英語のカリスマ2人が説く「耳から学ぶ重要性」とは?

英語のカリスマ2人が説く「耳から学ぶ重要性」とは?

本や映像ではなく、Podcastやラジオを使って耳から英語を学ぶことには、どんなメリットがあるのでしょうか?「英語のカリスマ」と呼ばれる杉田 敏さんと大西泰人さんに、耳で英語を学ぶことの重要性や、Podcast やラジオを使った効果的な学習方法などをお伺いしました。

短時間でいいので、集中して聞く

最近は見たり聞いたりできる英語の教材がたくさん出てきていますが、ラジオやPodcastのように「聞く」学びが見直されてきているように思います。もちろん、身ぶり手ぶりや表情などはコミュニケーションの重要な要素ですし、視覚情報は英語を学ぶ上で大きな助けになります。その一方で、視覚情報があることで、「どう聞こえるか」という「音」に対する注意力をそらしてしまうことがあります。音に集中してしっかり「聞く」ことができるラジオやPodcastを活用すべき理由はここにあります。

しかし、漫然とBGMのように聞いていては、いつまでたっても英語は身に付きません。それは、「英語を聞いている」のではなく、単に「音が聞こえている」だけ。「所々しかわからない」という状態でもいいので、「意味を理解しよう」と集中して聞いてください。慣れてくると、わかるところがだんだん増えてくるはずです。

ただ、人間の集中力はそれほど長く続くものではありません。せいぜい10分から15分くらいでしょう。それでも十分です。集中して聞いていると思いの外疲れますが、そのぶん学習効果は高いはずです。

「現在地」を知り、「行き先」を定める

よく「どうしたら英語がうまくなりますか?」と聞かれますが、まずは今の自分の英語力がどのくらいかを知ることが大事だと思います。英検やTOEIC などの試験を受けて、自分の「現在地」を知ることです。

そして、最も重要なのは目的です。何のために英語がうまくなりたいのかを思い描きましょう。単に「英語がうまくなりたい」のような漠然としたものではなく、「来年までに、英字新聞がすらすら読めるようになりたい」「〇歳になるまでに△△大学に留学してMBAを取りたい」など、いつまでに「どうなりたい」「何ができるようになりたい」とできるだけ具体的に思い描いてください。

ここまでできれば、あとは「3間(さんま)」を確保するとよいでしょう。これは、勉強する「時間」や「空間」、そして一緒に学ぶ「仲間」です。毎日英語を勉強するための時間と空間を確保すること。そして、お互い励まし合ったり、悩みを相談したりできる勉強仲間を持つことが、学習の継続を後押ししてくれるはずです。

今は、ラジオやPodcastなどで、リーズナブルで良質な英語教材が手軽に手に入ります。語学学習は継続することが重要ですが、これらは定期的に新しい教材に進むので、よいペースメーカーになってくれます。上手に活用し、学習を続けてほしいと思います。

杉田 敏(すぎた・さとし)
NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師、昭和女子大学客員教授。青山学院大学経済学部卒。オハイオ州立大学修士号(ジャーナリズム)。バーソン・マーステラ代表取締役社長、電通バーソン・マーステラ取締役執行副社長、プラップジャパン代表取締役社長を歴任。『実践ビジネス英語―ニューヨークシリーズ ベストセレクション』(NHK出版)、『人を動かす! 話す技術』(PHP新書)、『成長したければ自分より頭のいい人とつきあいなさい』(講談社)など著書多数。

音声は、多くの情報を伝えてくれる

英語を耳から学ぶことがどうして重要なのでしょうか。僕は大きく二つの理由があると思います。

一つ目は、特に英検準1級くらいのレベルになると、耳から入る情報の方が、テキストだけに比べて単位時間当たりの情報量が多いため、速く効率よく学習できるからです。「初級」レベルでは、テキストの英語を読み、日本語訳と比べることで単語の意味を理解しながら学習することが必要です。この段階では、テキストなしに英語を聞いていても、つづりがわかる単語しか耳に入ってきません。

しかし上達してくると、ニュースやテレビ、友達とのやりとりなど、耳から入ってくる情報から迅速に学ぶことができるようになります。つづりがわからなくても、単語が聞こえてくるので、「つづりはわからないけど、意味や使い方がわかる」という単語が増えてくるのです。

また、耳から入ってくる情報からは、その言葉の意味だけでなく、どんな状況で使えるのかといった情報も併せて身に付けることができるので、英語力の伸びがぐんと変わります

「本物の英語」を学ぶ

二つ目は、耳から学んだ英語は「本物」になるからです。例えば、「彼女はとても悲しんだ」というときに、僕たちはよくsad(悲しい)disappointed(がっかりした)という単語を使いますが、devastatedも使えます。devastateは「~に打撃を与える」「~を大きく落胆させる」という意味で、destroyに近い、非常に強い意味を持つ単語です。テキストや辞書で訳語を見るだけでは、どんな場面で使っていいものかわかりにくいですが、会話の中で相手がI was devastated.(ものすごく悲しかったよ)と使ったのを聞けば、「そうか、普段の会話の中で、こんなシチュエーションで使っていいんだ」ということが理解できます。

耳から入った英語は、「あの人が、こういう状況で使っていたな」という周辺情報も含めて記憶されるので、自分が使うときに非常に役立つのです。使える状況やニュアンスまで併せて頭に入るので、「使い物になる英語」として学ぶことができます

ただ、初心者のうちは耳から“だけ”では英語を学ぶことはできません。やはり、基本は大切ですから、テキストを見ながらしっかりと単語や言い回しを学ぶといいでしょう。こうした段階を経た上で、「耳から学ぶ」というステップに進むといいと思います。

一歩一歩段階を踏み、英語ができるようになると自信になります。「世界中どこにいても生きていける」という自信は人生を支えてくれますし、人生を豊かにします。英語力は、そうした自信につながるものの一つであると考えています。

大西泰斗(おおにし・ひろと)
NHKラジオ「ラジオ英会話」講師、東洋学園大学教授。筑波大学大学院修了。オックスフォード大学言語学研究所客員研究員を経て、現職。NHKテレビ「3か月トピック英会話~ハートで感じる英文法」「しごとの基礎英語」などの講師を務める。著書に『NHKラジオ英会話 英単語 基本イメージ集中講義』『NHKラジオ英会話 英文法パーフェクト講義 上・下』(いずれもNHK出版)、『一億人の英文法』(東進ブックス)、『総合英語FACTBOOK』(桐原書店)など多数。

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『ENGLISH JOURNAL』8月号では、おすすめPodcast&ラジオ番組を厳選してお届けします。今回解説してくださった杉田さんと大西さんが講師を務めるNHKラジオ番組も深掘りし、番組の特徴や活用法について詳しくお話しを伺いました。「耳から学ぶ英語」で効率よく学習しましょう!

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年8月号に掲載された記事を再編集したものです。