日常英会話フレーズの暗記を続ければ英会話ができるようになる?

「フレーズの暗記で英会話力は伸びるのか?」というお悩みに、6人の英語コーチがずばりお答えします。フレーズ暗記の是非に留まらず、英会話教室を上手に活用して英会話力を伸ばすコツがたくさん紹介されている回答を読めば、スッキリした気持ちで学習に向かえるようになるはず!

Q.「日常英会話の暗記」を続ければ英会話ができるようになる?

英会話教室に通っています。教室では、日常英会話でよく使う表現をどんどん覚えていますが、この先もっと深い話や難しい話ができるようになる気がしません。このままこのようなレッスンを続けていて大丈夫でしょうか?

A. フレーズの暗記だけでは頭打ちに。「作文力」が重要

こんな質問に対して、コーチ陣からは次のような回答が寄せられました。

  • 英会話フレーズの暗記は不要です
  • 中学レベルなら丸暗記も効果的
  • 暗記するフレーズは必要最小限に
  • 半年~1年の停滞感なら 心配 なし!
  • 英会話教室に行く前に自主練を!
  • フレーズ暗記も英会話には 有効
まず、多くのコーチの回答に共通するのが、ある程度の暗記は効果的であるということ。挨拶や電話の対応などは、日本語でも英語でも、決まりきったフレーズがありますので、それらについては覚えてしまうべき。

ただし 、生活や仕事の場面で用いる表現をすべて丸暗記することはできないので、一定以上のレベルになると「言いたいことを作文する能力」が必要になります。

以下、それぞれのコーチからのアドバイス(全6件)にはさらに 具体的な ヒントが紹介されていますので、ぜひご覧ください。各コーチのプロフィールや、これ以外の質問と回答は、 こちらの記事 に。

英会話フレーズの暗記は不要です

簡単な日本語を瞬時に英語に変換する訓練をしよう(福田圭亮)
日常英会話でのフレーズの暗記は必ずしも必要ではありません。もちろんフレーズをたくさん暗記して使いこなせるに越したことはありませんが、それよりも大事なのは「言いたいことに応じてその場で瞬間的に英語を話す力」です。

日常英会話では自分の想定した筋書き通りに進んでいくということはほぼなくて、相手や会話の参加者に応じて話の流れがどんどん変わっていきます。ですので、どんな話の流れになっても対応できる英語力が必要です。

多くの日本人英語学習者は「英会話フレーズ集」を覚えようとしています。それ自体は意味があるので批判はしませんが、覚えた英会話フレーズをそのまま使う場面は限られています。

そこで重要なのが「瞬間的に文章を組み立てて話すスキル=瞬間英作文スキル」です。このスキルを鍛えるには「瞬間英作文トレーニング」がおすすめです。簡単な日本語を瞬間的に英語に変換するスピードを速めることで、どんな場面でも自分の言いたいことに合わせて英語を話せるようにしていくことができるようになります。

中学レベルなら丸暗記も効果的

フレーズの単語や表現に変化をつけたものも覚えよう(五十嵐未知子)
私は中学生程度の英語は、単語と英文法を含め、すべての丸暗記をおすすめしています。中学生程度の英語でほぼすべての英文法はカバーしていますし、基本的な英語の型を網羅しているからです。

私が中学生のとき、塾の先生に教科書を丸暗記させられたのですが、それが本当に良くて、いまだに私の英語力の基礎となっています。おかげで大学生までは全く英語に苦労しませんでした(後は単語を増やしていっただけです)。

やはり基本ができないと、応用は利きません。だから中学生レベルの英文法は丸暗記してしまった方が、後々の勉強効率がむしろ良くなると感じています。

ただ、英会話教室だけの会話だとテキスト通りに単調になりがちですので、自分の中で表現のバラエティーを増やしていく必要があると感じます。同じ構文を使って単語を変えてみるとか、シチュエーションが変わった場合、どういう表現がいいのか、などです。

深い話や難しい話は、基本会話の積み重ねと単語力です。基本的な英文法をマスターした上で、単語力を増強していけば、難しい会話もできるようになっていきます。

暗記するフレーズは必要最少限に

中学英文法と単語を使って文を組み立てる練習をしよう(金子まりな)
すぐに 使えるフレーズであれば、覚えてしまった方が簡単なものもあります。決まりきったあいさつや、電話対応の定番など、相手の反応にさほど左右されないものは便利です。初級レベルであれば「言える」という自信にも繋がるでしょう。

一方、フレーズの暗記に頼っていると、自分の英語力で組み立てる力がつきません。いろいろな場面で自由に話をしていくには、やはり自力で文章を作る力をつけていきたいですよね。

フレーズはあくまで一例であって、必ずしもそれだけが「正解」ではありません。一つの言い方を頼りにすると、他の言い方では「間違い」なのではないかと不安になったり、思い出せずに言うのを諦めたり、ということが起こります。自分で英語を組み立てる基礎力があったとしても、「どのフレーズを使えばいいのか」で頭がいっぱいになり、楽しくコミュニケーションを取ろうという気持ちがそがれてしまうのです。

フレーズの暗記は役立つと思える必要最低限のものにし、暗記に費やす時間を、自分の力で会話するための学習に充てる方がおススメです。中学レベルの基礎文法と単語を早めに押さえ、それをどんどん組み立てる練習をしていきましょう。

何も長文にすることはありません。日常的なトピックであれば、「主語+動詞+目的語」の3つを組み合わせただけでも、大方の意味は伝わります。まずはそのトレーニングから始めると、気持ちも楽に組み立て力がついておススメです。

心配 なし!">半年~1年の停滞感なら 心配 なし!

教材や内容が自分のレベルや目的に合っているかは要確認(鬼英語コーチ☆サヤコ)
英語学習というのは、スポーツや楽器の習得によく似ています。例えばテニスの場合、プロの選手のようにかっこよくスマッシュを打てるようになる前に、正しいフォームを身につける必要がありますよね。基礎ができていないのにいきなり上のレベルを目指すと、かえって悪い癖がついたり、難易度が高過ぎて挫折に繋がりかねません。

ご相談者の現時点の英語レベルや、どのくらいその英会話教室に通われているのかが定かではないので 具体的な お答えがし辛いのですが、フレーズの暗記はある程度必要なのも事実です。なのでもし通い始めて半年~1年程度であれば、あまり 心配 する必要はないかと思います。でももし2~3年経ってもあまり進歩がないと感じるのであれば……別の方法を試された方が良いかもしれませんね。

いずれにせよ、複雑な話をするには文法の基礎や英語の特徴を、しっかり理解していることが不可欠です。例えて言えば家を建てて壁紙や家具を選ぶ前に、地面をならすようなものです。教材やレッスン内容がご自分のレベルや目的に合っている かどうか を再確認し、まずはゆるぎない土台を築くことを目指しましょう。

英会話教室に行く前に自主練を!

英会話教室はネイティブと生の会話をする場にしよう(谷口恵子 / タニケイ)
まず「日常英会話フレーズの暗記が必要か」という点については、自分が本当によく使うフレーズであれば、覚えてしまうと楽になる、というくらいで、絶対に必要なものではないと私は考えています。

音声付きで内容も良い市販のフレーズ集がたくさんありますし、フレーズの暗記に英会話教室を使うのはもったいないです。英会話教室は練習試合の場と考え、「ネイティブと生の会話をする」という、本番に近いシチュエーションで練習しましょう。

ただ、英会話教室で、今まで話したことのない英文を使って、いきなり深い話や難しい話をする、というのは、かなり難易度の高い挑戦です。おすすめは、英会話教室に行く前に、ある程度会話の内容を想定した自主練をすることです。まずは英文を書いてみてもいいでしょう。単語や良い表現を検索したりしながら、英文を作っていきましょう。それを見ないで言えるように何度も練習し、さらに先生と会話をする場面を想像して、どんな受け答えをしようかと練習してから、英会話教室でのレッスンに挑むのです。

英会話教室では、先生の言うことが聞き取れなかったり、スムーズに話せないこともあるでしょう。それを挫折と考えずに成長の種と考えて、聞き取れなかったことはもう一度言ってもらって録音させてもらう、スムーズに言えなかったことはメモしておいて、次に話すときには言えるように自主練をする、というようにどんどんサイクルを回しましょう。

有効 ">フレーズ暗記も英会話には 有効

深い話、難しい話をするためには英作文がおすすめ(大西江美)
フレーズ暗記は、英会話のバリエーションを増やすのにはとても 有効 です。パッと口にだせると便利なフレーズはたくさんありますので。 ただし 、それだけしていても会話はできるようにはならないです。質問者さんがおっしゃっている深い話や難しい話は、フレーズだけではもちろんカバーしきれないですよね。

そういうときは、ご自分で時間をとって英作文してみることです。そして、英会話教室に通っておられるのであれば、まずはご自分で 事前に 英作をして、自分が話したいような事柄や会話を持ち込んで、実際話してみる。通じたら、もっと踏み込んで話を広げていけるようにするのもいいですし、会話をする際に、意識的にフレーズ暗記をしているものも挟み込んでいくことです。フレーズ暗記と英作文は同時並行が一番良いです。実践を通じて英会話の場を増やしていくと、相乗効果が期待できます。

英会話教室の先生はネイティブの先生でしょうか。質問者さんの英語力によっては、英作をした文章が通じない際、本来何が言いたいのを説明するのは、まだハードルが高いと感じたら、ネイティブではなく、英語ができる日本人にアドバイスをしてもらうのがとても 有効 です。もともとの言いたいことと英作文のかけ渡しをしてくれる日本人の先生なり、友達がいると、効果的な勉強をサポートしてもらえます。

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部 「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌『ENGLISH JOURNAL』が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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