短期集中、わずか1カ月で英語がスラスラしゃべれるようになるというトレーニング本を紹介します。みっちり練り上げられた体育会系プログラムと脱力系のイラスト。このギャップがたまりません!
例文のイラストが印象的すぎる
本書をパラパラとめくったとき、パッと目に付くのは例文のイラストだと思います。 どのイラストも、インパクトがありすぎる んです。
例えば、I'm looking forward to seeing you.(私はあなたに会うのを楽しみにしています。)という友好的な例文のイラストがこちら。
そういう解釈もありましたか・・・。「カチャッ」というリロード音が聞こえてきそう。会ったあとが怖いです。
ごくありふれた What do you do?(ご職業は何ですか?)という例文も、本書ではこんな感じに。
これはいわゆる職質ですね。以前、知人の男性(腰までの長髪&パーマ、口ひげあり)が、「大きな事件のあとに渋谷や新宿を歩いていると、5メートルおきくらいに職質がかかるのでなかなか進めない」と言っていたのを思い出しました。
続いてこんな例文も。
確かに、I'm in the kitchen.(私はキッチンにいます。)という例文の通りなんですが・・・。
この手のシチュエーションを目にしますと、私などはどうも、金嬉老事件とか豊田商事事件とかを思い出してしまいます。嗚呼、昭和は遠くなりにけり。
どうも荒っぽいイラストばかりを紹介してしまいましたが、ほのぼのするのもあります。
Is there a restroom near here?(この近くにお手洗いはありますか?)という、海外旅行でもよく使いそうな例文がこちら。
間に合わなかったんですね・・・。
本書にはこんな調子で、100題+アルファの例文が掲載されています。いずれもインパクトがスゴイ。なにかとコンプライアンスにうるさい昨今、勇気のある編集 方針 です。 とりあえず 印象に残るということでは、傑出していると言えるでしょう。
単なる例文集じゃない!話せるようになるプログラム
この本のもうひとつの特長は、 1カ月で成果を出す、綿密に練り上げられたプログラム 。ただ単に、脱力系のあるイラストを見て笑う本ではないのです。このギャップが魅力的!
覚える例文は中1、中2レベルで、しかもわずか100題ですが、これで十分。この絞り込んだ例文を、3つのステップで1カ月かけて反復練習し、身体に刷り込みます。
Step1 基礎トレーニング(16日)1日の学習時間は90分。しかも、やることはみっちり決まっています。こちらはStep1の学習スケジュール。費用対効果の高い100例文を、反復トレーニングでマスター。どの英文も中学レベルのごく簡単なものなので、難しいということはありません。著者からは「本書でも難しくて読みすすめられないということでしたら、英会話の勉強は諦めたほうがいいとまでいえます。」という容赦のないコメントが。
Step2 実用化トレーニング(9日)
「自己紹介」「仕事の紹介」「好きなこと」など、トピックごとに1分間ひとりでしゃべりまくるトレーニング。Step1で覚えた例文をフル活用します。
まずは3分かけてしゃべる内容を考えます。続いて、1分しゃべり続けたら、次は2分間でふり返り。このふり返りタイムが「今あるものだけでしゃべり倒す力」をアップさせるそう。
自分がしゃべっているところを動画撮影し、声の大きさや話し方もチェックします。
Step3 仕上げトレーニング(3日)
プログラムの仕上げとして、知っているだけで会話がスムーズにつながる30のフレーズをマスターします。
How have you been?(お元気でしたか?)、I guess so .(そうかもしれません。)など、簡単なものがほとんどですが、これらがサッと口から出てくるようになれば、英語がしゃべれるだけでなく、「コミュニケーションが取れる人」になれます。
1カ月間(厳密には28日間)、お休みなし。なかなかハードなトレーニングですが、著者からは 厳しい お言葉が。
1か月間は、本書の英会話トレーニングをやり切ると決めてください。1か月も打ち込めないようなら、一生かけても英語をしゃべれるようにはなりません。おっしゃる通り。長い人生の中のわずか90分!わずか1カ月です!ここで本気にならないで、いつなるのでしょう。
よく言えば長年、はっきり言ってダラダラと英語学習を続けてきた人(私もです)は、ここで思い切ってギアを上げてみてはいかがでしょうか。
著者はどんな人?
著者の船橋由紀子(ふなばし ゆきこ)さんは、英語学習コーチとして、11年間で4,500人以上の英語学習者をサポートしてきました。一方で、コンテストの全国大会に出場するほどの筋トレ愛好者でもあります。
スパルタ英語コーチにして筋トレ愛好者(この2つは相関性がありそうですが)。そしてあのイラストをよしとするお笑いセンス・・・。著者の船橋さん自身もギャップに満ちていますが、そこが魅力かもしれません。
船橋さんによれば、英会話と筋トレには共通点があるそう。それは、「 いろんなメニューをたくさんこなすよりも、同じものを繰り返すという『反復』の方が効果が出る 」ということ。
いろんな本や教材に手を出しては挫折している(私のような)人にとっては耳が痛いところですが、ここはひとつ、思い切って本書を手に取ってみてはいかがでしょう。1カ月後には、「英語で話せる自分」に生まれ変わっているかも!?
船橋由紀子さんの連載はこちらから
ej.alc.co.jp尾野七青子 都内某所で働く初老のOL兼ライター。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
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