英語もフランス語も♪読むだけで発音がちょっとだけ良くなる魔法っぽい処方箋

舞台芸術翻訳・通訳の世界

フランス語・イタリア語と日本語の翻訳家・通訳者である平野暁人さんの連載「舞台芸術翻訳・通訳の世界」。ご専門の舞台芸術通訳の仕事や趣味とする短歌など、多角的な視点から翻訳・通訳、言葉、社会についての考察をお届けします。第6回は、日本語母語話者が発音につまずきがちな英語やフランス語をはじめ、どの言語でも「発音が良くなる秘策」です。

読者感謝企画開催決定!!

EJOをお読みのみなさん、こんにちは。翻訳家で通訳者の平野暁人です。

突然ですがとってもうれしいお知らせがあります。このたび、短期集中予定だった本連載の継続が決定いたしました!ばんざーい!

いやはや英語のできない身で英語総合誌・サイトから依頼が舞い込んだだけでも驚きなのに、これほど多大なるご支援をいただけるなんて読者のみなさんには感謝してもしきれません。

そこで今回は読者感謝企画として、論考路線だった前回とはがらりと趣向を変え、こんなのやっちゃいます。名付けて、「万国語共通!読むだけで誰でもすぐに発音がちょっとだけ良くなる、魔法っぽい処方箋」です!

すごいぞ!なんて恥ずかしいタイトルなんだ(さっそく自暴自棄)!!

不戦勝最強説

企画名の圧倒的な安っぽさはさておき、誠にいまさらではありますが日本の外国語学習者には今も昔も、発音に関する苦手意識の強い方がとても多いですよね。とりわけフランス語の世界では、母語話者の中の最大勢力であるフランス人自身*1が「音」のうつくしさに強烈なアイデンティティ意識を抱いており、学習者の側にもそれを共有している人が多いので、発音が綺麗(きれい)ならとりあえず「勝ち」とすら言えるメンタリティが支配的です。

ちなみに「フランス語の音はうつくしい」というテーゼ自体に疑問符を付けてフランス人に闘いを挑んでも無駄。なぜなら奴(やつ)らは闘わないから。「フランス語の音がうつくしいのはフランス語がうつくしいからです」式のめくるめくトートロジーでいつでもどこでも不戦勝をかっさらいます。それどころか「はじめまして。フランス人です。勝ってます」と思っているフシすらあります。いつでもどこでも初対面で勝手に優勝する才能に関してフランス人と対等にわたりあえる日本人なんて存在しません。京都市内*2にしか。あ、いるじゃん。

ともあれ、フランス語ほどではないにせよ、EJOをお読みのみなさんの中にも、発音コンプレックスから自由になりきれず口が重くなったり声が小さくなったりする方は少なくないのではないでしょうか。そこで今回のこの感謝企画というわけです。

ところで、一般に「~するだけですぐに~できる」方式のキャッチコピーで喧伝(けんでん)されているものは基本的にすべて嘘(うそ)、あるいは弊害を隠していると断言してほぼ間違いありません。いくら音源を聞き流してもある日とつぜん英語が口をついて出てくるようになるとは思えないし、飲むだけで痩せる薬は痩せる代わりに慢性的な下痢を引き起こしたりします。世の中そんなに甘くない。学問とダイエットに王道はなし。弱点を克服するには、まっすぐ、ひたすらに努力を重ねるしかないのです。

そう、克服しようとするなら。

でもそれ、逆に考えてみたらどうなるでしょう。

ひょっとすると、克服しようとしないことで、自(おの)ずと拓(ひら)ける道もあるのではないでしょうか?

大事なことなので2回言います

禅問答はこれくらいにしましょう。

いよいよ今から、読むだけで誰でもすぐに発音がちょっとだけ良くなる、魔法っぽい処方箋をお出しします。

発音をすぐにちょっとだけ良くするには!

ずばり!

なるべく発音の難しい言葉を避けて、意味の近い別の言葉で述べるようにすればいいのです!

・・・あれ?

おかしいな。伝わっている気がしないぞ。ぽかんとしている読者の顔が目に浮かぶようだ。ええと、大事なことなのでもう一度言っておきますね。

できるだけ発音の苦手な単語を避けて、含意の似た違う語彙で言うといいのです!

「逃ゲル」勉強法ノススメ

さて、企画の目玉である「処方箋」もお出ししたことですし、もう今回はこの辺でさっさと終わろうかとも思ったのですが、このままだとせっかくの読者感謝企画で当の読者を敵に回したあげく抗議が殺到して連載継続が水泡に帰すという堂々のバッドエンドを令和史の一隅に刻みつけかねないので、もう少し丁寧に説明してみるとしましょう。

実はわたくし、かねてより「逃げる」勉強法というものを提唱しておりまして。

これは読んで字の如(ごと)く、「苦手なことを克服しようとするのではなく、最大限回避すべく細心の注意を払うことで、みすみす苦しんだり恥をかいたりせずになるべく楽しく外国語に親しもう」という考え方です。だってつらいの嫌だし。むしろ隙あらば褒められたいし。

もちろん、語学に限らず、なにかを学ぼうと思えば時には避けられない苦労もあります。例えばいくら暗記が苦手でも、綴(つづ)り字や動詞の活用をしっかり身に付けようと思えばひたすら覚える作業を完全に避けて通るのは難しいでしょう。

けれど少なくとも「発音」の問題に関しては、「逃げる」ことはとても有効です。なぜって先ほど述べたとおり、どんなに苦手な音があってもたいていの場合、なんらかの方法を用いてほぼ同じ内容に言い換える可能性、いわば苦手な単語から「逃げる」ことを選ぶ余地が発話者に残されているからです。

まして大多数の日本人が母語としている「日本語」はそもそも音の種類や組み合わせのパターンに極めて乏しい言語。ほぼすべての単語が「子音*3+母音*4」という単純かつ平易な組み合わせで構成されています。つまりほとんどの日本語母語話者は幼いころから単純かつ平易な音にしか触れずに育っているわけですから、ある程度の年齢に達してからいきなり「r/l」だの「th」だの「gli」だの「어/오」だの「ك/ق」だのといった複雑怪奇な音の数々を聞かされて聴き分けろとか発音を再現しろとか言われても、対応しきれないのは無理もありません。それどころか、日本語を母語として育った人間ならできなくて当然とすら言えます。

それならいっそ、自分の苦手な音からは徹底的に逃げまくり、自分の弱点を「隠す」もしくは「極小化してみせる」ことで問題を解決、できないまでも「なかったこと」にしてしまおうではありませんか!どんなに苦手な音だって、出しさえしなければ失敗することもありません。ほら、死体が発見されなければ殺人事件は成立しないっていうじゃないですか!ちょっと違うけども!(※だいぶ違います)

そうしてワンフレーズ当たりに含まれる苦手な単語が減れば減るほど、相手の耳にはあなたの発音が向上しているように聞こえるというわけです。

みんなで一緒に考えてみよう!

さて、ここまでのお話で「逃げる」勉強法の基本的な精神はご理解いただけたかと思いますが、せっかくですからこの辺で、具体的な「逃げ方」の例をご紹介してみようと思います。

ただ、音の話を文字の上だけで完結させるのは容易なことではありません。また、本稿をお読みくださっている方の中には多種多様な言語の学習者が含まれていることでしょう。私が専門としているフランス語やイタリア語の単語を例に挙げて説明してみても、その2つの言語を知っている人以外にはぜんぜんピンとこない話になってしまうかもしれません。せっかくこうして不特定多数の方へ向けて発信しているというのに、言語を限定して射程を狭めてしまうのではいかにも残念というもの。

そこで!ここはひとつ発想を逆転させ、いま読んでくださっている方をただの一人も排除しない言語、すなわち「日本語」を例にとって考えてみることにします。日本語を学ぶフランス人を主人公に、さまざまな「逃げ方」を一緒にシミュレーションしてみましょう!

「ピエールくん、花を買う」の巻

ピエールくんは日本で語学学校の初級クラスに通うフランス人。このたび日本人の知人宅に食事に招かれることになりました。

お呼ばれといえば手土産です。ここがフランスであればそういうときは「花、ワイン、チョコレート」の三択から選んでおけば怪我(けが)をせずに済むのですが、いくら日本(の漫画とアニメ)が大好きとはいえ、そこはピエールくんも生粋のフランス人。スイス製はおろか、ややもすればベルギー製まで勝手に見下す心意気で育ってきたというのに、日本製のチョコレートなど痩せても枯れても買うわけにはいきません。輸入物のフランスワインを買って行くという手もありますが、日本で買うとやたらに高いうえ、自分のお気に入りが手に入るとも限りませんから、「フランス人が持ってきてくれたワイン」という高い高い期待値をクリアできる保証がないのがつらいところです。

というわけで、最も無難で、かつ栄えある共和国市民のプライドに抵触しない選択肢である「花」を買って行こうと決めたピエールくん。さっそく知人宅付近にある花屋さんをネット検索し、張り切って家を出たところまではよかったのですが、なにせ慣れない異国のこと、目的地付近まで来て迷ってしまいました。

そしてここはフランスと違いフリーWi-Fiの少なさで世界中の観光客に不評を買っている日本。もはや道ゆく人に尋ねてみるしかありません。日本語はまだ初級ですが、それでも「~はどこですか?」「~が買いたいです」程度の定形フレーズなら頭に入っています。

ただ、ピエールくんにはひとつ弱点がありました。それは「ハ行」がうまく言えないこと。日本語と比べれば複雑な音をたくさん有しているフランス語ですが、「h」の音は単体では発音しない決まりになっているため、フランス人の日本語学習者には「ハ行」が言えずに苦労している人が実はとても多いのです*5

さらに悪いことに、「花/hana」は語頭の「h」がうまく言えないと通じないだけでなく、「穴/ana」という別の意味を持ってしまう厄介なヤツ。しかも相手は通りすがりの他人です。語学学校の先生のように、フランス人の苦手な発音を脳内で補正しつつ文脈から判断するという高度な聴き手ではなく、「今現在同じ場所にいる」ことくらいしか共有情報のない相手なのです。初級者のフランス人が鼻濁音をたっぷり利かせて「スミマセンヌ、アナヤワドコデスカ?」と放てば混乱は必至。優しく聞き返してくれればまだしも、「は?え?穴?」などと困惑されてしまったらいたたまれません。そういうのって、後々までけっこうなトラウマになるんだよね・・・。

だがしかーし!本稿をここまで読み進めてくださったみなさんならもうおわかりですよね。そうです、苦手な音からは逃げればいい。伝わらない音なら最初から出さなければいいのです!それではどうすれば「ana」と言わずに花を買うことができるのか、よかったらみなさんもゲーム感覚で考えながら楽しく読んでみてくださいね!

逃亡メソッドその1:近い意味で音のやさしい単語に言い換える

【例】スミマセン、セイカテンワドコデスカ?

まず、自分にとって嫌な音を含んでいる単語(いきなりですが今から「嫌語」と呼ぶことにします)と近い意味の言葉が存在する場合は、端的にそちらで言い換えてしまいましょう。「本屋→書店」「服→着るもの」といった具合です*6

「生花店」は通常、口頭ではあまり用いられない語彙なのですんなり通じるとは限りませんが、ある程度以上の年齢の日本語母語話者であれば「セイカテン?あ、生花?花を売っているお店ですか?」という具合に数ターンのやりとりを経て導き出してくれる可能性が高いです。

ポイント:このメソッドが好きな人は、嫌語ひとつにつき最低ひとつは代用語彙を準備しておく必要があります。日頃から嫌語アンテナを張り巡らせ、「コレ、嫌」と思う単語が出てきたら可及的速やかに類語辞典を引くよう心がけることが肝腎です。

注意点1:世の中には、近い言葉や表現はあっても完全に同一のものはありません。どんなに似ていても、違う言葉である以上どこかに独自のニュアンスを孕(はら)んでいます。そうした微細なニュアンスの違いに無頓着では、いつまで経(た)っても言語のもつ真の豊かさに触れることができません。言い換えを多用するからこそ、わずかな違いも見逃さず把握して適切に使い分けられるよう努めましょう。

注意点2:いくら言いやすくてもあまりスピーチレベルの高い語彙はネイティブでも知らない可能性があります。代用語彙を選ぶときは言いやすさと通じやすさのバランスを考えつつ、同音異義語にも配慮して採用するようにしましょう。

逃亡メソッドその2:「型」にはめて情報を強化し、弱点を弱体化させる

【例】スミマセン、オアナヤサンワドコデスカ?

2つ目は、嫌語をみすみすそのまま出さず、「型」にはめ込んでしまうこと。

「アナヤ」では通じなくても、お店を丁寧に呼ぶ場合の型である「お~屋さん」にはめ込んで「オアナヤサン」としてしまえば「型」の効力により「なにかのお店の話をしている」という基幹情報の伝達効率が上がるので、聴き手が脳内で「オアナ→オハナ」と補正して理解してくれる可能性も飛躍的に高まります。同時に、接頭辞「お」を付けることで直後の「ha」がしっかり言えていないことが目立ちづらくなり、弱点隠しに役立ちます。

ポイント:このメソッドが好きな人は、嫌語をごまかしやすい「型」のストックを多めにもっておくことが大切です。また、「型」メソッドを応用すれば、発音以外にもさまざまな弱点を隠すことができます*7

注意点:「型」は万能とは限らないので、適用可能範囲を併せて厳密に把握しておくことが重要です。これを怠って濫(らん)用すると、「お本屋さん」や「お服屋さん」といった、初学者に典型的な誤用の原因となります。

逃亡メソッドその3:具体例を挙げ、目的を最短距離で明示する

【例】スミマセン、バラガカイタイノデスガ。

3つ目は、最初から具体例を挙げ、目的を明確に提示するという方法です。

ピエールくんの場合、「花屋に行く」ことは手段に過ぎず、最終目的はあくまでも「花を買う」こと。であれば「花を買う場所を探している」という状況説明から一歩踏み込み、具体例と併せて最終目的を明示すれば、聴き手は多少戸惑いつつも、とにかく花の買える場所を教えてあげればいいのだな、と理解してくれるはずです。もちろん、ここで用いる具体例はあくまでも嫌語から逃亡するための方便なので、無事にお店に着いた暁には自由に好きな花を買えばいいわけです。

ポイント:このメソッドが好きな人は、目的を明確に説明するため「本が好き→小説やエッセイを読むのが好き」「服屋に行く→Tシャツとかパンツとかを買いに行く」のようにして、嫌語に付随する具体的な選択肢を羅列できるようにしておきましょう。

注意点:最短距離で「目的」を明示するということは、裏を返せばそれ以外の条件を切り捨てるということです。この例に則して言えば、「とにかく花が買えればいいんだよね」ということでお目当てのお花屋さんではなくスーパーの生花売り場に連れて行かれてしまう可能性もあります。確実に達成すべき目的と譲歩できる副次的な条件とを自分の中で明確に区別したうえで伝えるのを忘れずに!

「逃げる」ことで強くなるために

いかがでしょう。逃亡メソッド3連発、楽しんでいただけましたでしょうか。

これらはいずれも「苦手な音、出せない音を徹底的に回避しつつ必要不可欠な意思疎通を成立させる」という点に特化したサバイブ術であり、一種の思考実験、知的遊戯ではありますが、実用性に関してもこのワタクシの折り紙付きです。

でも、「こじつけっぽい」「ほんとにうまくいくのかなあ」「ほかにもっと良い逃げ方があるんじゃないの?」と思われる読者様もおいでかもしれませんね。そういう方はぜひ、自分が学んでいる言語の中の苦手な音を思い浮かべて、自分に最適な「逃げ方」を探してみてください。素晴らしい逃亡メソッドがみつかったら、Twitternoteを通じて私にも教えてもらえるととってもうれしいです。

あと、「ていうか店とか地図のスクショ*8撮っといて相手にみせたらよくね?」とかつっこみながら読んでいた人は怒らないから正直に名乗り出なさい。いや、気持ちはわかる。でもな、それを言ったらそもそも実践語学の諸問題がほぼすべてポケトーク1台で解決されるXデーはこうしている今も着々と近づいてきているんだ。つまりそれとこれとはフェーズが違うというやつだ。はっきり言って「計算機使えばいいのになんで算数なんかやるんだよー」とか言っている小学生と同じだぞ。せんせーは悲しい。って誰が先生だ。

冗談はさておくとしても、まったく身も蓋(ふた)もない話をしてしまうと、発音の不得手な人にとって本当の本当にいちばん大切なのは、結局のところ「気にしない」ことです。発音の巧拙などというものは所詮(しょせん)、数ある言語運用能力パラメータのうちのほんの1項目に過ぎないのですから、前後の文脈や状況から推測してもなお疎通が難しいほどの深刻なケースを除けば、欠点としてはむしろ取るに足らないものでしょう。

けれど、「上手に発音できなくても気にするな」と言われて気にせずに済むのならコンプレックスとは呼ばないわけで、それならいっそ「上手/下手」の土俵に上がらなければいい。初めからそこで戦わなければ負けようもありません。

しかも、です。EJOの中でも平野の連載を選んで読んでくださっているほど聡明なみなさまであればすでにお気づきのとおり、上記3つのメソッドを上手に使いこなそうとすれば、「1」なら語彙力が、「2」ならさまざまな表現型が、「3」なら説明能力が必ず鍛えられます。どれも、真に高次元の言語運用を目指すうえで必要不可欠な能力ばかりです。苦手な音から逃げたい一心でほかの能力がどんどん向上するならコンプレックスもお釣りが来るというもの。ぜひとも逃げて逃げて逃げまくりましょう!そうして発音は良いけどいつも似たような語彙を使い回している人や、ペラペラしゃべるわりにノイズ(雑多な情報)ばかり多くて要領を得ない人たちを「質」で圧倒してやろうではありませんか!

最後にみんなで腹話術をやろう

さてさて、圧倒といえば今月もほかの連載陣を圧倒する長文でお送りしてまいりました。ここまでお付き合いくださったのですから、みなさん逃亡の準備は万端に整ったことでしょう。

それでは最後に、全員でひとつ、余興をやろうと思います。お忘れかもしれませんがなんせ今回は読者感謝企画!いくらWeb連載というオンラインの関係とはいえ、いやむしろだからこそ、みんなで同じ経験を共有し、一体感を得てから終わってこそ大団円というもの。

そこで腹話術です。

誰でも子どものころに一度は真似(まね)して遊んだ経験のある(ということにしておいてほしい)腹話術を、液晶の前で各々(おのおの)やって、今回の企画の総ざらいをしようではありませんか!

・・・あれ?

おかしいな。またしても読者のぽかんとする顔が目に浮かぶようだ。振り出しに戻った気がするぞ。まあここはひとつだまされたと思ってぜひやってみてください。大丈夫、腹話術なんてやったことないよーという人も、言うとおりにしてくれればきっとできます。いいですか?

まず、口を閉じて、上下の歯、特に奥歯をしっかり噛(か)み合わせます。次に、唇の先の方をうっすら、なるべく目立たない程度に開きます。

これで準備完了です。

では、そのままの状態で、下記の太字の部分だけを読んでみてください。

腹話術師みたいに唇をまったく動かさないまましゃべるんですよ?

あれ?できませんか?

腹話術師のように口をぜんぜん動かさずに話すんですよ?

そうそう、なるべく発音の難しい言葉を避けて、意味の近い別の言葉で述べるようにすればいいのです!

大事なことなのでもう一度言っておきますね。

できるだけ発音の苦手な単語を避けて、含意の似た違う語彙で言うといいのですよ!

ね?

つまり、そういうこと!!

2週間無料でお試しできる!プレミアムメンバーシップ

プレミアムメンバーシップ2週間無料

月額980円(税抜)のプレミアムメンバーシップに会員登録をしていただくと、「PREMIUM」エリアに公開されるすべての有料記事へアクセスができます。 ほかにもアルクの電子書籍の購読、イベント優待など、学習のモチベーションを継続させるためのさまざまコンテンツをご用意していく予定です。 まずはぜひ、2週間無料でお試しください。

平野暁人

文:平野暁人(ひらの あきひと)
翻訳家(日仏伊)。戯曲から精神分析、ノンフィクションまで幅広く手掛けるほか、舞台芸術専門の通訳者としても国内外の劇場に拠点を持ち活躍・・・していたのに、目下ウイルス失業中。主な訳書に『隣人ヒトラー』(岩波書店)、『「ひとりではいられない」症候群』(講談社)など。
Twitter:@aki_traducteur

編集:ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

*1:ちなみにフランス語圏としてはフランスのほかにもスイス、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、西アフリカ諸国などがあります。

*2:「市内」がポイントです。市内と市外のあいだには、人と猿とを分かつ深くて昏(くら)い河が流れているらしいです。京都こわい(偏見)。

*3:「あいうえお」以外の音のこと。

*4:「あいうえお」の音のこと。

*5:ちなみに日本語に限らず、英語のhaveも全力で「アヴ」と発音するので、例えば I have a pen.も「アイアヴァペンヌ」となります。音がつながるうえに語末のnの音までねちっこく引っ張るのでもはや完全に英語とは別のナニかです。

*6:「ハ行の言えないフランス人」を念頭に、すべてハ行の例で統一しています。

*7:例えば「~みたいなやつ」という「型」を用いれば名詞が厳密に特定できなくても発話できますし、「~とは思うんですけどねえ・・・」という「文末型」に落とし込めば長い会話に耐えうる語学力がなくてもすごく自然にフェードアウトして終わらせることができますし、文の終わりに必ず「知らんけどな」を付け足すという「型」を操れば発話内容に確信がなくても断定を避けることができます。知らんけどな。

*8:「スクリーンショット」の略。スマートフォンの液晶に表示された画面をそのまま写真同様にデータ保存する技術のこと。