書籍『英語が身につく ちいさなノート術』の著者Marieさんは、家事、育児、仕事をこなしながら、コツコツ続けた英語学習で成果を上げています。英語の勉強にちょっと疲れたときにおすすめの、気軽な勉強法を教えていただきます。
勉強を続けているのに進歩を感じられず、英語学習から離れたくなったことが、これまでに何度もあります。
TOEICのスコアが頭打ちしてしまい、模試を何冊も買ってやっているけど、一向に進歩がみられない。リスニング力をもっと付けたくて、早口のアナウンサーが読むニュースを毎日聞き続けているけど、全然聞き取れるようになった気がしない。
もういいや、あきらめよう、と英語学習自体を投げ出したくなるたびに、易しく感じるレベルの教材に立ち戻ることで、気を取り直しては細々と学習を続けてきました。
TOEICのスコアが思うように上がらなくなり悩んでいた頃、難度の高い模試からいったん離れ、多読本、語彙制限本の「Graded Readers」(以下、GR)の音声教材を使って学習を続けてみたところ、次に受けたTOEICで自己最高スコアを更新できました。これは私にとって、とても印象深いできごととなりました。
苦労せずに読めるGRを耳読書
GRの中では、Oxford Bookworms Library Factfilesシリーズがお気に入りです。ノンフィクション作品のみのラインアップで、オリジナル作品が多く、飽きずに楽しめます。
こうしたレベル別に分かれた教材に取り組むとき、ついつい背伸びをして上のレベルに手を出しがちです。自分にはまだ少し早いかなと思いながらチャレンジすることも必要ですが、つまづきを感じたときには、思い切って「簡単すぎる」と思えるレベルのものを手に取ってみます。
▼画像の書籍の詳細はこちら
- 『Animals in Danger audio pack』一番簡単なレベル:Level1
- 『Marco Polo and the Silk Road Audio Pack』やや簡単なレベル:Level2
- 『Stories from the Heart: Graded readers for secondary and adult learners』やや簡単なレベル:Level2
- 『Stephen Hawking audio pack: Graded readers for secondary and adult learners』やや簡単なレベル:Level2
GRの耳読書で「読める」と「聞ける」のギャップ埋め
易しいレベルのGRを開いてみると、とても簡単に感じて、「取り組むまでもない」と感じるかもしれません。しかし、スクリプトを見ずに音声だけを聞いて理解しようとすると、意外に難しいことが分かります。
聞いている間は分かった気になっているのに、段落や章単位で要約しようとすると、頭の中に内容が残っていない、ということも起こります。
GRの音声教材を使い、耳をメインにしたトレーニングをすることで、「読んで分かる」と「聞いて分かる」のギャップが少しずつ埋まっていくのを感じています。
自動分割してくれる再生アプリを使ってリピーティング
1章を通し聞きしてざっくり意味をつかんだ後は、第3回でも紹介した、音声ファイルを自動分割し、ポーズを入れながら再生してくれるアプリを使ってリピーティングをします。
リピーティングとはリプロダクション(再現/復元)・リテンション(記憶保持)とも言われる通訳訓練法のひとつで、1つのセンテンスを再生した後、一時停止している間に聞こえた英語を繰り返すトレーニングです。実際にやってみると、だいたいの意味は取れているつもりでも、聞いた英語を正しく繰り返すのはなかなか難しいものだということが分かります。
シャドーイングよりも、リピーティングの方が私にとっては負荷の高いトレーニングです。シャドーイングは聞こえた音をなんとなく繰り返すこともできるけれど、リピーティング訓練はちゃんと文意を理解していないと、英語を再現できません。
GR巻末の理解度確認コンテンツを活用する
GRには巻末付録として、理解度を確認するためのコンテンツがあります。アクティビティの答えやワークシートは、各出版社のサイトからダウンロードも可能なので、学習に活用できます。
GRは図書館でも借りられる
GRはページ数が少ない割に、価格が高いので、気軽に何冊も買いづらいものです。そんなときは、図書館を活用してみましょう。
「カーリル」というサイトで書籍タイトルを検索し、地域を選択すると、蔵書のある図書館一覧が表示されます。
GRに関しては、地域の公立図書館よりも、大学や高専などの学校図書館に蔵書が多くあります。公立学校のほとんどの図書館は、学生だけでなく地域住民にも利用可能となっているので、こうした学校図書館のGRを活用するのも一案です。
難易度低めのGRで勉強全体のバランスを取る
以前、音声教材付きの『Factfulness』のGRで聞きで聞き読みをしていたとき、難度高めでなかなか進まず疲労感があったときがありました。そのときは、一日に取り組む時間を減らし、その代わりに負荷が低くかつ内容に興味が持てる、マルコポーロについて書かれたGR『Marco Polo and the Silk Road』のリピーティングをすることでバランスを取っていました。
今年の2月の手帳に書いていた習慣トラッカーです。
「好き」を大切に
私にとって英語学習は「読みたい本を原書で読めるようになりたい」というのが大きな目標です。したがって、スランプに陥ったときに救いとなるのは、いつも「読む」に関わる事柄です。
映画が好きな人は映画に関すること、漫画が好きな人は漫画、スポーツが好きな人はスポーツに関すること・・・。みなさんもそれぞれの「好き」にからめて、「背伸び」と「易しいレベルに立ち戻る」を繰り返しながら、工夫して楽しく英語学習を続けてみてください。
英語の勉強で壁にぶち当たったら、「三歩進んで二歩下がる」です!
Marieさんの本
執筆:Marie
二児の母。
2006年より運営するブログ「Mandarin Note」(https://mandarinnote.com)では、Kindle・スマホなどガジェットを活用した英語・中国語学習法や、手帳術・タスク管理など、デジタルとアナログの両方を使って暮らしをマネジメントする方法を紹介している。バックパック一つでアジアやヨーロッパを旅した若き日の記憶が忘れられず、今も時々、子どもを引き連れ旅に出る。
Blog:https://mandarinnote.com
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