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初心者歓迎!あなたにぴったりな洋書を見つける8つの方法

初心者歓迎!あなたにぴったりな洋書を見つける8つの方法

「洋書を読む」のはハードルが高い?通訳者として活躍する川合亮平さんが、ユーモアたっぷりに洋書の魅力を語ります。第2回では、洋書の選び方8選をお薦めの書籍と共に紹介します。

【初心者歓迎】自分にぴったりな洋書の選び方

こんにちは、洋書エル・オー・エル・ヴィの通訳者川合亮平です。

僕が目下ハマっている洋書読書、その道中でみつけた洋書ハックなどをシェアする連載です。第1回は、洋書を読むことで得られる3つのメリットについて主に書きました。

今回第2回は、「川合さん、能書きはもう結構ですから、洋書の始め方・選び方を具体的に教えてください。洋書多読に興味はあるんですが、何から手をつけて良いかもわかりませんねん」、というあなたに向けて書いてみます。僕自身が実際に体験して、ある程度の成果を得ているアイデアを色々シェアします。気になるのがあったら、今すぐ試してみてくださいね。

そもそも「自分の英語力で洋書に挑戦できるのかな?」というあなたはどうする?

洋書を選ぶ時、その本の英語レベルを加味するのは大切なこととは思いますが、それと同じくらい(またはそれ以上に)大切なのは、自分が感じる“読みやすさ”だと思っています。英語レベルは“客観のレベル”、読みやすさは“主観のレベル”、という違いです。あくまで主観で、自分が好きなジャンルや、興味のあること自分が親身になれる話題基準に選ぶのが自分が読みやすいと思う本に出会う3つのキーだと感じています。

多少英語がひっかかっても、読みやすさがあれば、おおむね前進していけるものです。とはいえ「やっぱり英語自体が・・・」という方も少なくないかもしれません。そういう方は、多読の王道である「Graded Readers」を利用して、自分のレベルに合ったものを手にとって始めるとよいと思いますよ(注:「Graded Readers」は、世界各国のいろんな出版社から刊行されている英語学習者向けに英語レベル別に書かれた書籍シリーズの総称です)。

また、一応ご参考までに、僕の感覚的な目安をお伝えしておくと、今のあなたの英語力が例えば、英検2級程度、あるいは、TOEIC650-700点前後、それくらいであれば、いわゆる“普通のペーパーバック”に取り組む英語的準備は十分に整っていると思います。そもそも、1冊の本を100%完璧に理解する必要なんてないわけです(楽しみで読む分においては)。自分の母語で書かれた本でも、100%理解できているのか?と問われれば至極怪しいものですしね。とても大切な事実として、英語読解力は、英語を実際に読まないと上がらない、という理屈がありますし。そういう意味で、理解度が低い過程は誰もが通過する道、なんですよね。

まあとにかく、“楽しければオールOK”と僕は思ってます。

川合は何を最初に読んだか?

●『Tuesdays With Morrie: An old man, a young man, and life's greatest lesson』Mitch Albom

“日本人英語学習者が最初に読む洋書”の定番とも言える一冊ではないでしょうか?少なくとも25年くらい前はそうだった。今だと、この本もそうですけど、例えば『Wonder by P.J.Palacio』なんかが“最初の一歩”のテッパンの1冊に加わるのかなと思います。とにかく、当時僕の英語力は英検2級程度、TOEIC650-700点前後だったと記憶していますが、『Tuesdays With Morrie』、すごく楽しめましたよ。しっかり泣けるくらいは楽しめた。

Wonder

Wonder

  • 作者:Palacio, R J
  • 発売日: 2013/01/03
  • メディア: ペーパーバック
 

自分にぴったりくる洋書の選び方8選

僕がどのように洋書を選んでいるか(選んできたか)、8つの方法を紹介します。前述した通り、僕は、洋書読書体験はエンタメだ、と基本的には考えているので、自分の好きにトコトンこだわる、というのが選び方の前提としてあります。

いざ、血湧き肉躍る洋書を探す旅へ!

1.やっぱりベストセラーかな

ベストセラーだからと言って、自分が楽しめるかはまた別の問題ですが、とはいえ、売れ筋、というのは安心感を得られるものです。洋書の森の中で右も左も分からない時は、今、英・米で売れてる本は?を目安に選ぶのも大いにアリですね。そんなわけで、2020年の英・米での年間ベストセラーをAmazonで調べてみました。

それぞれ1位から10位まで、お国柄が反映されたランクで、意外にもクロスオーバーしてる本はありませんでした。

・・・・両国で3位ランクインのこの一冊を除いては。

️●『Where the Crawdads Sing』Delia Owens

かなり・・・面白そうです・・・。英語もそんなに難しくなさそうだし。僕の「読みたいリスト」に入ってます。

Where the Crawdads Sing

Where the Crawdads Sing

  • 作者:Owens, Delia
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: ペーパーバック
 

2.著者にこだわる

すぐには見つけられないかもしれませんが、自分が「これ!」と思えるような特定のジャンル・著者に出会うと、その後の選定がある程度ラクになると思います(逆にいうと、冒険しにくくなる、とも言えるかもしれませんが)。

僕は数年前、自分はライトなミステリーが好きなんだ、ということにはたと気づきました。いわゆる、”Whodunnit(フーダニット:「犯人は誰だ」)“というジャンルですね。ミステリーやサスペンスは、自分のレーダーの圏外だったジャンルなんですが、自分の好みって自分では全然把握していないものですね。人生の中で“好き”の数が増えるのは歓迎すべきことだと喜んでます。

●僕にWhodunnit/Murder Mysteryの魅力を教えてくれた一冊がこちら:『Magpie Murders』Anthony Horowitz

Magpie Murders: the Sunday Times bestseller crime thriller with a fiendish twist

Magpie Murders: the Sunday Times bestseller crime thriller with a fiendish twist

 

ゴールデンエイジのミステリをこよなく愛するアンソニー氏の渾身の一撃です。“普通じゃない”仕掛けに酔いしれてください。

※1920年代、30年代、英国で盛り上がったミステリのムーブメントを総称してゴールデンエイジ・ミステリ、といいます。アガサ・クリスティなどが牽引者として知られています。

3.シリーズにこだわる

一冊気に入って、それがシリーズ物だったら、次の一冊を選ぶ手間が省けます。気になるシリーズの第1巻をとりあえず読んでみる、というのも良いかもしれませんね。

●僕が今気になっているシリーズ物がこちら:『Nevermoor』Jessica Townsendシリーズ

ポスト・ハリーポッターとも呼ばれていて、シリーズは現在絶賛継続中、欧米ではかなり高い評価を受けています。ハリポタがそうであるように、基本は児童書なんだけど、老若男女が興奮できるシリーズとのこと。ちなみに、このシリーズのオーディオブックのナレーションは、英のコメディエンヌ・ジェマ・ウィーランさんが担当されてます。彼女はメガヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のヤーラ役でブレイクした役者さんです。僕は彼女の通訳を担当させていただいたこともあって、勝手に親近感を感じており、「ネバームーアシリーズ、読むか聴くかどっちにしようかなぁー」と考えてる最中です。

Nevermoor: The Trials of Morrigan Crow (English Edition)

Nevermoor: The Trials of Morrigan Crow (English Edition)

 

4.賞を取ってないとだめで賞?

文学賞を目安に選ぶ、というやり方。僕は特に文学賞の類にはまったく詳しくないのですが、英メディアでよく話題になるのは、ブッカー賞(The Booker Prizes)とか、コスタ賞(Costa Book Awards)とか。それぞれのwebサイトで最新の受賞作やノミネート作を見てみるのも楽しいと思います。コスタ賞には、Children’s Book Awardのカテゴリーもあるので、「英語が易しい・読みやすい」一冊を探している方は、特に役に立つカテゴリーかもしれませんね。

僕自身はあんまり賞にはこだわらないんですが、この1冊は、装丁デザインとそのタイトルに惹かれて手に取りました。

●2015年度ピュリッツァー賞フィクション部門の大賞:『All the Light We Cannot See』Anthony Doerr

今思い出しても胸がグッとなります。一生心に残る読書体験でした。ナチス・ドイツの少年兵と、パリの盲目の少女。激動の時代に翻弄される二人の運命は、別々のストーリーラインとして描かれていきます。その2つの物語がドラマチックに影響し合う様は絶妙、の一言。

5.児童書・ヤングアダルトを侮るなかれ

「英語の易しさ・読みやすさ」と「本格的な読書体験」、両方譲れない方は児童書・ヤングアダルト作品の世界にその答えがあるかもしれません。体裁としては児童・ヤングアダルト向けだけど、老若男女に強力なインパクトを与える力を持ったコンテンポラリー作品、世界的に大ヒットした定番作品、長年読み継がれるクラシック作品、の数は少なくないです。

固有名詞を挙げればきりがないと思いますが、僕が読んだことのある著者でいえば、例えば、ロアルド・ダール(『チャーリーとチョコレート工場』など)の世界観は個人的に大好きだし、フィリップ・プルマン(『ライラの冒険』シリーズなど)は、「いつかまとめてしっかり読まねば」と思ってます。そしてもちろん、ハリポタのJ.K.ローリングさんもですよね。前述した、『Wonder』R. J. Palacioもこのカテゴリーに入ると思いますが、英語も易しく、有意義な読書体験を味わえるので、個人的にめちゃくちゃオススメの一冊でもあります。

ちなみに、僕が初めて「I just can’t put it down!(面白すぎて読むのがやめられないよぉ!)」という経験をしたのはこの1冊:『Harry Potter and the Goblet of Fire』J.K. Rowling

ハリーポッターシリーズの4作目。クライマックスの高揚感が尋常じゃなかったぞ。

Harry Potter and the Goblet of Fire (Harry Potter 4)

Harry Potter and the Goblet of Fire (Harry Potter 4)

  • 作者:Rowling, J.K.
  • 発売日: 2014/09/01
  • メディア: ペーパーバック
 

6.映画・ドラマの原作にこだわる

気に入った映画やドラマが、小説を元に制作された作品だった場合、原作小説を楽しめる確率は低くないと思います。そしてその小説を仮に大いに楽しんだとしたら、同作家の別の作品も楽しめる可能性が高まります。そんなふうに1つの「好き」から数珠繋ぎに世界が広がっていくのはとてもすてきなことだと思うわけです。

『Little Fires Everywhere』Celeste Ng

今、日本のAmazonプライムで見られる、2020年の米ドラマ『リトル・ファイアー〜彼女たちの秘密』の原作であるベストセラー小説です。2020年の夏頃、主演のリース・ウィザースプーンさんにインタビューするかもしれない、ということでちょっと慌ててこの本を(オーディブルで)読了しました。結局インタビューは敢行されなかったけど、何もなければチョイスしない類の本をじっくり楽しめたので、僕としては結果オーライでした。ちなみにドラマは今の所未見です。

Little Fires Everywhere (Movie Tie-In): A Novel

Little Fires Everywhere (Movie Tie-In): A Novel

  • 作者:Ng, Celeste
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: ペーパーバック
 

7.パラパラめくってみる

「読みやすい」本を選ぶコツです。実際に本を手にとってパラパラめくってみて、余白(スペース)が目立つ本は、一般的に読みやすい傾向にある。そしてその逆もしかり。

なぜか?がっちりした描写文や説明文に比べて、会話シーンというのはおおむね読みやすいものですが、会話シーンが多いと、ページをパラパラ開いた時の見た目に余白が目立つ傾向にあるからです。

8.海外のネット書店を活用する

英・米のAmazonの「この本を買ってる人はこれも買ってるよ」とか、「この本を見てる人はこの本も見てるよ」というアルゴリズムのオススメから次の一冊を探す、というやり方です。日本のAmazonだと、洋書購入者数が限られているからだと思いますが、チョイスも限られたものになってます。

でも、英・米のAmazonサイトでは、より広い範囲でおすすめを提示してくれるので、僕はかなり参考にしています。あと、英のBook Depositoryというネット書店ではなんと“送料完全無料”で日本から購入可能です。より気軽に、ネットで洋書を購入したい人にとってはなかなか使える存在だと思いますよ。

www.bookdepository.com

いかがでしたでしょうか。今回の連載第2回では、主に洋書の選び方についてあれこれシェアしてみました。洋書の世界への入口でまだ躊躇してる方には、「上記を参考にしてとにかく一冊入手してください」と、いつになく強くオススメしたいと思います。

次回の第3回(最終回)では、洋書の続け方のコツ、そしてKindleハックなんかもシェアしたいと思います。

川合亮平でした。

 

次回は2021年5月20日(金)に公開予定です。

川合亮平

川合亮平通訳者。エディ・レッドメイン、ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、エド・シーランなど、俳優・ミュージシャンの通訳・インタビューを多数手掛ける。関西のテレビ番組で紹介され、累計1万部を突破した『「なんでやねん」を英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・監修書は現在11冊。
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