アルクが クラブアルク会員 様向けに発行している語学情報誌、『 マガジンアルク 』よりビジネスパーソン必見の特集をお届けします。学習は継続が大事!それがわかっていてもなかなか実践するのは難しいものです。今回は モチコン先生 こと福江友樹氏に学習継続のコツを教えていただきます。
モチコン先生こと福江友樹
上智大学卒。ボストン大学大学院修了(MA)。英語学習アドバイザー。英語研修プログラムの開発や英語スピーキングテスト開発、評価などに従事。数多くの大学や企業で英語学習法やモチベーションアップのためのセミナー講師を務める。
「モチコン」とは
「モチコン」とは、モチベーション・コントロールのことです。モチベーション(動機・やる気)を コントロール(調節)し、学習意欲を維持することができれば、「続ける」ことができるはず!3つの工夫をモチコン先生があなたに伝授します!
【工夫1】目標は「ピンポイント」で立てる
あなたが英語を学習する目的、目標は何でしょうか。会社の 方針 で学習せざるを得ない方も、自ら進んで学習したいという方もいるでしょう。いずれにしても英語を学ぶのには、何かその理由があるはずです。でも、「 具体的な 目標を持っていない」という方は多いかもしれません。学習の継続を支えるのに、 具体的な 目標設定は重要です。そして目標は、 具体的でピンポイントであればあるほどいい のです。もちろん「TOEICで○○点」という目標もいいのですが、お勧めなのは、 「○○ができるようになる」 というものです。
例えば、「海外出張の際、自社商品について英語で紹介できるようになる」とか、「○○(映画の作品名)のあの場面を英語音声のみで見られるようになる」といった目標が立てられれば、そのためには、何を学習すべきか見えやすくなります。そして目標達成までの期間や学習計画も見いだしやすくなります。まずは最長でも いったん、1年程度の 目標を立てる のが現実的です。
ここでポイントは、「自社商品」とか 具体的な 作品名。「海外出張の際、英語で営業ができるようになる」では漠然としていて、実現の難易度が上がってしまいます。「映画を字幕なしで見られるようになる」も同様。特定の商品や特定の映画であれば、実現性が高まるのです。
「自分はどこを目指すのかを考えること」 こそが目標設定です。ちょっと考えなければ出てこないものですが、必ず後につながるものです。どうしても目標が設定できない方は とりあえず 「目標の仮据え」をしてみてください。後で変えてもいいのです。むしろ、目標は状況によって変わるものなのです。
【工夫2】学習環境の「自分ルール」を作る!
学習計画を遂行するためには、学習を習慣付ける必要があります。そのためには、 学習環境(時間、場所、ツール)を決める ことをお勧めします。何を学習するかが決まっていても、環境設定ができていないと進みにくいものです。
例えばビジネスパーソンの場合、まとまった時間を見つけるのはなかなか難しいのではないでしょうか。そこで、下の図のように1日のスケジュールを書き出してみて、どの部分なら学習できるかを考えてみます。学習時間は「努力で捻出するもの」とはいっても、書き出してみると意外とどうにもならないことがわりますよね。残業や仕事の後のお付き合いが多い方の場合、実際に学習に充てられるのは通勤時と昼休みだけかもしれません。まとまった時間が必要なら、比較的自由になる朝の時間を活用するのもいいでしょう。
そして、 自分ルールの設定をします 。「通勤時の電車に乗っている時はスマホで通信講座の音声を聞き続ける」とか「月曜と木曜は、ランチは会社のデスクで食べ、その間に問題集の○ページをやる」など。
これだけは死守する。言い方を変えると、 これ以外はやらない 、というルールです。
自分の生活時間から学習できる部分を探してみましょう
マガジンアルク読者の皆さんの「自分ルール」
以前マガジンアルクで募集した「続けるための心掛け」にお寄せいただいた声の中からご紹介します。
スマホのアプリで10分リスニングをしたり、10分英単語を聞いたりすることを日課にしています。それから「 1000時間ヒアリングマラソン 」と『 ENGLISH JOURNAL 』を聞きます。短時間でも日課にするのが私には合っているようです。
毎朝5時から、BBCをはじめ海外ニュースをテレビで視聴しています。NHK語学番組と『 ENGLISH JOURNAL 』を定期購読して何年かたちました。
静かに集中して学習や 作業 ができる時間を1日30分~1時間はつくるようにしています。普段は夜ですが、予定がある時は朝にして、毎日続けることが大切です。
【工夫3】学習の「振り返り」をする
ピンポイントで目標を設定し、学習計画を立て、自分ルールを決めたら後は進むのみですが、 特に学習の初期段階では、振り返りが重要 です。予定通りに学習できなかった時に特に 有効 なのですが、1週間ごとに振り返ることをお勧めします。長期間振り返らずにいると、計画からの隔たりが大きくなり、モチベーションが下がってしまうのです。
手順 で1週間ごとに学習を振り返ってみましょう">次の 手順 で1週間ごとに学習を振り返ってみましょう
STEP 1
計画に対してどれだけ学習できたか挙げてみます(量)。計画通りにできていなかったら次のステップへ。
STEP 2
できなかった理由は何か? 自分なりに理由付けをします。
例)忙しい、疲れていた、出張で学習時間が取れなかった。
STEP 3
できなかった理由ごとに、どうすればその状況でも学習できたかを考え、自分のキャパシティーを 把握 します。
?目標設定が明確ではなかったのでは?
⇒目標を再設定。明確でも実行できなかったのであれば、「時間・場所・ツール」の再検討を。
*?忙しかった?
- ⇒忙しい中でも学習可能な「時間・場所・ツール」を考えて計画し直します。
?疲れていた?
⇒疲れていてもできる学習量やツールを考えます。
例)夜、帰宅後に机で学習することを想定していたが、疲れてできなかった場合は、移動時間にスマホで学習に切り替えるなど。
この 「振り返り」から「学習の調整」をすることで学習量や進捗が現実的なものになり、挫折を回避しやすくなります 。学習しないと致命的、という状況でない限り、実際問題、結局はできる量しかできませんし、それでいいと思います。そういう自分を肯定してあげられれば、少しでも進むことができます。進めない時こそ、これまで自分が耕してきた畑を振り返ってみてください! また一歩、歩き出す力が湧いてくるはずです。
「続ける」ための3つの“工夫”まとめ
それでは最後に英語学習を続けるためのポイントをおさらいしましょう!
②「これ以外はやらない!」時間、場所、ツールを決めましょう!
③1週間ごとの「振り返り」から「学習の調整」を!
モチコン先生の動画メッセージを公開!
学習継続の「工夫」を動画でお伝えします。見れば「きっと」さらにモチベーションアップ!学習の主役はあなたです!
英語学習アドバイザーになるには
ESACR認定 英語学習アドバイザーコース
学習者に応じて適切なアドバイスができるプロの英語学習アドバイザーを養成する『ESACR認定 英語学習アドバイザーコース』をご用意しています。学習者をサポートするための知識と技術を、テキストとDVDで実践的に学べ、学習後は、指定課題 提出 により、「ESACR認定 ジュニア・アドバイザー資格」が 取得 できます。
語り:福江友樹
文/構成:マガジンアルク編集部
編集:末次志帆
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。