英語の瞬発力を手に入れたいなら、暗記はやめよう!【同時通訳者・横山カズ】

同時通訳者の横山カズ先生が、英語スピーキングの大人気講師としても活躍する中で、実際に役に立った「無限のスピーキング力上達法」を教えます。第5回は、暗記のいらない英語の学習法についてです。

皆さん、こんにちは。同時通者の横山カズです。

前回までは英語スピーキングの瞬発力を得るためのテクニックをお伝えしてきましたが、今回は普段の生活での英語との付き合い方についてお話したいと思います。実はこれは英語の瞬発力を支えるもう1つの不可欠な要素なんです。

テストではハイスコアなのにしゃべれない理由

「語彙を増やす」と聞いた途端に資格試験やしんどい暗記 作業 を思い浮かべる方も多いかもしれません。私自身も経験したことですが、 努力して暗記した表現ほどとっさには口から出てこない ものです。語彙のテストをすればハイスコアは取れるのに、しゃべるときに出てこないと報われず、つらい気持ちになりますね。努力して暗記しても すぐに 口に出てこない英文は、 自分にとって興味がない 内容ではありませんでしたか?

心当たりのある方は、英語との付き合い方を見直して英語のスピーキング瞬発を手に入れましょう!

好きなこと、必要なこと【だけ】勉強しよう!

自分が興味のある物についての学びを楽しんでいるときは、 暗記などしなくても記憶に定着 しやすいのです。さらに、必要なときにその記憶を呼び起こすことができるのです。好みのタイプの人の容姿を忘れることがないのと同じです。

英語学習 に関して も同じことが言えます。興味のある内容なら、自分の感情や欲求と共に英語が練り込まれていき、言いたいことが記憶からスピーディーに引き出され、 すぐに 口から出るようになるのです。これが会話の瞬発力です。

私は国内独学の過程で次の3つにこだわりました。

  • 「カッコいい!」と心で感じた表現
  • 「これこそ自分の言いたかったこと」と共感した表現
  • 「使えそう!」と気に入った表現
自分の興味を引く表現と出合うと、それらは印象に残り、単純に暗記したものとは違うネットワークに保存されている感覚がありました。好きなことは頭に入りやすいし、 すぐに 思いついて口から出てくるし、何より自分が話したい内容とダイレクトにつながっているのです。

瞬発力を手に入れるには、努力より快楽を重視せよ!

以前、英語の速読や多読に関する本読んで思ったことがあります。過去の速読、多読の方法論では、「読者の興味」に焦点が当てられていないことが多いということです。

例えば、ある著者が時事問題を扱った英文雑誌をたくさん読むことを薦めていたとします。しかし、それはおそらくその著者がその分野が好きで、読むことが快楽だから薦めている 可能性 が高いのです。自分にとって興味がないのであれば、迷わずそれらを読むのを止めて他のテーマやトピックの本を読めばいいのです。

興味ある分野の学習は努力ではなく、快楽です。この快楽が結果的に英語の瞬発力を生むことにつながります。

最優先すべき学習素材2つ

自分が好きな人の話す言葉や好きな洋楽の歌詞は、最高の教材になります。

  • 好きな人の英語のインタビュー記事
  • 好きな洋楽の歌詞
好きな人のインタビュー記事を読んでみましょう。その人の話し方の癖が分かってきたり、会話の雰囲気や呼吸をつかむことができるようになったりします。これによって、会話での素早いリアクションが得意になっていきます。

インタビューで質問されて追い込まれそうになると人は本音が出ますね。そんな場面で頻出するのが、 実用的な関係詞と無生物主語 なのです。無生物主語とは、人間を主語にしない英語らしい言い方で、無生物主語を使うことを習慣化すれば、「英語らしい」感覚が身に付きます。詳しくは 前回の記事 をお読みください。

洋楽の歌詞は大部分が感情表現です。歌詞が自分の気持ちにぴったりくるのであれば、実用性を度外視して(大抵実用的ですが)、フレーズをまるごとコレクションましょう。英語と感情を連動させ、逆にその表現を使いたい状況に自分を置きたいと思えるようになってきます。これが重要なんです。

表現日記を書いてみよう

自分が「言いたい」と思ったことが英語で書かれているものを見つけたら、必ずメモに書き留めましょう。メモ書きはレシートの裏でもOK。電車の中や、買い物のときなど、いつでもどこでもメモ書きをしましょう。メモを書いたときの状況が記憶を更に特別なものにします。 「これを求めていたんだ!」 という感動の力を利用すれば、記憶に残りやすいのです。

メモ書きは後でデータとしてコレクションしましょう。その際は、表現をコレクションした日時と場所、そして表現を記録していきます。これが表現日記です。集めたデータを見返すと、表現に出合った当時の天気や自分の気持ち、その他さまざまな周辺状況と共に内容を想起できます。
データ入力の例 *

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2019.12.04 -読んだ雑誌名・書名(例)TIME 10 Questions -号数(例)April 2013 -表現リスト ・We didn't start that fight, but we did not back down.(ケンカをこっちが売った訳じゃないが、ビビッたりもしなかった)

・I'd say that we stood up to bullies.
(いじめっ子には正面から立ち向かったということだ)
※I'd sayは「自分に言わせれば、自分的には」という意味です。

 

・I am what I am.
(自分は自分らしくあればいい)
※関係詞 what を使ったスマートな言い方です。

 

・I think I have made an important difference in the world
(自分は世の中の役に立っていると思っている)
※役に立つ= useful とは限らない。

 

・There's always more to do.
(やることはいくらでもある/勝ってかぶとの緒を締める、道に終わりはない)

まとめ

英語の瞬発力を手に入れるには暗記は必要ありません。自分が好きだと思える分野の読書をしましょう。これから自分の言葉として使えるようになる、お気に入りの表現との出合いがあるはずです。また、気に入った歌の歌詞は自分の感情を英語で表現するときに使えそうなフレーズの宝庫です。好きな記事、好きな歌を素材に、努力なしで楽しく語学に取り組んでいきましょう。

  • 興味のある分野の読書をしよう!
  • 「カッコいい」「使えそう」「これが言いたかった」と思える表現との出合いは、インタビュー記事、小説の会話文、映画のスクリプトの中で出合う確率は高い。
  • 好きな歌の歌詞は、ほぼ無条件で記憶に定着する(好きな歌の歌詞は記憶されたがっている)
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