ウィズコロナ時代の働き方と英語は、マイクロソフトのあの人に学べ!【ブックレビュー】

ウィズコロナ時代の働き方と英語は、マイクロソフトのあの人に学べ!【ブックレビュー】

私たちの暮らしと働き方を大きく変えた、新型コロナウイルス。その影響は、まだまだ続きそうです。ウィズコロナ時代に通用する働き方とマインドセットを、岡田兵吾さんの本『武器になるグローバル力』でチェックしましょう。

グローバルな仕事術と英語フレーズが学べる本

本書の著者、岡田兵吾さんは、24年にわたり外資系企業で働いてきた方。アクセンチュアやデロイトを経て、現在はマイクロソフトに勤務しています。シンガポールやアメリカ、そして日本で、15カ国以上の外国人をマネジメントしてきました。

本書には、岡田さんが自らの経験を通して身に付けた、外国人と働くときに知っておきたい仕事の流儀や仕事術が満載。外資系企業や海外など、グローバルな環境で働く人に向けて書かれた本です。

2部構成になっていて、前半は「グローバル環境で役立つ仕事術」が豊富な実例と共に紹介されています。後半には、ビジネスの場ですぐ使えそうな英語フレーズが600例も。オンライン会議や電話するときに使うフレーズなど、リモートワークで役立つ表現も豊富で、ウィズコロナ時代の今、どんな環境で働く人にとっても役立ちそうな本でもあります

本書の帯には「本書で学べる能力」として、次の10項目が挙げられています。

  • オンライン会議を推進できるコミュニケーション能力
  • マイクロソフトやGAFAで求められる「Growth Mindset(成長思考)」
  • 「Growth Mindset」に基づくグローバル仕事術
  • 外国人に対して失礼に当たらない異文化理解
  • 「Trust(信頼)」と「Respect(尊敬)」を育む力
  • グローバルで評価される「会議で伝える力」
  • 外国人上司や同僚と仕事をするためのグローバルビジネスの心得
  • グローバル企業の成果主義で成功できる仕事術
  • 異なるバックグラウンドの外国人たちをまとめ上げるマネジメント能力
  • ピンチをチャンスに変えるグローバルの心得

いかがでしょう?ざっと見渡してみて、コロナの影響でリモートワークが増え、働く環境が大きく変わった今、外資系はもちろん日系企業で働く人でも身に付けておきたいスキルばかりだと思いませんか?

どういうことなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

オンライン会議には何が必要?

まずは会議、中でもオンライン会議に関する部分をチェックしましょう。

外国人との仕事がうまくいかない。コミュニケーションが取れていない。そんなとき、多くの日本人は「英語力が足りないせいだ」と考えるでしょう。しかし、本書によればそうではない場合も多いとのこと。足りないのは「プレゼン力」や「論理的思考力」だそうです。

英語力以前に「自分が伝えたいことが整理できていない」、そして「自分の意見や考えを言語化できていない」。それが原因だというのです。

岡田さんによれば、「3つのC」を意識するといいとのこと。

Clear (明確さ)

Crisp(簡潔さ)

Concrete(具体的であること)

確かにちょっとしたことでも、賛成か反対かだけでなく、その理由や代替案などを述べられれば、言うことに説得力が出てきます。これは日本語でも同じことですね。

さらに、「言わなくてもわかるだろう」は通用しないと岡田さん。

日本人同士なら「以心伝心」で「空気を読む」ことで何となく意思疎通している場面があるかもしれませんが、「言わなくてもわかるだろう」はグローバル社会ではまったく通用しないということを頭に入れておいてください。

厳しい指摘のようですが、思い当たる節がある人も多いのでは?この春から急激に普及した、リモートワークやオンライン会議を思い浮かべてみてください。

リアル会議だと、「〇〇さんはこのプランが気に入っているようだ」「××さんは乗り気でないみたい」と何となく雰囲気でわかります。また、自分の方も察してもらえます。

しかし、オンライン会議だと、はっきり意思表示をしなければ、お互いに気持ちがわかりません。会議の時間が無駄になってしまいます。

この「時間の無駄」というのもキーワード。日本人は、会議の開始時刻にうるさく、遅刻には厳しいのですが、終わりの時間には無頓着なところがありますよね。むしろ「会議が盛り上がるのはいいことじゃないか」という人もいます。

しかし、「他人の時間を取ることに対してもっと注意深くなるべきだ」と岡田さん。この場合の他人というのは、部下であっても同じことです。グローバル企業では、予定されている終了時刻には必ずミーティングが終わるとのこと。

そして、会議を定刻で終わらせ、なおかつ意義のあるものにするにはコツがあります。

岡田さんが提案する「グローバルに通用するオンライン会議のコツ」がこちらです。

①アジェンダを事前に用意する

②アイスブレークを必ず取る

③最初だけでもビデオ機能をオンにする

④参加者の名前を確認する

⑤主催地以外の参加者から先に話をしてもらう

⑥要所要所で参加者の意見を確認する 

⑦質問しづらいときはチャット機能で質問を投げかける

⑧意見を言う前に名乗る

⑨会議後は必ず議事録を作成し、決定事項を確認する

①のように、アジェンダを用意して会議の目的をはっきりさせておくのは、生産性を上げるためには、ぜひともやっておきたいこと。また、⑥のように会議の途中で現在地を確認するのも大切なことです。⑨の議事録の作成と決定事項の確認は、その後の動きを左右するので、これも欠かせませんね。

これらのコツを意識すれば、会議がだらだら長引いたり、しかも「で、どうするんだっけ?」という事態に陥ったりするのを防げます。

職場で信頼と尊敬を得るには?

続いて、「『Trust(信頼)』と『Respect(尊敬)』を育む力」や、外国人をまとめ上げるマネジメント能力について、本書ではどう言っているのでしょう?

ビジネスをうまく進めるには、同僚やクライアントとの信頼関係が不可欠ですね。では、それはどうすれば構築できるのでしょうか。岡田さんは、文化や宗教、家族のあり方まで、さまざまな面で多様性を認めることが大切だと説いています。

文化と宗教に対する配慮

グローバルな環境で働く場合、気を付けたいのは文化や宗教に関することです。どの文化圏にも「そこは休ませてよ」という時期があります。日本の場合は、「盆暮れ正月」というくらいで、この時期は小売業などを除いてほとんどの企業がお休み。よほどの事情がない限り、1月2日に会議を設定したりすれば、部下でも取引先でもあまりいい顔はしないでしょう。

同様にどの文化圏にも「あまり忙しくしない方がいい時期」があります

本書によれば、アメリカの場合は、サンクスギビング・デー(11月第4木曜日の感謝祭)から、クリスマス、年末あたりまで。一方、日本人以外の多くのアジア人は、「旧正月」が休みに当たります。この時期の約2週間は、急な仕事を振ったりしない方がいいとのこと。

もう一つ、配慮が必要なのが宗教に関することです。グローバル環境では、宗教の尊厳を損なうような発言は絶対にご法度。また、宗教関連のイベントには配慮が必要です。

例えば、イスラム教にはラマダン(断食月)があり、この期間は日中の飲食が禁止されています。昼間は水さえ飲まない人もいるとか。もし、部下にイスラム教徒がいれば、この時期はハードに仕事をさせない方がいいでしょう。残業させるなんて、もってのほかですね。

また、宗教によって食べてはいけない食品がある場合も多く、ベジタリアンもいます。外食やビュッフェを頼むときには、配慮が必要です。

性的指向については相手を尊重する

もう一つ気を付けたいのが、性的指向や家族に関する話題です。

最近は、「まだ結婚しないの?」「赤ちゃんはいつ?」といった質問は避けるべきという考え方が定着してきました。しかし、まだまだパートナーは異性であることを前提にしている面はあるのではないでしょうか。グローバルな環境で働く場合、性的指向や家族のかたちなど、プライベートに関しては特に配慮が必要です。

岡田さんは次のように書いています。

LGBTQを差別するような言動はもちろん、めずらしがったり驚いたりすることもあってはなりませんし、「結婚は早くしたほうがいい」「男性と女性が付き合わないのはおかしい」などと口にすれば、その瞬間にキャリアアップのチャンスはつぶれるでしょう。多様性を理解できない人は、チームをマネジメントできないと判断されるのです。

また、家族のかたちもさまざま。入籍しないカップルもいれば、離婚後も協力して子育てをしているカップルもいます。日本人が「家族」と聞いて思い浮かべる姿とは異なる場合も多いので、話題にする場合は一定の配慮が必要です。

日本国内でも、オフラインでも心掛けたいこと

本書を通して岡田さんが教えてくれる「仕事の流儀」は、グローバルな環境で働く人にとって役立ちそうなことばかり。しかし、ちょっと立ち止まって考えてみれば、これらは日本国内で働く場合にも必要なことです。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの人が初めてリモートワークを経験し、毎日オフィスに通わなくても仕事は進められることを実感しました。大企業を中心に、「都心のオフィスを手放し、在宅勤務を推奨する」「どこでも働けるのだから、単身赴任を取りやめる」といった動きも出始めています。

いずれは新型コロナの流行が収束し、生活も落ち着きを取り戻すでしょうが、もうビフォーコロナ時代の働き方には戻れないのではないでしょうか。

「オンライン会議で成果を出す」「文化や個人の多様性を受け入れ、共に働く仲間と信頼関係を築く」。岡田さんが本書で説いているこれらの仕事術は、これからは日本社会でも、ますます必要になっていくと言えるのです。

ウィズコロナ時代は「チャンスの時代」でもある

このように、多くの日本人がリモートで働くようになることは、1年前には誰も予測していなかったでしょう。「予期せぬこと」が起こる社会は多くのピンチをもたらす半面、チャンスも多いと言えます。

リモートワークがさらに進めば、北海道や沖縄に住んだまま東京の会社に勤めることもできるし、さらには海外の企業で働くこともできます。反対に、海外の人が日本の企業に勤めることも可能になるので、上司や部下が外国人になったり、海外の取引先と直接やりとりしたりするシーンも増えるでしょう。

そうなったとき、「今までやったことがないから」「自信がないから」としり込みするよりも、まずは前へ進みたいと思いませんか?

ウィズコロナ時代はこれまで誰も経験したことがありませんが、岡田さんが教えてくれる「グローバル環境での仕事術」はここでも役に立ちそうです。

まとめ

「グローバル企業では、常に学び続け、自分のバリューを上げ続けることが求められる」と岡田さん。日本でも、すでに終身雇用は崩れ始めています。そして、コロナによってこの動きもさらに加速しそうです。

世界中のどこに行ってもいいし、どこででも働ける。そのために、自ら学び、バリューを上げ続ける。一見するととても厳しいことのように思えます。しかし、かつては住む場所も職業も選べず、生まれた場所で親の職業を継ぐしかない場合もありました。どちらが幸せかは人によるかもしれませんが、せっかく今の時代に生まれたのですから、このチャンスを楽しんでみてもいいのではないでしょうか。

本書は、これから先の「変化が激しい、でもワクワクする世の中」を渡っていくときに、貴重なガイド本となることでしょう。

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ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

文:尾野七青子
岡田さんの本を読むと元気が出ます。いろいろありますが、前進あるのみ!