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アン・ハサウェイになりきって、楽しく英語発音トレーニング!

アン・ハサウェイになりきって、楽しく英語発音トレーニング!

写真:ロイター

「あの海外セレブのように英語が話せたら・・・」と思ったこと、ありませんか?動画を見て「なりきり英語発音トレーニング」をしてみましょう。日本人向け英語発音矯正塾の代表である明場由美子さんが、世界中にファンを持つ人気俳優、アン・ハサウェイになりきるコツを紹介します。楽しみながら、美しい発音を手に入れましょう。

アン・ハサウェイは標準的なアメリカ人女性の話し方

こんにちは。イングリッシュブートキャンプ代表の、Yumiこと明場由美子です。

発音矯正を中心に、25年以上にわたり英語教育に携わってきました。読者の中には、私のYouTubeチャンネル「Yumi’s English Boot Camp」をご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。日本人英語学習者に向けて、発音や学習のヒントを発信しています。見たことがないという方はぜひ、一度ご覧いただけるとうれしいです。

これから、前編と後編の2本の記事で、「発音」をテーマに海外の著名人の英語を取り上げ、その癖や特徴などを解説していきます(後編は2021年1月29日公開予定)。日本でも人気のスターの話し方を真似して、なりきってしまおう!という楽しい企画です。ぜひあなたも挑戦してみてください。

前編となる今回の記事で取り上げるのは、『プラダを着た悪魔』や『レ・ミゼラブル』などでおなじみのアン・ハサウェイです。

ニューヨーク出身のアンの英語は、おおむね標準的なアメリカ人女性の話し方と思っていいでしょう。ニューヨーカーは早口だと言われますが、アンもやはり若干走るように速く話す傾向があります。この怒涛のように「ダダダダッ」と話すタイプの人を前にすると、まるで機関銃みたいだとひるんでしまうこともあるかもしれません。

けれども、アンは滑舌がいいので、聞き取りづらい話し方というわけではありません。英語はリズムの言語なので、英語の持つリズムに慣れることが重要です。

では、実際にアンの英語を深掘りしていきましょう。

なりきりポイント1:ストレスの位置

BuzzFeedの動画“Anne Hathaway And Rebel Wilson Interview Each Other”から、彼女の話し方の特徴を見ていきましょう。

ニューヨーカーのアンと、オーストラリア人のレベル・ウィルソンとの丁丁発止(ちょうちょうはっし)の会話が楽しい動画です。お互いに質問し合いながら答えていますが、「もしも俳優になっていなかったらどんな仕事に就いていたか」という質問に対するアンの答えがこちら(1:56頃~)。

I’d love to think that I would do something to kind of help people, but in reality,  I probably would have become a teacher.

まず、英語を話すときに押さえておくべきポイントは3つあります。

1つはストレスの位置。ストレスが乗る箇所が長めの1拍、乗らない箇所は軽く短い拍です。これが英語特有のリズムを作っています。英語は1にリズム、2にリズム、3、4が飛んで5にリズムと言っていいほど、リズムがすべての言語です。

ストレスが乗るのは文の中で意味を表す重要な語、つまり動詞や名詞、形容詞、副詞などです。ここではlove, think, do, something, help, people, reality, probably, become, teacherにストレスが乗っています。

最初のI’dにはストレスが乗らないため、loveから入ります。人称代名詞にはストレスを乗せません。I’dから入ってしまうと英語のリズムが崩れます。

このI’d love to thinkの部分が「ンパッンパッ」となっていて、これがいわゆる英語のリズム、「裏拍」です。

続くthat I would が「タタタ」と軽く速く、do somethingで「ダン・ダン」とまたストレスが乗ります。

kind of は「~とか」「~みたいな」といった繋ぎの言葉なので、さらっと言っていますね。

ここではhelp people(人の役に立つ)が言いたいことなので、やはり「ダン・ダン」と強く言っています。日本語は「タタタタ」と一律なリズムですが、英語は不規則なリズムで話すのです。

なりきりポイント2:リエゾン(リンキング)

英語を話すときに重要な点2つ目は、リエゾン(リンキング)です

英語は音が繋がる言語です。たとえば、that Iやkind of は「ザット アイ」ではなく「ザダイ」、「カインド オブ」ではなく「カインドヴ」となっています。子音の後の母音は繋がるのが英語です。音が切れるのは、息が切れたときか言いよどんだときです。

ここでは、アンはbutの後で息継ぎをしています。耳を澄ましてよく聞いてみてください。アンの息が聞こえるはずです。butまでは一息で話しています。「人の役に立つことを何かできればいいんだけど・・・(でも現実的にはなかなか難しい)」という感じですね。

その後のin realityのrealityは強めにゆっくり言っています。人の役に立つことがしたいけど現実的に考えるなら、と前置きしておいて、その後一気に言い切っています。ここが「速い」と感じる人は多いのではないでしょうか。速く感じる原因は、音がはしょられているせいです。

なりきりポイント3:音の脱落・弱化

というわけで、重要ポイント3つ目は、音の脱落・弱化(リダクション)です

「世の中の役に立つことがしたいけど、実際にはたぶん教師になったと思う」と言うアンですが、probablyが“probly”と発音されています。会話では音が落ちることがよくあります。

またwould haveは短縮されて“wudv”となります。仮定法によく出てくるwould have, should have, could haveはそれぞれ、“wudv” “shudv” “cudv”となります。“pro-bli-wudv”と、3拍で言うようにしましょう。

字面と音が合っていないため、最初は違和感があるかもしれませんが、英語はそういう言語だと割り切って慣れるようにしましょう。

次は、「レベルの才能が凄い」というエピソードを、アンが臨場感たっぷりに話しているところです(3:01頃~)。

I’m gonna pull this joke out of the air. I’m gonna pull this joke out of the air. You’re just so good at it.

gonnaはbe going toの短縮形ですが、これは知っている人も多いのではないでしょうか。

動詞のpullにストレスが乗るので、aim-go-na-PULL(タ・タ・タ・タン)というリズムを意識しましょう。

また、joke out ofは音が繋がって、“jo-kou-da”となっていますね。前置詞のofは会話ではリダクションし、またtはアメリカ英語ではdのような音になるため、out ofがoudaとなります。good at itもリエゾンして、“goo-da-dit”となっています。

次から次へと天から降ってくるかのようにジョークが出てくるレベルの才能に、ひれ伏す思いだったと言うアン。so goodに気持ちを込めて、ストレスを「ダン・ダン」と乗せましょう。

ネイティブの英語を真似するときは、声色やトーン、表情まで真似してなりきることです。言葉は感情を伝えるツールです。ただ音をコピーするだけではなく、気持ちも込めましょう。

また、ここは一度も息継ぎしていませんね。感情を入れて一気に言うのがポイントですよ。

後編もお楽しみに!

さて、人気ハリウッドスターのアン・ハサウェイの英語を見てきましたが、いかがでしたか。ここで解説したポイントを押さえつつ、何度も声に出して練習してみましょう。

自分の声を録音して聞き比べてみるのも発音上達に効果的です。自分の英語を聞くのは最初は苦痛かもしれませんが、そのうち慣れるので大丈夫です。

ぜひ、試してみてください。

後編はこちら!

ej.alc.co.jp

特集「超・発音トレーニング」をEJ2月号でチェック!

明場由美子

明場由美子英語コンサルタント、著者、YouTuber。 2010年より日本人のための英語発音矯正塾イングリッシュブートキャンプを主宰。 YouTubeチャンネルは登録数13万6千人超(2021年1月現在)。 著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』(実務教育出版)がある。
Yumi's English Boot Camp:http://englishbootcamp.jp/