同じ英語学習でも、ライティングやスピーキングといったアウトプットは、リーディングやリスニングに比べるとちょっとハードルが高いですよね。ずっと頑張ってきたのになかなか成果が出ないとしたら、やり方を見直してみてもいいかもしれません。そんなとき参考になるのがこの本、 『会話もメールも英語は3語で伝わります』 。カッコいい言い回しや難しい表現にこだわるよりも、シンプルな「3語の英語」で気持ちを伝えようという本です。ちょっとのぞいてみましょう。
著者は英語を教えるプロ!だから信頼感バツグン
本書の著者の中山裕木子さんは、特許翻訳者にして技術英語講師という英語のプロ。大学や企業などで英語講師をした経験も豊富です。 しかし、中山さんが担当するのは技術者や研究者向けの講義が多く、受講者の多くは英語が苦手でキライ。ある大学では、中山さんが話し始めると半数が寝てしまうということもあったとか。
英語には冠詞(theやa/anなど)のように、理論的には説明しきれない部分もあり、理工系の技術者や研究者にとっては「やっかいで難解なもの」と映っていたようです。
そこで中山さんが注目したのが「テクニカルライティング」。工業英語、技術英語とも呼ばれ、レポートやマニュアルに代表されるテクニカルライティングには、さまざまなルールがあります。
テクニカルライティングには、冠詞、名詞の習得、構文の習得、主語の決め方など、さまざまな項目があります。しかしいずれも、何年もかけて習得するというものではありません。たった数日でも、すべての知識が習得可能です。この手法を取り入れるようになってから、寝てしまう学生は激減。「英語が好きになれるかも」「英語が楽しくなった」という感想が聞かれるようになったそうです。※本書p.227より
このテクニカルライティングの手法からエッセンスを抜き出したのが、本書で取り上げる「3語の英語」。 簡単にいうと、いわゆる5文型(SV、SVC、 SVO、 SVOO、SVOC)のうち、最も簡単なSVO(誰かが何かをする)を使って表現するテクニックです。これは効果がありそうですね!
「3語の英語」をさっそく実践してみよう
例えば「私の仕事は英語講師です」を英語で言うとき、あなたならどうしますか。 多くの方が次のように考えるのではないでしょうか。
- 私の仕事→My job
- 英語講師→English teacher
- 冠詞がいるはずだから→an English teacher
- 「~です」→be動詞の“is”
しかし、これをもっとわかりやすく言うならば、こんな言い方ができますね。
I teach English.「3語の英語」ならこれだけで完成です。意味は変わらない上に、短く、直感的に理解しやすくなりました。
本書によれば、「3語の英語」を始めるのに、新たに文法や構文、単語を覚える必要はないとか。今、持っている知識を生かして、リラックスして英語を話したり、書いたりすることができるのです。
3語で伝えるために、これは捨ててしまおう!
「3語で英語」を実践するにはコツがあります。それは、思い切って次の8項目を捨ててしまうこと。
- There is/are構文を 捨てる
- 仮主語と仮目的語のitを 捨てる
- SVOO・SVOC構文を 捨てる
- 受身形を 捨てる
- イディオムを 捨てる
- not文を 捨てる
- 難解な英単語を 捨てる
- 難しい時制を 捨てる
例えば、「このページにはフローチャートのサンプルがある」という文を英語にするとき、つい次のようにしたくなりますね。
There are sample flowcharts provided on this page.中山さんの言う通り、主語を立てて考えてみましょう。“This page”を主語にすると・・・
This page provides sample flowcharts.ぐっと短くシンプルでわかりやすい英語になりました。3語ではありませんが、SVO形式になっています。
発想を変えて、“You can”を主語にしてみるとどうでしょうか。
You can find sample flowcharts on this page.動詞もより簡単な“ find ”になりました。
このように、8つの項目を捨て、「3語の英語」のテクニックを使えば、よりわかりやすく楽に表現できるようになるのです。
まとめ
言葉というのは、複雑に、難解にしようと思えばきりがありません。難しい単語や表現を使えば確かにカッコよく見えるかもしれませんが、相手に伝わらなかったり、 そもそも 伝える前に挫折したりしては意味がないですよね。
「3語の英語」は、簡単すぎて子どもっぽいようにも見えるかもしれませんが、何よりもコミュニケーションをとるという最大の目的を立派に果たしているのです。
英語で話したり、書いたりするのにちょっと疲れてしまったときは、とにかくシンプルな「3語の英語」に目を向けてみてもいいかもしれませんね。
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