「低炭素社会」って英語でなんて言う?中国のCO2実質ゼロ目標にIEA事務局長が具体策を求める

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

9月の国連総会で、中国が2060年までにCO2の排出を実質ゼロにするという目標を発表しましたが、これ に関して IEA事務局長が電話取材に応じて具体策を求める発言をしたというニュースです。

China’s target of virtually zero CO2; “ Concrete measure :” IEA director general

中国のCO2実質ゼロ目標「具体策を」IEA事務局長

2020年10月26日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

Which of the following is true?

(A) In 2019, China had the largest CO2 emissions of any country.
(B) In 2019, China had the least CO2 emissions of any country.
(C) In 2019, China produced over half of the world’s CO2 emissions.

正解は、この記事の最後に掲載しています。

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

China’s target of virtually zero CO2; “ Concrete measure :” IEA director general

Regarding China’s declaration of a new target of virtually zero carbon dioxide (CO2) emissions by 2060, International Energy Agency (IEA) Director General Birol told The Nikkei that “we need to find out when and how it will present its energy policy .” He pointed out that China’s emission volume “has already returned to the level before the novel coronavirus crisis,” and called for concrete measures to reduce them.

In September, Chinese President Xi Jinping declared in a general debate address to the United Nations General Assembly that the country will turn its CO2 emissions around toward “a decrease by 2030 and aim for carbon neutrality by 2060.” He stated that it wouldadopt more aggressive policies and measures” to transition to a low-carbon society, but did not mention measures to achieve this.

According to the IEA, China’s CO2 emissions from energy sources were 9.7 billion tons in 2019, accounting for about 30% of the world’s total, the most of any single country. In a telephone interview, Birol expressed the view that China’s announcement was “an ambitious target . It’s all very welcome, but an appropriate energy policy must be proposed,” he said, pointing out that medium - term goals and other issues need to be confirmed.

翻訳

中国のCO2実質ゼロ目標「具体策を」IEA事務局長

国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は日本経済新聞に対し、中国が表明した2060年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとする新目標について「エネルギー政策をいつ、どのように示すのか見極める必要がある」と語った。中国の排出量は「既に新型コロナウイルス危機前の水準に戻った」と 指摘 し、削減への具体策を求めた。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は9月、国連総会の一般討論演説で「30年までにCO2排出量を減少に転じさせ、60年までに炭素中立を目指す」と宣言した。低炭素社会に移行するため「より積極的な政策と措置を採用する」と表明したが、達成に向けた 施策 には触れなかった。

IEAによると、中国のエネルギー起源のCO2排出量は19年に97億トンと、世界全体の約3割を占め国別で最大だ。電話取材に応じたビロル氏は中国の発表について「野心的な目標だ」との見方を示した。「大いに歓迎だが、適切なエネルギー政策が提示されなければならない」と述べ、中期目標などを確認していく必要があると 指摘 した。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。

ニュースのポイント

中国の宣言に対してのIEA事務局長の反応に関するニュースです。第1文のChina’s declaration of a new target では、China declared a new target という関係が名詞によって表されています。さらに、a new target of virtually zero carbon dioxide (CO2) emissions by 2060では、a new target の内容が virtually zero carbon dioxide (CO2) emissions by 2060であることがofによって表されています。どちらも1つの文にたくさんの情報を詰め込むためによく使われるパターンなので、聞いた瞬間に各部分の関係性が思い浮かぶよう、何度か聞き込んで慣れるようにしましょう。

第2段落のthe country will turn its CO2 emissions around toward “a decrease by 2030 and aim for carbon neutrality by 2060”は、turn ~ by 2030と aim forby 2060がandで結ばれた構造です。carbon neutralityは、二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスが取れている状態のことです。

第3段落の accounting for about 30% of the world’s total, the most of any single countryの部分は直前の中国の二酸化炭素排出量が97億トンであることの補足説明です。世界全体の30%を占めることと、1カ国として最大であることを併記しています。次の文のwelcomeは形容詞で「歓迎される」という意味です。最後のpointing out that medium - term goals and other issues need to be confirmedも、直前の発言が中期目標などの諸問題が確認されなければならないことを 指摘 したものだったという情報を付け加えています。

今週のキーワード

transition 移行する
ある状態から別の状態への移行を表す単語です。今回は動詞として登場していますが、名詞としても使われます。 ensure a smooth transition と言えば「スムーズな移行を確実に行う」という意味です。

クイズの正解">クイズの正解

(A

いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!

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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

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