグラスゴー記事リンクはこちら→ペニーに首ったけ 〜グラスゴーのできたてビール

Shuggie Bain: A Novel

Shuggie Bain: A Novel

  • 作者:Stuart, Douglas
  • 発売日: 2020/12/15
  • メディア: ペーパーバック
 

『Simon Mayo’s Books Of The Year』

英国の有名ラジオDJサイモン・マヨさんがプレゼンター。その時々の新刊の著者をゲストに迎えたざっくばらんなトークショーです。

Simon Mayo's Books Of The Year

Simon Mayo's Books Of The Year

  • Ora Et Labora
  • Books
  • GBP 0

podcasts.apple.com

Better Off Dead: A Jack Reacher Novel』Lee Child, Andrew Child

トム・クルーズ氏主演で映画化もされた「ジャック・リーチャー」シリーズ。世界中にファンを持つ長寿小説シリーズです。著者は米在住の英国人リー・チャイルドさん(最新作はリーさんの後継者であるアンドリュー・チャイルドさんがクレジットされています)。リーさんがこのポッドキャストに出た回のエピソードが今も印象に残ってます。知る人ぞ知る話らしいんですが、リーさんは大のコーヒー好きで、執筆中は1日30杯以上のコーヒーを消費されるそうです。コーヒーメーカも常時2台用意していつでも飲めるように万全の体制を整えてるとのこと。これは大げさではなく本当の話だと本人が確証されてました。30杯はすごいなぁ。

Better Off Dead: A Jack Reacher Novel

Better Off Dead: A Jack Reacher Novel

 

『FUN KIDS Book Worms』

小学生からアーリーティーンを対象にした英国の音声メディアFun Kidsが配信しているPodcast番組の1つ。新刊の児童書・YA(ヤングアダルト)書の著者インタビューで構成されています。プレゼンターのベックスさんが陽気でナイスです。

www.funkidslive.com

アイデア3:Kindle活用しよう!

洋書を読むのに最適なのはフィジカル・コピー(実際の本)か、それともKindleなどの電子書籍か?人によって主張・意見が分かれる選択になると思います。

僕の個人的な答えは「まあ、どっちでもええんちゃいますか」です。自分で問題提起しておいて“どないやねん”なんですが、なぜかというと、フィジカル・コピーとKindle、洋書読書をする上ではどちらも長所・短所があると思っているからです。ただ、1つ言えることは、Kindleを頭ごなしに否定するのはとってももったいない!ということ。

例えば、

  • 片手だけで読める(ページがめくれる)
  • 薄く・かさばらない
  • 暗い所でも(バックライトがあるので)読める
  • 単語をワンタッチで調べられる

 

など、一般的な便利機能は周知の事実だと思います。それらに加え、案外知られてない洋書Kindleハックを紹介します。

リーズナブル・ハック!

一般的に、“本ほどコスパが高い商品はなかなかないよ”というのは僕の個人的な意見なんですが、Kindle書籍はフィジカル・コピーに比べてさらにリーズナブルなのが普通です。

Amazonで「ほしい物リスト」という機能がありますよね。本に限らず自分が気になる商品をリスト化できる機能です。僕は、気になる洋書に出会うと、この「ほしい物リスト」にその洋書のKindle版をすかさず登録するようにしています。なぜか?将来的に見返して自分へのリマインドにする、という一般的な使い方のほかにもう1つ理由があります。それは、「ほしい物リスト」の画面で、値段を安い順に並べてみるとわかります。自分が登録したKindle本の中で今どれがお値打ちかが一目瞭然になるのです。メカニズムはまったく分からないのですが、Kindle本って、突然ベラボーに値段が下がる期間がたまにあるんですよ。定期的にチェックしてると気になっていた一冊が超お値打ちで手に入れられる機会に出会える可能性があります。

川合亮平さんの「ほしい物リスト」


僕の目下の「ほしい物リスト」です。現状(4月下旬)、ベストセラーY.A小説『The Boy At the Back of the Class』のKindle版が瞬間的(?)に136円(!!!)になってます。

自動でマイ単語帳が作成される!

Kindleでワンタッチで調べた単語は、自動的に“Vocabulary Builder”に保存されます。

Kindle画面

それだけでも「なんて素敵な機能なのかしら」なんですが、まだまだ先があります。例えば僕が(いつか全然覚えてないけど)調べた”saunter”という単語。Vocabulary Builderに保存されていますので、それをクリックしてみます。

Kindle画面

Dictionaryのタブで、意味を確認できます。なるほど、はいはい、そういう意味なんだな。一方、右のタブ、Usageをクリックしてみると?

Kindle画面

僕がこれまで”sauntered”を調べたすべての記録が、本文の引用文と共に出てくるのです!この場合、今まで”sauntered”を3冊に渡って5回(も)調べたことが分かるわけです。

単語はいろいろな場面で出会うことが自然に自分の身になる1つの鉄則だと実感してるんですが、その“出会い”を改めてまとめて(しかもワンタッチで)確認することのできるこのKindleの機能はWonderful!の一言です。

調べなくても単語の意味を教えてくれる!

Word Wiseという機能も、快適で身になる洋書読書に一役買ってくれます。 

Kindle画面

この機能をオンにすると、難しいと思われる単語の上に、簡単な言い換え語が表示されるのです(つまり、調べる一手間が省ける)。しかも、難易度レベルが設定可能なので、自分がわからない単語の上だけに意味が表示される状態を作りやすくなります。これは超便利で使える。

さて、ちなみに僕自身は、フィジカル・コピーとKindle、どっち派か?その答えは「気分によりけり」です。フィジカル・コピーを実際に自分の手に感じる所有感は唯一無二だし、Kindleの便利機能には英語力向上のポテンシャルをひしひしと感じます。2020年度は8割くらいがKindleだったけど、今年2021年の割合はフィフティ・フィフティか、もしかしたらフィジカル・コピーの方が多くなりそう?な予感がしています。

今ここにあるワクワク感

洋書に限らず、“読書”というのは、能動的な活動です。能動的、というのは受動的の反対ですね。受動的活動(例えば、TVやスマホを見たりするなど)に比べて、能動的活動(例えば、読書)は、僕たち自身の努力が(少なからず)必要となります。でもその分、リワード(見返り)も大きくなる、というのが僕の個人的感想です。僕が敬愛する英国人作家アンソニー・ホロウィッツ氏曰く、

読書というのは実はものすごく創造的な活動なんです。大量の知的努力を必要とする活動です。読書している時、僕たちの脳はまず目の前にある単語を文にして、その意味を拾い上げる。その後、文のつながりから展開を構築し、場所を立ち上げ、登場人物たちを配していく。そして、想像力を駆使して、登場人物を感じ、理解し、物語を追っていく。このような一連の活動は、人間の創造力を大いに刺激し活性化させるものなのです。

あなたが素敵な一冊に出会えますように。

またお会いしましょう。

川合亮平でした。

川合亮平

川合亮平通訳者。エディ・レッドメイン、ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、エド・シーランなど、俳優・ミュージシャンの通訳・インタビューを多数手掛ける。関西のテレビ番組で紹介され、累計1万部を突破した『「なんでやねん」を英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・監修書は現在11冊。
イギリス関連の記事:https://www.british-made.jp/author/kawai