英語で「心の動き」を理解できれば、あなたのリスニング力はさらに向上する

連載「?ハマる”リスニング道」(全3回)では、オンライン英会話スクール「Inspire English」の学習アドバイザーであり、舞台役者として演劇に身を捧げていた経歴を持つAzusaさんが、物語を楽しみながらリスニング力を向上させるオーディオドラマの活用法についてご紹介します。海外の映画やドラマを観るのは好き、だけど英語学習のリスニングは苦手・・・そんな方にぴったりの学習のヒントがあるかもしれません。

皆さん、初めまして。Azusaです。連載を始めるに当たり、少しだけ自己紹介させてください。

私は現在、Inspire Englishというオンライン英会話スクールで学習アドバイザーをしています。またブログなどを通じて英語学習法の発信をしています。今でこそすっかり「英語の人」となっていますが、30代半ばまでは「演劇の人」でした。思うところあって英会話スクールに通い始めたらあっという間に英語のとりこになり、ここで連載させていただくまでに至りました。

私にとって演劇は身近な存在なのですが、自分の意思で劇場に足を運んだ経験のある方は 少ない のではないでしょうか。映画館に比べて敷居が高く、難しい作品を上演しているイメージがありますよね。しかし英語圏、特にイギリスやアメリカでは、表現力・想像力・コミュニケーション力などを高める手段として学校教育に演劇(ドラマ)が取り入れられているくらい身近な存在なんです。

この 表現力・想像力・コミュニケーション力って、英語力、特に会話力を高める上で非常に大事なスキル ですよね。「じゃあ英語学習に演劇を取り入れてしまおう!」と思い立っても、英語劇に出演するというのはなかなかハードルが高いと思います。

ところが、 演劇のメリットを英語学習に取り入れる手段が身近にあるんです! それがこの連載でご紹介するオーディオドラマです。

オーディオドラマとは?

オーディオドラマは、声と効果音だけで演じられるドラマです。ナレーションが入ることもありますが、基本的には俳優のセリフと演技から状況をイメージし、物語を味わいます。映像がないからこそ、 耳に意識を集中させ、自由に想像を膨らませて楽しむことができる のが、オーディオドラマの醍醐味(だいごみ)ですね(私も一度NHKのラジオドラマに出演させていただいたことがありますが、声だけで感情からシチュエーションまですべてを表現するのはとても難しかったです)。

英語学習者にとってなじみのあるオーディオドラマは、NHKで放送されていた『リトル・チャロ』シリーズではないでしょうか?飼い主である翔太とアメリカではぐれてしまった子犬・チャロが、日本に帰り翔太と再会するために奮闘する物語です。現在はテレビアニメ版がリピート放送されていますね。

私は、英会話スクールに通い始めた当初、中学英語もまったく出てこない自分に困り果て、「何とか楽しく英語を思い出したい!それも使える形で!!」という期待を込めて『リトル・チャロ』シリーズを使い始めました。CDを買って外出時はひたすら『リトル・チャロ』を聞き込み、本も買って聞き取れないところを確認。そのうち動いているチャロも見たくなり、DVDをレンタルして楽しみました。英語で物語を理解し、泣いたり笑ったりできたという経験は、私が英語にハマった きっかけ の一つです。

オーディオドラマで英語学習をするメリット

オーディオドラマを英語学習に取り入れるメリットには、以下の5点が挙げられます。

  • リスニング力が伸びる
  • 単語やフレーズと感情が結び付く
  • 自然な英語表現に触れられる
  • 美しい発音が身に付く
  • 時間を 有効 活用できる
 

順番に詳しく説明していきますね。

リスニング力が伸びる

当然のことではありますが、聞き取りに集中できるオーディオドラマはリスニング力の向上に役立ちます。

われわれがコミュニケーションを取る際、「ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)」が大きな役割を担っています。中でも、表情・顔色・視線・身振りなどの視覚情報は、話し手の感情を読み取る上で非常に大切な要素です。

逆に視覚的手掛かりのないオーディオドラマは、言葉と声のみにすべての注意を傾けてストーリーを味わいます。登場人物の心の動きも、シチュエーションの変化も、すべては耳で理解する必要があります。しかも単語や文章の意味を理解するだけでなく、 人間関係を 整理 しながら覚え、状況をイメージし、キャラクターの心情を想像しながらストーリーの流れを追い掛ける ことを 同時に 行わなくては、ドラマの世界に浸ることはできません。また、多少意味がわからない単語や聞き取れないフレーズがあったとしても、 話の流れや登場人物の話し方などから推測する力 が試されます。

つまりオーディオドラマでは、そのストーリーを楽しむ過程で自然と負荷をかけたリスニングトレーニングができるのです。

単語やフレーズと感情が結び付く

音声だけですべてを伝えるオーディオドラマの俳優の声には、非常に豊かな情報が乗せられています。単語帳などの文字から学んだ単語は、英単語と語義がワンセットになった無機質な情報としてストックされていきがちです。しかし、オーディオドラマでそれらの単語に出会うと、 心の動きやシチュエーションと結び付いた生き生きしたボキャブラリーに変わる のです。日本語訳から離れ、言葉の豊かなイメージを取り込むことで、自分がその単語を使うときにも、気持ちに寄り添った言葉になります。

オーディオドラマを通じて、母語でない英語が、情報だけでなく心と心のやりとりの手段に変化していくのを実感できるはずです。

自然な英語表現に触れられる

会話のみで物語が 展開 していくオーディオドラマは、 自然な英語表現の宝庫 です。何度も聞いてまねすることで、さまざまな英語表現を身に付けることができます。

またプロの脚本家が書くセリフですので、ストーリーによっては洗練された美しい表現に出合うこともできますよ。

美しい発音が身に付く

オーディオドラマに出演しているのはトレーニングを積んだプロの俳優たちです。特にイギリスやアメリカは日本に比べて俳優の教育機関が整っていますので、発音も専門のレッスンを受けている方が多いです。そのため、オーディオドラマではとても美しい発音を聞くことができます。

そして、そんなオーディオドラマを シャドーイング素材に使って徹底的にまねすれば、きれいな発音に近づく ことができるんです。

有効 活用できる">時間を 有効 活用できる

学業や仕事、家事、育児と何かと忙しい日々。英語を勉強したい!と思っても、机に向かうまとまった時間を毎日確保することはなかなか難しいと思います。その結果、頑張りたい気持ちはあるものの、継続できずに英語学習そのものを諦めてしまう方もたくさんいらっしゃいます。

そんな方には、隙間時間をかき集める学習がおすすめです。

手や目は空けられなくても、耳は空いている時間って結構あるんです。朝の身支度中、掃除やお料理をしながら、通勤の車内、お風呂の中など、時間をかき集めれば1、2時間をリスニングに充てることができます。英語学習のすべてを集中的に行う必要はありません。こうした 隙間時間を上手に使って英語に触れる時間を増やす というのも、無理なく英語学習を継続するコツですよ。

今回は楽しく英語力を伸ばせるオーディオドラマの魅力をご紹介しました。次回からは、 具体的な オーディオドラマ学習法と共に、無料で聞けるお薦めの作品をご紹介します。お楽しみに!

★リスニングを学ぶためのおススメ参考書3選はこちら!
次回は2021年4月8日に公開予定です。

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河村梓 人生を演劇に捧げ英語とは無縁の生活を送っていたが、30代半ばで婚活のために英会話スクールに通い始める。英語愛が高じて、1年目に1年目にTOEIC(R) L&R 855点を取得。その後英検準1級、TOEIC(R) 955点、英検1級とステップアップ。現在はInspire Englishで学習サポートを担当。ESAC認定 英語学習アドバイザー(ジュニア)。
崖っぷち舞台役者が婚活を始めたら英語がペラペラになりました

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