英語でビデオ会議のお作法できていますか?必須の注意点6つ

ビデオ会議

テレワークなどで、ウェブでのビデオ会議や電話会議の機会が増えています。顔が見える場合も見えない場合も、通信環境などが原因で、直接対面の英会話や英語のビジネス会議とは異なる注意が必要です。何千回と電話会議を通訳してきた同時通訳者の小熊弥生さんによる電子書籍『「英語で電話会議」の教科書』から、アドバイスを紹介します。日本語のオンライン会議にも役立つヒントがいっぱいです。

電話会議で気を付けたい英語の単語と発音

「電話会議向きの単語や表現なんてあるの?」と思うかもしれませんね。それが、あるのです!

というのも、電話会議ではどうしても回線の状況が悪くて相手の言うことが聞き取りにくかったり、こちらの言うことが通じなかったり、という事態が発生します。

ですから、そのような状況でもできるだけ伝えられるよう、聞き取りやすい単語や表現を使い、聞き取りやすい発音をすることを心がけましょう。英語力に自信がある人も、ぜひ気を付けてやってみてください。

電話会議の状況を改めて確認しよう

まず、電話会議にはどのような問題点があるのか、改めて確認してみましょう。

  • 顔が見えないので、表情から発言内容を補うことができない
  • 口が見えないので、口の形から言葉を推測できない
  • 誰の声かが分かりにくいので、慣れるまでは発言者の判別が難しい
  • 参加者が移動中だったり、自宅にいたりすると、乗り物の音や子どもの声、犬の鳴き声など生活音で発言がかき消されることがある
  • 参加者のマイクまでの距離や回線の状況で、音声が途切れることがある
  • 参加者の声質や発声がマイクで拾いにくい場合、もごもごして聞き取りにくい
  • スライドなどの画像を共有できない場合、耳から得られる情報だけで理解しなければならない
  • 対面会議なら、不明点があってもすぐ隣の人に確認できるが、別回線の電話でもない限り難しい
  • ネイティブスピーカーが多い会議では、スピードが極端に速く歯が立たない
  • ノンネイティブで英語が苦手な人が多い会議だと、なまりが強く理解しにくい

改めて書き出してみると、本当に多くの問題点がありますね。

電話会議は、海外出張よりコストも時間もかかりませんが、こうした問題をあらかじめ想定して適切な準備をしておかないと、かえって混乱を招き効率が悪くなってしまいます。

特に、電話会議中に起こった混乱や誤解を解くのには、対面の3倍は時間がかかると言われています。ですから、時間や手間がかかっても1回の電話会議で正しく伝えられるよう、入念に準備をしておきましょう。

電話会議は、メールと違って直接声でやり取りするため、対面会議ほどではないものの、相手との信頼関係が構築しやすくなります。そのため、メールだけでやり取りするより良好な人間関係を築くことができ、困ったときに助けてもらえることも多くなるのです。

電話会議で英語を話すときの単語や発音について、次に紹介する点に注意しましょう。

キーワードには「音が長い単語」を使う

注意点のひとつ目は、短い単語を避けること。電話会議では、回線の状況が良くなかったり、自宅から参加した人の背景で生活音がしたりして、音が途切れることがよくあります。

そんなとき、短い単語を使って話していると、単語ひとつを丸ごと聞き逃すと理解できなくなり、聞き返すことになるのです。

例えば、あなたが次のような発言をしたとしましょう。

△ Are you done?

もう終わりましたか?

英語としては何の問題もありませんが、もし、doneのところで回線が途切れたらどうでしょうか?相手はあなたが何を聞きたいのか分かりません。この場合、次のようにdoneより長いfinishedを使えば、相手が聞き取ってくれる可能性は高くなります。

Are you finished?

もう終わりましたか?

句動詞を避ける

同じように「聞き漏らしを避ける」という理由から、ネイティブスピーカーがよく使う句動詞も避けたほうがいいでしょう。

句動詞というのは、do、make、have などの基本動詞に前置詞や副詞句を組み合わせて独自の意味を表現するイディオムのこと。do away with ~(~を廃止する)、make over ~(~を作り替える)など、大学受験のときに覚えたという方も多いのでは?

これらの句動詞は、動詞も前置詞も音が短く、どちらかでも聞き漏らすと意味が分からなくなります。ちょっとした回線の不具合でも音が途切れ、聞き返されることがあるので避けたほうがいいでしょう。例を挙げてみますね。

put off(延期する)→ postpone

call off(キャンセルする )→ cancel

carry out(実行する)→ execute

turn on(オンにする)→ switch on

go on(継続する)→ continue

look out for(注意する)→ pay attention to

go over(見直す)→ present / review

代名詞ではなく固有名詞を使う

先に紹介した2つの例は、音が途切れることに対する対策でした。

今度は、「電話会議で相手が見えないことなどによる誤解」を避けるための注意点です。

本来、英語では代名詞を多用し、コミュニケーションの効率を上げています。しかし、電話会議で代名詞を多用すると何を指しているのか分からなくなり、混乱のもとになってしまうのです。

気心の知れた相手とでも、電話会議のあとでお互い誤解していたことが分かり、あとの祭りということも少なくありません。

話している最中はまどろっこしいと思うかもしれませんが、できるだけ固有名詞を使って、事前に誤解を防ぎましょう。

次の例を見てください。

△ Can you make it in time for the promised delivery date?

約束した納期までに間に合いますか?

make itという基本動詞と代名詞の組み合わせを使っていますが、そのように曖昧に表現するのではなく、具体的に言いましょう。

例えば、finish building the patch(パッチの構築を終了)やproduce the automobiles(自動車生産)といった具合です。

先ほどの例文は、次のようになりますね。

Can you finish building the patch in time for the promised delivery date?

約束した納期までにパッチの構築を終了できますか?

他の例文を見てみましょう。

△ Can you please have her call me later?

あとで彼女から私に電話するようにしてもらえますか?

Mr. Takada, can you please have Takako call me?

高田さん、貴子さんから私に電話するようにしてもらえますか?

このように、代名詞をできるだけ避けて固有名詞を使うことで、音が途切れた場合にも聞き取りやすくなり、さらに、誰が聞いても「何をいつ誰がどうするか」が明確になります。こうすることで、誤解を招かず、混乱を避けることができるのです。

can’tやisn’tは使わない

もうひとつ、電話会議で覚えておきたいのが、(助)動詞+notの短縮形を使わないことです。

特に、can’t、isn’t、didn’tには注意が必要です。これらの単語のn’tの部分は音がとても短いので、同時通訳者にとっても聞き取りが難しいのです。さらに、n’tがあるかないかで正反対の意味になるのですから、非常に重要です。

難しい上に重要なので、同時通訳の最中、同じブースに入っている他の通訳者に助けてもらうこともあります。メモに「’」と書いて渡してくれたり、指でバツを作って教えてくれたり。いずれも「n’tが付いていますよ」という意味です。

これほど難しく、また重要なのですから、電話会議で発言するときには、できるだけcan’tやisn’tは使わないほうがいいと思います。まずNo.と言ってから発言するか、n’tと略さずに、むしろnotを強調して話すようにしましょう。

「~できません」と言うときは、can’tではなく、cannotと言ったほうがいいということです。

声の大きさは普段の2倍に

次に、声の出し方について考えていきましょう。

通訳として働いていて、一番多い困り事は「声が小さくて聞こえない」です。特に電話会議では、声が小さくて聞き取れず、言い直してもらうようにお願いしたことが数え切れないほどあります。

「声の大きさ」はあなたが思う以上に重要です。電話会議に出席するなら、自分のいつもの声の2倍の大きさで話す気持ちで頑張りましょう。

英語に自信がないと、つい声が小さくなってしまう気持ちは分かります。しかし、とにかく相手が聞き取れる音量を出さないことには、会議は始まりません。

発音が多少間違っていても、聞き取れる大きさの声で話していれば、相手が文脈からあなたの意図を理解してくれる確率は格段に上がります。

発声はできるだけ腹式呼吸を行い、おなかの底から声を出して話すようにします。また、日本語で話すときより感情表現を大げさにすることで、声のトーンからもあなたの意思が伝わります。

多少日本語が交じっても、発音が悪くても構いませんから、英語に自信がない人ほど、頑張って、大きな声で大げさに話すようにしましょう。

これだけは守りたい発音のルール

先ほど、「英語に自信がなくても大きな声で話そう」と書きました。これはその通りなのですが、無視できないのは「発音のルール」です。これを無視してしまうと、あなたの英語に慣れている人には理解できても、そうでない人には分からないという状況になってしまいます。

基本的に「発音ルール」はもちろん守ったほうがいいのですが、発音記号を覚えることにはあまり意味がないと思います。というのも、いくら熱心に発音記号を覚えても、話す瞬間に発音記号を思い出すことはできないからです。

それよりも、ごくシンプルなルールを守って、実際に発音練習をしたほうがいいでしょう。最低限守りたい6つのルールを挙げましたので、実際にやってみてください。

(1) th

無声音:前歯の上下の歯で舌を軽くかんでスゥーと息を出す(thank、anything) /有声音:前歯の間に舌を挟みながら「ザー」という音を出す(the、that、with

(2) r

舌を巻き上げるのではなく、喉をふさぐように舌を引く。そのときに舌先が口内のどこにも付かないようにする

(3) l(エル)

舌先で前歯の(歯茎の)裏にしっかり触れる

(4) b

上下の唇を閉じた状態から、「ブ」の音を破裂させながらしっかり音を出す

(5) c

「スィー」と息を吐きながら音を出す

(6) p

「プ」の音を破裂させながらしっかり出す

この6つを正しく発音するだけで、あなたの言うことを理解してもらえるようになります。英文を音読するとき、気を付けてやってみてください。

いかがでしたか?『「英語で電話会議」の教科書』では、これらの注意点について、さらに多くの例文を紹介しています。

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小熊弥生

文:小熊弥生(おぐま やよい)
http://www.sokupera-english.com/opt2/
株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授する、リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラム。

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編集:ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部/トップ写真:TumisuによるPixabayからの画像