世界一周をかなえるサバイバル英会話!マンガでバーチャル旅行

英語を学ぶ理由によく挙げられる海外旅行。実は旅を乗り切るのに活躍するのは、繰り返し使える定番フレーズです。英語は上手ではないと謙遜しながら、世界中を旅してその様子をマンガで発表している旅人の低橋さんが、「便利な英会話フレーズ」と「旅と英語の関係」をマンガとエッセイで紹介します。

現実逃避だった旅が日常に

私は8年ほど前から、定期的に中長期の海外放浪をしては旅ブログや旅マンガを描くという生活をしています。職業として「旅人」を名乗るのが夢でしたが、それだけではご近所への聞こえが よろしく ないので、現在は「旅マンガ家」ということにさせていただいています。

旅を始めた きっかけ は現実逃避でした。当時の私は仕事、私生活、将来などありとあらゆる悩みが飽和状態になり、あまり健やかな状態ではありませんでした。そこで、半分ヤケクソの思いで「1年間で世界一周」という旅に出ることにしたのです。

そうしたらその魅力にどっぷりはまってしまい、1年で終わらなかったばかりか帰国後も旅のことばかり考えてしまう状態に。そこからはとにかく旅費をためては旅に出て、旅費が尽きたらまた働いて・・・とあがいているうちに現在の肩書に収まりました。現実逃避も8年続けばもう現実です。

サバイバルに必須の宿関連の英語表現

そんな旅の日々において、どうにも避けて通れないのが英会話問題です。私は英語があまりうまくなく、外国の方と深い話になりそうなときはわりと浅瀬で白旗を上げてしまいます。

ただ旅の英語 に関して は、毎日使っていますのでさすがにもう慣れてきました。国境越えのゴタゴタを口八丁になって乗り切ったり、ぼったくり価格と戦ったり、その日の寝床を確保したり、道を聞いたりなどの英語は問題なく使えています。

方向音痴でよく絶望的な迷い方をするので、道を聞くだけなら英語以外の言語もいくつか使えるのが自慢です。まあ返事を聞き取れないことが多いので結局迷うんですけども。

宿 に関して 言うと、私がよく使う英語フレーズはこの辺りです。

Do you have a room available for tonight?

晩、部屋は空いていますか?

I don’t have a reservation .

予約はしていません。

What’s the charge per night?

1泊いくらですか?

I’d like to stay for three nights.

3泊したいです。

Is it possible to stay one more night?

もう1泊していいですか?

これらの表現が言えれば取りあえず寝床は確保できるので、あとはご飯さえ食べられれば旅を続けられます。旅で使う英語は意外と限られていて、だいたいいつも同じやりとりをしています。

英語力のベースはドイツへの留学

旅の英語はとにかく実践の繰り返しで覚えていきました。でもその前段階、ベースとなっているのは大学時代の留学の経験だと思います。留学といっても語学留学ではなく美術の勉強で、行き先はドイツだったので英語メインではありませんでしたが、英語も必須だったので渡航前に必死に勉強しました。

具体的な 勉強法は、中学基礎英語のテキストを買ってきて文法を復習し、語彙を増やし、大学構内にいる留学生をつかまえて会話練習に付き合ってもらうというものでした。

渡航先での経験ももちろん力になっているものの、どちらかと言えば成功体験ではなく失敗の連続だったので、こちらはちょっと苦めの思い出です。うまくコミュニケーションを取れない自分を責めて心が弱り、学生寮に引きこもってしまったことも。海の外には出られるのに部屋の外には出られない複雑な留学生心です。

ロシアでの恐怖体験

旅を始めてからの日々でも「もっと英語ができれば」と思うことは少なくないですし、逆に「少しでもできて助かった」という場面もたくさんありました。

ロシア出国時になぜか止められ、旅の目的やらこれまでの行動履歴やらを40分以上にわたり詰問されたことは、いまだ晴れないトラウマです。必死に自己弁護した結果、無事解放されましたが、下手をすれば異国で監獄体験だったのかもと思うと今でも嫌な汗が出てきます。

これからも旅と英語と共に

日本の文化に興味を持つ方にいろいろ質問されたときなども、「もっとうまく説明できれば」とふがいない気持ちになることがあります。

日本の伝統や習慣、そしてマンガ・アニメのカルチャーについて質問を受けることはかなり多く、皆さん、日本人の私よりよほど詳しいこともあるので、これは英語以前の問題かも!?なんて焦ることもしばしばです。

私は 今後も 英語学習を続けるつもりですが、その一方で、「結局のところ伝わればOK」という感覚も大切に持ち続けたいと思っています。英語でもなんでも、完璧にやろうとするより適度にリラックスした方が物事はうまく運ぶと思うからです。

旅先での出会いは新鮮で、異文化コミュニケーションは楽しいです。そしてその喜びと好奇心をなくさない限り、旅も勉強もずっと続けられると思っています。

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写真やエッセイ、お役立ち英語フレーズ70など、雑誌で体験できる「絶景ツアー」をお届けします。

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低橋(ひくはし)
愛知県出身。定期的に中長期の旅に出てはその日々をマンガにしSNSで発表している。旅費が尽きたら働き、また旅に出るのを繰り返す日々。旅の目的は乗り物、食べ物、トレッキング、美術館、博物館、現地の人との交流などすべての異文化体験。海外の屋台のよくわからない食べ物が好き。
旅ブログ「わたりどりたまに飛ぶ」: https://watatobu.blog.fc2.com

編集:ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

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