ビジネス英語のお悩みにマヤ・バーダマンさんがやさしく回答!メール文のお手本は必見

ビジネス英語のお悩みにマヤ・バーダマンさんがやさしく回答!メール文のお手本は必見

2020年7月13日~8月3日に募集したキャンペーン「あなたの質問にプロがお答えします!英語のお悩み相談室」はおかげさまで多くの方にご応募いただきました。ありがとうございます!今回は編集部が厳選した3名の方の質問、ビジネス英語に関するお悩みに、「品格のある英語」でおなじみのマヤ・バーダマンさんが回答します。

▼「英語のお悩み相談室」キャンペーン内容についてはこちら!

Q:ビジネスメールで日本と海外のビジネスマナーの大きな違いを教えてください!

失敗しがちなことや学校で学習する英語と違うところなど要注意点をメインに知りたいです。

――めあさん様(英語レベル:中級)

A:「お世話になっております」などの決まり文句はなく、本文は簡潔ですが、いい人間関係を築くための気配りポイントがいくつかあります。

日本語のビジネスメールといえば、「拝啓・敬具」や「お世話になっております」などの決まり文句や形式をイメージされると思います。一方で、英語のメールにはその決まり文句の直訳はなく、本文は簡潔です。場合によっては用件のみになることもあり、日本語のメールと比較すると短い印象をもたれるでしょう。

相手と対面で会話することなく、メールのみで仕事やコミュニケーションも進むことがあります。しかし、メールは文字のみのコミュニケーション。お互いの表情やボディーランゲージが見えず、口調や声のトーンでニュアンスや気持ち、丁寧さを伝えることができません。あまりに直接的でぶしつけ過ぎたり、省略し過ぎたりすると失礼になってしまいます。

以下のポイントに気を配ると、仕事でのやり取りや人間関係の構築によい影響が見られるでしょう。

まず、メールの基本フォーマットを見てみましょう。

メールの基本フォーマット

1. 件名:一目で内容がわかり、必要に応じて日付やアクション動詞など重要情報を入れます。

2. 宛名:相手や相手との関係性によってカスタマイズします。

3. 本文:簡潔で明確な内容にします。

4. 結び:あいさつや感謝の意を伝え、親しみやすくポジティブな印象で締めくくります。

5. 結辞:最後のあいさつとして自分の名前の前にカンマを付けて入れます。

6. 署名

特に注意したい点を解説します。

特に注意したい点

宛名に“Dear”を使う?

宛名に“Dear”を使うかという質問をよく受けます。会社や組織、個人のスタイルによるかもしれませんが、一般的にDearはフォーマルな印象で、クライアントや外部の方にはDear Mr./Ms.[名字]やDear[名前] がよいでしょう。

Hiはフレンドリーなニュアンスで、普段から少々カジュアルに接する人の場合は問題ありません。Helloは Hiより少々かしこまったニュアンスです。人によっては名前だけの宛名を使います。

「お世話になっております」に当たるあいさつは?

「お世話になっております」の直訳、時候のあいさつや「○○会社の○○です」と毎回名乗る習慣はなく、いきなり本題に入っても基本的に問題はありません。

ただ、本題に入る際は、直接的でぶしつけにならない表現に気を付けて、用件がわかるような一言や、前後の出来事(ミーティングなど)ややり取につながる文で始めるとスムーズで親切です。

例えば、ミーティングをした後であれば、いきなり、Could you send me the file you mentioned yesterday?(昨日言っていたファイルを送っていただけますか?)ではなく、

Thank you for taking the time to meet with us yesterday.

昨日はミーティングのためにお時間をいただきありがとうございます。

と始めるのが丁寧で自然です。また、I hope this (email) finds you well. という書き出しを見ることがあります。「お元気にお過ごしかと存じます」「お変わりないでしょうか」のようなニュアンスですが、これは省いても問題ありません。(人によっては、早く本題に入ってほしいと思う場合もあります)

本文は、イントロダクションや経緯の説明から始まるのではなく、用件や結論が最初に示されることが多いです。(ただし、よくない知らせを伝えるときや、相手との関係性など場合によっては説明から入ることもあります)簡潔かつポイントが明確で、スクロールなしで一覧できる長さが理想です。

文字のフォントは?

文字は英語のフォントで統一し、日本語のフォントや記号は相手のパソコンで文字化けする可能性があるので避けましょう。(特に海外の地域やシステムの場合)

例:〒、【】、~、★、「」、『』、◎

結びのあいさつ「よろしくお願いいたします」に当たるあいさつは?

よろしくお願いいたします」の直訳がないため、内容に合わせてカスタマイズします。

I look forward to hearing from you.

お返事をお待ちしております(お返事いただけますと幸いです)

If you have any questions or concerns, please let me know.

ご質問や気になる点などございましたら、お知らせください。

など、次につながる前向きな文で締めくくることをおすすめします。

結辞のあいさつの書き方は?

結辞 (complimentary close) とは、 最後の挨拶として自分の名前の前にカンマを付けて入れる言葉です。場面によってカスタマイズします。フォーマルな “Sincerely,” や “Best regards,” から、よりフレンドリーな “Best,” “Cheers,”そして名前のみの記載方法があります。以下では記載の例と、フォーマル度(以下では星の数と「丁寧度」で表しています)をご紹介いたします。

Best regards,

Maya

★★★とても丁寧

★★丁寧

  • With regards,
  • Kind regards,
  • Regards,

★カジュアル

  • Thanks,
  • Take care,
  • Cheers, *主に British English
すぐに使えるメールのお手本

日本語と英語でのメールの違いと特徴を押さえつつ、読み手のことを考え、TPOに合わせたメールを書けるようになるといいですね。お手本になるようなメール文面もビジネスシチュエーションごとに用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

敬語表現にする方法は、ENGLISH JOURNAL ONLINEの連載『品格のある英語』を参考にしてください。

ミーティングを設定する

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日程変更の依頼 - 香港オフィスの同僚

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返事の催促

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謝罪

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問い合わせ - 他社の知人の紹介でメーカーに問い合わせをする

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Q:オンライン会議で海外の人と会話することになりました。

オンライン会議で英語を用いてコミュニケーションする際に特に留意すべき点を教えてください。仕事の関係で英語を使ったコミュニケーションの必要が生じ、この1年間、TOEICを再受験したりトーキングマラソンを使って毎日スピーキングの練習をしたりしています。

――ペネロペ様(英語レベル:中級)

A:発言は名乗ってから、声のトーンで強調、間の置き方などに気配りを

ご自身で英語学習に取り組まれているとのこと、すばらしいですね!

オンライン会議は対面と違って回線や画面を通して行うため、コントロールできないハードルやストレスがあります。

電話会議の場合は相手の顔が見えず、声だけでは誰が発言しているかわかりにくいのが難点です。発言は名乗ってから話す、重要な点は声のトーンを変えて強調する、お互いに余裕を持って間を置く、などの気配りが必要です。

ビデオ会議ではお互いの顔が見えるため、より対面に近い感覚と効果があります。それでも、相手がほかのオフィスで働く同僚やクライアントの場合は顔と名前が一致しないこともあるので、最初に一通り自己紹介をし、発言の際に名乗るとスムーズです。

さらに、電話・ビデオ会議のツールやテクノロジーは進化しましたが、接続が悪い、声が聞きにくい、声と映像が届くまで少し時差が発生するなど、コントロールできない技術的な問題点があります。

できる対策は、あらかじめ使うツールに慣れておく、可能であれば周りの音や声が雑音として入らない環境を選ぶ、スムーズにスタートするため開始前にダイアルインして接続できることを確認し、余裕を持ってスタンバイすることです。また、電話会議の場合は話を聞きながら同時進行で別の仕事をしがちですが、マルチタスクは集中力散漫になり、重要な情報を聞き逃す恐れがあるので避けましょう。

ミーティングに出席しても、座っているだけでは存在していないも同然

働き始めた頃の印象に残った言葉です。中には聞き手として参加する「コール」もありますが、基本的にミーティングでは発言が求められ、発言によってミーティングに貢献することを意識したいです。

オンライン会議の留意点

留意したい点をまとめました。

タイミング

頭の中で言いたいことを作文しているうちに話がどんどん進むので、タイミングを逃さないように早めに発言する。要点や結論を最初に述べるとスムーズ。「発言した者勝ち」でもあり、ほかの人が同じことを言う可能性もあるので、早めに手を挙げる。

言い出しフレーズ

発言内容に集中できるように、あらかじめ場面別(話し始めるとき、質問するとき、割り込むとき、聞き取れなかったときなど)のフレーズを覚えてしまった方が省エネになる。

自信

文法や発音は気にし過ぎず、発信したいメッセージにフォーカスして勇気を持って発言する。少々時差が発生するためほかの参加者と同時に話してしまうこともあり、発言後に間がありぎこちなく感じがちだが(特に相手の様子が見えない電話会議の場合)、皆同じなので気にし過ぎないように。

話し方

相手が聞き取りやすいようにゆっくり話す。(特にほかにも英語ネイティブではない人が参加する場合)

質問

タイムリーに聞く。誤った理解や想定をもとにその後の仕事を進めるのは危険なので、そのまま流さずできるだけその場で確認する。質問することによってほかの参加者の疑問が解けたり、内容が明確になったりして、ミーティングに貢献することもある。

ただし、その都度質問するとミーティングのペースを乱し、ほかの参加者がイライラしてしまうかもしれないため、できるかぎり質問や確認は厳選して最小限に。そのためには、「どの部分が重要か」「ここは確認した方がよい」という部分を判断できる感覚がカギとなる。経験を重ね、慣れてくるとその感覚がつかめるでしょう。

備え

ビジネスの現場で触れる英語は、英語の教材や日常の英語とは別物。使う言葉や言い回し、スピード、丁寧度などが違うため、オンライン会議での発言が聞き取りにくいと感じるでしょう。そのためにはリスニングのトレーニングが効果的です。使うのが教材であっても、言葉の短縮形、省略、リダクション、英語特有の音、句動詞、filler words などを認識できるようになり、単語単位で聞き取れるようになります。

ただ、実際に、ミーティングで登場するボキャブラリー(業界や職業の特有な言葉を含む)がわかっていないと聞いたときに認識することができません。予測も難しいです。

ですので、リスニングの練習に加え、仕事に関するメールや資料など文章を読むと、理解が必要な言葉や言い回しに多く触れることができます。すると、リスニングの教材や映画ではカバーしきれない語彙や文脈の理解が蓄積され、ミーティングで同じ単語や表現が出てきたときに文字で見慣れた言葉がイメージされやすくなり、聞き取りやすくなるでしょう。

ミーティングの内容のために、リスニング、ライティング、スピーキング、リーディングの4つのスキルを鍛えることは有効です。そのうち、リーディングとライティングはご自分のペースで時間をかけて調べたりしながら理解を深め、練習できます。一方で、リスニングは、現場ではその発言などを聞き取るチャンスは一度しかありませんので、その場で辞書で調べることは難しいです。さらに難しいのは、聞いたことに対して反応や返事をすることです。

もしコンプライアンスなどの問題がないことを確認できれば、ミーティングを録音して後で復習と確認をするのも一つの手です。内容やミーティングのフォーマットによっては録音が不可能ですし、毎回録音するのは難しいですが、一つのアイディアです。

最後に、meeting minutes (議事録)があれば、最終的な理解を確認できます。さらに、機会があれば 率先して自分からminute taker (議事録をとる人)に立候補してみるのもいかがでしょうか。議事録を取ることによって会議の流れが把握でき、意見がまとまりやすくなって発言するときに少し自信が持てる効果も感じられるでしょう。

オンライン会議をうまく乗り切れますように!

Q:外資系企業で勤務するためには、実際にどのくらいの英語力が必要でしょうか。

日系企業から外資系へ転職を考えていますが、自分の英語力で通用するのかわからず心配です。

――フロール様(英語レベル:上級)

A:仕事内容と関わる相手によって求められる英語力は異なります

学生の方や転職を考えている方で、外資系企業を目指したいけど、英語力に自信がないという声をよく聞きます。「外資系企業 = 英語を使う」というイメージがありますが、実際には業界、企業、職種などによります。

さらに、同じ会社であっても、仕事内容と関わる相手によって英語の求められるスキルと使用頻度は異なります。以下はそれを左右する一例です。

  • 部署の構成と共通語(例えば同じ金融企業でも、投資銀行部門では主に日本語を使用し、テクノロジー部では外国人社員も多く英語を使うことが多いことがあります)
  • チームの構成と共通語(海外オフィスのメンバーやカウンターパート*1有無によってメールやオンライン会議での英語の使用頻度が変わる)
  • クライアント(社内・外部、国内・海外)
  • 業者や外部とのやり取り(国内・海外)


例えば、本社がニューヨークにあり、全世界に数十拠点がある企業の東京オフィス勤務のAさんとBさんがいるとします。

Aさん:上司はロンドンのオフィス在籍のイギリス人。カウンターパートはAPAC(アジアパシフィック)の各オフィスにいる。東京オフィスのチームは2人の部下で、サポートしているクライアントは社内の他部署(日本語を話さない外国人社員を含む)。ミーティング、メール、プレゼン資料やドキュメントは共通語の英語。部下や同じオフィスで日本語を話す人同士のミーティングや雑談、外部の業者とのメールのやり取りで日本語を使用することがある。

Bさん:チームは全員日本語話者で、直属の上司も東京オフィス在籍。海外オフィスにカウンターパートやレポーティングする人はいない。クライアントは国内の企業や機関投資家で、部署内と外部とのメールやミーティング、プレゼン資料なども含めて、日常的に日本語で仕事をする。英語を使用するのは海外オフィスとのメールのやり取り(頻度は低い)や、月に一度ニューヨークをベースにしたグローバルコール*2に参加するとき(ほぼプレゼンなので聞くだけだが、Q&Aで質問がある場合以外発言はしない)、社内の英語の資料を読むとき、ITのヘルプデスクに問い合わせをするとき。

このように、一言で「外資系」と言ってもポジションによって求められる英語と「英語で仕事をする」実感は異なります。

もし転職エージェントのサポートを受けていらっしゃる場合は、応募したいポジションでどれくらいの英語を使い、どれくらいのスキルが求められるかを確認できるとよいでしょう。本人がわからなくても、応募先の担当者と確認してくれます。

転職予定で英語を磨きたい場合は、就職先や同業他社の英語サイトの記事や動画を見ることをおすすめします。その業界やビジネスで使う単語や表現に触れられ、トップの人や各界の著名人のインタビューやキャリアアドバイスが聞けます。特に Careers (採用情報)のページには部門紹介や社員紹介、企業によってはキャリアパスの例やレジュメ作成・面接対策のアドバイスを紹介しています。たまに、日本オフィス勤務の社員紹介で、必要な英語レベルやどれくらい仕事で英語を使用するか説明していることがあります。中途採用の場合でも新卒採用向けの情報がヒントになります。

また、企業によってはサイトに企業情報のアップデートだけでなく、世界のニュースに関連して企業やその部署が行ったリサーチや分析の記事や、さまざまなトピックを取り上げるブログ、オリジナルの YouTube チャンネルや Podcast、LinkedIn 掲載の記事、ニュースレターなどもあります。投資家向けのアニュアルレポートがあれば、その一年のパフォーマンス、企業理念、戦略、財務状況、業績動向など、企業のビジネスや状況がわかります。その業界や企業の「言語」に触れながら、転職の準備にもなるのでおすすめです。

外資系企業への転職活動がうまくいきますよう願っております!

*1:カウンターパート (counterpart): 異なる場所(オフィス)または組織で、役割・機能・立場が同等の人。例:同じ会社の東京と香港のオフィスでそれぞれ同じポジションで役割を持つ人

*2:グローバルコール (global call): 呼び方は一例ですが、世界各地のオフィスの社員が参加する電話会議です。会議といっても、決まったスピーカー(本社の役員や上層部など)が話したりプレゼン・情報共有をしたりするのを聞くコールです。参加者は基本的にミュート(消音設定)になっています。

マヤ・バーダマン

マヤ・バーダマン仙台市生まれ。上智大学比較文化学部(現 国際教養学部)卒業。ハワイ大学へ留学し、帰国後は秘書業を経て、ゴールドマン・サックスに勤務。医学英語に携わったのち、別の外資系企業に勤務。著書に『英語のお手本 そのままマネしたい英語の「敬語」集』『英語の気配り マネしたい「マナー」と「話し方」』(朝日新聞出版)『英語の決定版 電話からメール、プレゼンから敬語まで』(共著、朝日新聞出版)『品格のある英語は武器になる』(宝島社)『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)などがある。
Twitter: @maya_tokyo
Instagram: @maya_tkjp
Website:www.jmvardaman.com