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ロバート・ダウニー・Jr.になりきって、楽しく英語発音トレーニング!

ロバート・ダウニー・Jr

写真:ロイター

「あの海外セレブのように英語が話せたら・・・」と思ったこと、ありませんか?動画を見て「なりきり英語発音トレーニング」をしてみましょう。日本人向け英語発音矯正塾の代表である明場由美子さんが、世界中にファンを持つ人気俳優、ロバート・ダウニー・Jr.になりきるコツを紹介します。楽しみながら、美しい発音を手に入れましょう。

英米アクセントの両方を自在に操るロバート・ダウニー・Jr.

こんにちは。イングリッシュブートキャンプ代表の、Yumiこと明場由美子です。

発音矯正を中心に、25年以上にわたり英語教育に携わってきました。読者の中には、私のYouTubeチャンネル「Yumi’s English Boot Camp」をご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。日本人英語学習者に向けて、発音や学習のヒントを発信しています。見たことがないという方はぜひ、一度ご覧いただけるとうれしいです。

さて、ENGLISH JOURNAL ONLINEでは「発音」をテーマに海外の著名人の英語を取り上げ、その癖や特徴などを解説していきます。日本でも人気のスターの話し方をまねして、なりきってしまおう!という楽しい企画です。ぜひあなたも挑戦してみてください。

前回のアン・ハサウェイに続き、今回取り上げるのは、「アイアンマン」や「シャーロック・ホームズ」シリーズでおなじみの俳優、ロバート・ダウニー・Jr.です。ロバートは映画監督だった父親の元、幼少期からニューヨークやロンドン、パリ、カリフォルニアなどを転々として育ちました。そういった生い立ちもあり、英米アクセントどちらも自在に操ることのできる稀有(けう)な俳優です。普段の会話は標準的なアメリカ英語で、クリアな発音で英語学習のお手本にはもってこいと言えるでしょう。

なりきりポイント1:句動詞bring it onの発音に注目

まずはBBCラジオから、子どもたちの質問に答えるロバートの英語を見ていきましょう。どんな質問が来てもちゃんと答えてくださいよ、という司会者に対してこう返しています(0:25頃~)。

I live for this. Bring it! Bring it on!

I live for thisのliveのところを強調して言っていますね。こういうときのために生きている、つまりこういう質問には燃える、と言っているわけです(笑) 。ちょっとお茶目な感じで、liveにストレスを置いて言ってみましょう。

Bring it on!(かかってこい!)と挑発するロバートですが、このbring it onという句動詞の発音に注目です。句動詞とは動詞+副詞(前置詞)の組み合わせで、日常会話で多用されます。発音のポイントは、副詞にストレスが乗ることです。ここでは副詞のonがいちばん強く発音されています。リズムは、タン・タ・タ~ン。itを強く言わないようにしましょう。また、英語は子音と母音がつながります。これをリエゾン(またはリンキング)と言いますが、"bring-i-ton"と音がつながるため、ブリンギド~ンのような響きになっています。

次は、こちらのフレーズ(1:53頃~)。

Isn’t that somethin'?

アイアンマンの役作りについて話しているときにこの表現が出てきます。「それってすごいよね」という決まり文句ですが、ここでは子音が弱化しています。こういった音の弱化をリダクションと言いますが、話し言葉にはつきものなので知っておく必要があります。

まず、isn’tのT、続くTHが弱化しています。また、thatの語尾のTは舌先で弾かずに息をせき止めるだけ(これをstop Tと言います)なので、イズナッと聞こえます。語尾のTは破裂させずにストップ、と覚えておきましょう。

thatやsomethingのTHですが、ロバートの口元を見ればわかるようにほとんど舌が見えません。THと言えば舌を噛む、と思っていませんか?もちろん、しっかり舌先を歯より前方に出して発音することもありますが、口の中で軽く発音することもあるのです。ここではどちらもTHの音が弱化しており、カジュアルでクールなアメリカ英語という感じですね。

また、somethingがリダクションされ、somethin'になっています。カジュアルな会話では、~ingのgが落ちることがよくあります。nothingがnothin'、goingがgoin'になったりします。

なりきりポイント2:付加疑問文のイントネーションに注目

さて、次はロバートと妻スーザンのお宅拝見動画です。壁に貼った鹿のポスターを指さしながら、ロバートはこう言っています。(0:34頃~)

This one was, uh, when it all started.

this one(これが)を強めに言っていますね。このポスターがすべての始まりだった、ということで強調しているのがわかります。wasの後に少し間があり、uhと言いよどんでから、when it all startedと一気に言っています。このwhen it allですが、it、allが母音で始まるため直前の子音とリエゾンし、ウェニド~のようになっています。先ほどのbring it onと同じで、子音と母音が繋がっているのがわかるでしょう。また、ここでもtがdのような音に変化していますね。all startedにストレスを乗せ、when itの部分は短く速く言いましょう。リズムは、タ・タ・タ~ン・タ~ン。

今度は、実兄のジョーに向かって言ったこちらのフレーズを見てみましょう(1:24頃~)。

You’re very pleased with this place, aren’t you?

ここでのポイントは、ロバートのイントネーションです。最後にaren’t youが付く、いわゆる付加疑問文ですが、これは相手に「~ですよね」「~ではないですよね」と確認を求めるときによく使われます。ところがaren’t youのところで語尾が上がっていません。つまりロバートは、ジョーに確認を求めているわけではなく、ほぼ決めつけた感じで言っているのです。デザイナーのお兄さんに、「この家の仕上がりに物凄く満足してるんだろ、わかってるよ」と言っているわけです。それに対してお兄さんも“Yes, I am.”(そうだね)と答えていますね。

aren’t youの発音ですが、aren’tのtとyouのyがリエゾンしてアンチュとなると、学校で習った人も多いのではないでしょうか。tとyがリエゾンするとchになり、チュという音に変化します。ほかにも例えば、don’t youがドンチュ、can’t youがキャンチュ、get youがゲッチュなどがあります。けれどもここでは、aren(t) youというように、tはストップがかかっていてyouと音が繋がっていません。ア~ンユ、と聞こえますね。tとyは必ずしもリエゾンするというわけではなく、tがストップTになることもあるというのを覚えておきましょう。

もう一つ、最初のYou’reにはストレスを置かないようにしましょう。You areは短縮されてYou’reとなり、発音はyourと同じです。短く軽くヨァと発音してください。ユー・アーと2拍取らないこと。You’re、We’re、They’reはすべて、ヨァ、ワァ、ゼァ、と1拍で言うのが自然なリズムです。

英語はリズムがとても重要な言語

英語はリズムがとても重要な言語です。ストレスの乗る箇所はタン、タンと長い拍子を取り、ストレスの乗らない箇所はタタタと短く軽く発音することが、英語を英語らしく話すためのポイントです。ストレスが乗るのは、名詞や動詞、形容詞、副詞といった重要な意味を持つ品詞です。対して、冠詞や前置詞、接続詞、代名詞などの繋ぎの言葉にはストレスが乗りません。

日本語はどの音も均等な拍子で話す言葉なので、つい英語も同じ感覚で話してしまいがちです。英語らしいリズムや抑揚を意識しながら、ロバートになったつもりでフレーズを練習をしてみてください。表情や声音まで真似することで、気分も盛り上がるのでおススメですよ。鏡を見ながらポーズを取って、ぜひやってみてください。

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明場由美子

明場由美子英語コンサルタント、著者、YouTuber。 2010年より日本人のための英語発音矯正塾イングリッシュブートキャンプを主宰。 YouTubeチャンネルは登録数13万6千人超(2021年1月現在)。 著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』(実務教育出版)がある。
Yumi's English Boot Camp:http://englishbootcamp.jp/