英語で「外せない用事がある」はcommitmentsを使ってなんて言う?【マヤ・バーダマン】

誘いを丁寧に断るときは、promise、plans、commitmentsのどれを使う?【マヤ・バーダマン】

外資系企業で、魅力的な大人の英語力を磨き上げた、マヤ・バーダマンさん。上品で、日本人らしい「奥ゆかしさ」が伝わるような英語表現を、ご自身の経験談をシェアしながら紹介する連載。6回目は、言いにくいことを英語で上手に伝える表現です。あなたの丁寧な日本語を英語でも言えるようにしていきましょう!

こんにちは。マヤ・バーダマンです。

日常で、特にビジネスでは、「謝罪をする」「断る」「間違いを指摘する」など、相手にとって好ましくないことや、言いにくいことを言わなくてはいけない場面があります。その際、角が立たないようにとやんわりし過ぎた表現を使おうとすると、時にあいまいになってしまい、誤解や混乱を招く可能性があります。

一方で、「ビジネスだからビジネスライクに」という考えや、誤解なくストレートに伝えようとすると、言葉が強過ぎる、直球過ぎる、思いやりに欠ける、信頼関係にも影響しかねません。

そこで、今回は言いにくいことも簡潔に、かつ丁寧に伝えるためのヒントをご紹介いたします。

日本語では婉曲(えんきょく)的に言えても、英語ではどのような表現を使い、どの程度和らかくすれば角が立たずに伝わるか、調整が難しいと思う方がいるかと思います。ここでご紹介する表現やパターンを参考にしてみてください。

連載3回目の記事で紹介した、断るときの表現「難しいです」と、断るのではなく、本当に考えたいときの表現「検討します」についても併せてご覧ください。

反対意見は、「人」ではなく「意見」に対して言おう

誰かの意見に反論するとき、You are wrong.(あなたは間違っています)や、I don’t agree with you.(あなたと同意しません)のようにyouを使うと、相手を否定したり攻撃したりするような印象になります。

代わりに、「意見」自体に焦点を当てた客観的な表現を用い、意見そのものに同意しないという表現方法にする、あるいはクッション言葉を添えて「衝撃」を和らげる言い方にすると、相手は責められていると感じにくく、心理的負担が軽減され、より聞き入れやすくなります

Agree to disagree.

反対の意見を持つこと自体に賛成(同意)する(反対意見を尊重する)。

これは、外資系企業で働き始めたころに出合った表現で、お互いに異なる意見を持つことを認め、考え方や意見のdiversity(多様性)を尊重して大切にする姿勢が表れています。異なる意見から学ぶものもあり、物事を別の視点から見られ、問題や現状の改善にもつながることがあります。

ただし、伝え方には気を配ります。一方的に自分の意見を言う、直接的でぶっきらぼうな表現を使う、相手の逃げ場がなくなるように追い詰めたり責めるようなことのないように、クッション言葉を用いたり、相手に配慮した表現を使います。クッション言葉については連載2回目の記事をご覧ください。 

私自身も、agree to disagreeのマインドセットを実感した経験がありました。相手と異なる意見の交換をした後でも、パーソナルに受け取ってしまったり、気まずい雰囲気が続いて距離を置いたりするような状況にはならなかったのです。

逆に、相手が「では、そろそろお昼どうですか?」と誘ってくれたり、次の話題に進んだりする展開に、よい意味で驚きました。個人の性格などを含む「一個人」と、「その人の意見や意見の対立」は切り離して考えるということなのです。

相手に反対意見を伝える場合は、必要に応じて、次のような流れで伝えるとよいでしょう。

1.相手に共感する、理解を示す

2.自分の考えを述べる、提案する、代替案を出す

3.自分の考えや案をバックアップする事実や証拠を出す

それでは、実際にどのような英語で表現すればよいのか見ていきましょう。

相手に共感する、理解を示す

I understand what you’re saying.
おっしゃっていることを理解いたします。

I see what you mean.
おっしゃっていることはわかります。

自分の考えを述べる、提案する、代替案を出す

I believe that ...
私が思うのは・・・/〜だと思います。

In my opinion, ...
私の意見では・・・

In my experience, ...
Based on my experience, ...
私の経験から言いますと・・・

経験をベースにして、相手に共感したり、共感してもらえるように言えば、相手は非難されたり攻撃されたと感じずに受け止めることができます。

Correct me if I’m wrong, but ...
私が間違っていたら(正しいことを)教えていただきたいのですが・・・

あまり自信がないときや、批判や反対意見が出る可能性があるときには、前置きにクッション言葉を使いましょう。

Another way to look at it is ...
別の見方としては・・・があります。

I’m afraid I don’t agree.
恐れ入りますが、賛成できません。

I’m afraid I have to disagree.
恐れ入りますが、反対です。

「反対しなければいけません」というニュアンスです。

I disagree with that view/conclusion.
その意見/結論には反対です。

youではなくそのポイントに反対しているので、直球過ぎることはありません。

I’m not sure that I agree with that.
それについては賛成しかねます。

In my view, ...
私の見解では・・・

It seems to me that ...
私には・・・のように思えます。

As far as I know, ... / To the best of my knowledge, ...
私が知る限りでは・・・

その考えや案をバックアップする事実や証拠を出します。これまでの(相手の)話とリンクさせて、相手にも考えを述べる余裕を与えて一方的にならないように伝えることができます。

自分の考えや案をバックアップする事実や証拠を出す

According to ...
・・・によると

according to を使うことによって、客観性を保つことができます。

Based on what Iʼve found, ...
調べたことによると…

As a result of further investigation, ...
さらなる調査の結果・・・

Recent research shows that...
最新の調査が示すのは・・・

少し聞きにくい質問をする場合は、ひとこと前置きを!

I hope you don’t mind my asking, but ...
お聞きして恐縮ですが・・・/差し支えなければ(教えていただきたいのですが・・・)

Do you happen to know ...?
ひょっとして〜をご存じでしょうか?

少し立ち入っているかもしれないと思う質問のときに、このようなひとことで前置きすると印象が変わります。(ただし、プライベートなことなど、質問の内容には気を配りましょう)

commitmentsを使って誘いを丁寧に断ってみよう

2回目の記事でご紹介したクッション言葉を使うこともできますが、以下のような言い回しもできます。

I’m sorry, but I have prior commitments that day.
申し訳ありません、当日ははずせない用事がありまして。

commitmentという単語を使えば、「約束や、やらなければいけないこと、責任」を意味し、具体的に言わなくても、約束や予定があることが伝わります

例えば、家族との予定があって職場の人の誘いを断らなければならないときは、次のように言えます。

I have a family commitment.

家庭の用事があります。

family commitmentは「家族の用事全般」を指します。実際には、授業参観、お見舞い、あるいは法事の可能性も含みます。いずれにせよ、詳細まで伝えなくても「参加すべき家族の用事である」ことがひとことで伝わる便利なフレーズです。

Iʼm afraid Iʼm not able to join due to family commitments.
残念ですが、家族との先約があるため参加ができません。

Iʼm afraid I am unable to attend due to prior commitments.
あいにくその日は先約があるので出席できません。

Iʼd like to join / Iʼd love to join, but Iʼm afraid I have another appointment.
(とても)参加したいのですが、残念ながらほかの用事があります。

「家族との約束」という意味で、I have plans with my family.(家族との予定があります)やI have family plans on Friday.(金曜日は家族と約束があります)などのように、family plansと言うと、「家族と映画を見に行く予定」や「家族との夕食の約束」などを連想させてしまいます。 

また、予定のことを「ほかの約束」と表現する際、「約束」の直訳とされるpromiseと言われることがありますが、このような場合ではI have another promise.は使いません。

催促は優しい気配りのある言い方で

If you have any questions or concerns, please feel free to contact me.
ご質問やご不安・ご不明な点などありましたら、お気軽にご連絡ください。

以前、私は相手からの依頼のメールをすっかり見落としてしまい、フォローアップメールをいただいたことがあります。そのメールには、「リマインダーです」や「お返事ください」ではなく、「質問があればご連絡ください」と声を掛けるものでした。相手を責めることなくリマインドになる、優しい表現だと感じました。

返事が遅れる理由には依頼を見落としていたり、依頼をどう進めればよいか悩んで足止まりしていたり、忙しくて手を付けられなかったりする場合があります。このようなひとことがあると、「実は〜で悩んでいて・・・」や「〜まで進んでいます」など、質問だけでなく状況のアップデートなど、何かしらの連絡がしやすくなります。

I’d just like to follow up on this. If you have any questions on this, or would like to discuss this further, please don’t hesitate to let me know.
ちょっとフォローアップしたいと思います。もしこの件についてご質問がある、またはもっとお話しされたい場合はお気軽にお知らせください。

donʼt hesitate to ...を直訳すると「~するのを躊躇(ちゅうちょ)しないで」の意味で、ここでは「遠慮なく~してください」のニュアンスです。

I don’t believe I’ve received your response yet. Could you please confirm and get back to me at your earliest convenience?
お返事をまだいただいていないようです。ご確認の上、できるだけ早くお返事をいただけますでしょうか。

Could you please ...?というリクエスト形式なので丁寧です。

We would appreciate it if you could get back to us at your earliest convenience.
ご都合がつき次第、お返事をいただけますと幸いです。

earliest convenienceは「ご都合がつき次第早めに」という丁寧な表現です。

Iʼd just like to remind you that ...
~についてリマインドしたいと思います。

We would appreciate your immediate attention to this.
(こちらについて)お早めにご対応いただけましたら幸いです。

「〜してください」ではなく、「〜していただけますとありがたいです、助かります」のようなニュアンスで伝えると押し付けがましくなく、責めることなく伝えられます。

気を付けたいのは、直球的な表現と省略系のASAPを使う表現です。

You have not responded to my email yet. Please reply ASAP.(お返事をまだですよ。なるはやでお返事ください)などと言ってしまうと、「メールの返事をいただいておりません」のつもりが、「あなたはまだメールに返事をしていない」という、直球的な表現になっています。

ASAPのように略語で「至急」と要求するのは、一方的かつ命令調で相手への配慮がありません。ASAPは「ビジネスでよく使う」と思われがちですが、自分がI need to do XYZ ASAP! や、I’ll get back to you ASAP. と言う分にはよいですが、相手に言うと押し付けに聞こえるので、避けた方がよいでしょう。

また、pleaseを添えれば丁寧になると思われがちですが、「please+動詞」は実は一方的で命令調に聞こえてしまいます相手に選択肢や断る余裕を与えていない言い方です。特に目上の人には使わないようにしましょう。

相手のミスには、「間違い」そのものに焦点を当てる

相手の誤りを指摘するときは、前述のYou are wrong.(あなたは間違っています)としないのと同様、「相手」ではなく「間違い」そのものに焦点を当てて伝えましょう。

This may be a mistake.
これは間違いかもしれません。

There seems to be a mistake.
ここに間違いがあるようです。

I’m afraid this might be a mistake.
恐れ入りますが、これは間違いのようです。

Could you please confirm if this is correct?
正しいかどうかご確認いただけますか?

いかがでしたか?この連載では、私自身の経験や学びを振り返りながら、皆さまがすぐに使えるような英語とコミュニケーションのヒントや表現をシェアさせていただきました。皆さまにとって、思いやりを伝える言葉から、日常的に言う決まり文句のような表現、そして少し言いにくいことまで、幅広く伝えたいメッセージをより自信を持って発信できるための一助になりましたら幸いです。

お読みいただき本当にありがとうございました。これからも、皆さまが英語のアンテナを張って、ときめく表現や使ってみたい表現を集めてご自身のものにでき、コミュニケーションの幅と楽しみが広がりますよう心より願っております。

マヤ・バーダマンさんの本

外資系1年目のための英語の教科書

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英語の気配り

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品格のある英語は武器になる

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マヤ・バーダマン

文:マヤ・バーダマン

仙台市生まれ。上智大学比較文化学部(現 国際教養学部)卒業。ハワイ大学へ留学し、帰国後は秘書業を経て、ゴールドマン・サックスに勤務。医学英語に携わったのち、別の外資系企業に勤務。著書に『英語のお手本 そのままマネしたい英語の「敬語」集』『英語の気配り マネしたい「マナー」と「話し方」』『英語の決定版 電話からメール、プレゼンから敬語まで』(朝日新聞出版)『品格のある英語は武器になる』(宝島社)『外資系1年目のための英語の教科書』(KADOKAWA)などがある。

編集:増尾美恵子