TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「TOEIC L&Rテストは話す力を測るテストではないのに、音読をしたほうがよいのか」という相談を取り上げます。音読は、TOEIC対策としてどのように考えればよいのでしょうか。
目次
今回の相談
学校の先生はよく「英語を声に出しなさい」と言いますが、TOEICは話す力を測定しません。それでも音読した方がいいのでしょうか。
――学生(20代)/TOEICスコア 350点
まず確認したいこと
音読は特別な学習法ではありません
まず確認しておきたいのは、音読は特別な学習法ではないということです。
目を使って静かに読むのが「黙読」で、口を使って声を出しながら読むのが「音読」です。英語であれ日本語であれ、言葉を使う人にとって、音読はそれほど特殊な行為ではありません。
黙読にはあまり疑問を持たない人でも、音読となると「本当に必要なのか」と考えることがあります。ただ、読むという行為の一つとして考えれば、音読も自然な学習の形の一つです。
もちろん、TOEIC L&Rテストでは、スピーキング力そのものは測定されません。そのため、「話す力を測らないなら、声に出す必要はないのでは」と感じるのも自然です。
ただし、音読は話す力だけのために行うものではありません。英文を声に出すことで、語順、音、リズム、意味のまとまりを意識しやすくなります。
まずは効果を試してみる
音読をするべきかどうかは、最終的には自分で判断することになります。
例えば、日本語を学んでいる英語話者が、「日本語の試験にスピーキングは出ないから、日本語を一度も声に出さない」と言ったら、少し不思議に感じるかもしれません。
声に出して使ってみることで、記憶に残りやすくなることがあります。また、自分が言える表現は、聞き取るときにも認識しやすくなる場合があります。
これは英語学習でも同じです。音読をすることで、リスニング、文法、語彙の理解が深まることもあります。
ただし、「必ず全員が音読をしなければならない」ということではありません。大切なのは、やる前から決めつけるのではなく、まず短い英文で試してみることです。
1文でも、短い会話文でも構いません。実際に声に出してみると、自分にとって音読が続けやすい学習法なのか、どのような効果を感じられるのかが見えてくるはずです。
TOEIC対策としての音読の考え方
音読は必須ではありません
英語の学習法やTOEIC対策法は人それぞれです。
多くの学習者を見てきて、一つ確実に言えることは、自分に合う学習法を見つけることが大事だということです。そして、その方法を続けることです。
別の言い方をすれば、あなたが継続できる学習法が、あなたにとってベストなのです。
では、音読はTOEIC対策に必須なのでしょうか。
答えは、必須ではありません。
音読をまったくしなくても、800点や900点、990点を取る人はいます。ですから、TOEIC L&Rテストのスコアだけを考えるなら、音読をしないと絶対に伸びない、というわけではありません。
それでも音読が役立つ場面はあります
一方で、音読が有効な学習法であることも確かです。
特に、「文字を見れば理解できるのに、音になると聞き取れない」と感じる人にとっては、音読が役立つ可能性があります。
英文を声に出すことで、語順や意味のまとまりを意識しながら、英語の音にも触れることができます。正しい音声を聞き、それに近づけるように声に出す練習を重ねれば、リスニングにも良い影響が出るでしょう。
また、TOEICの目標スコアを達成した後に、英語を使って海外の人と会話をしたい、外国人の上司と会議をしたい、と考える人もいるはずです。そのような将来の英語使用まで見据えるなら、音読は役立つ学習法だと言えます。
音読は必須ではありませんが、効果的ではある。このように考えるとよいでしょう。
今の目的に合わせて取り入れる
今のあなたにとって大切なのは、「音読をするか、しないか」を急いで決めることではありません。
目の前のTOEICでスコアを上げたいのか、将来的に英語を使ってコミュニケーションできるようになりたいのか。目的によって、音読の優先度は変わります。
次のテストで良いスコアを取りたいのに、効果を実感できない学習に長い時間を割くのは不安かもしれません。その場合は、今すぐ音読を学習の中心にする必要はありません。
一方で、リスニングが苦手だったり、英語の音に慣れたいと感じていたりするなら、短い時間から試す価値があります。
例えば、リスニング教材の短いスクリプトを選び、音声を聞いた後に1〜2分だけ声に出して読む。これだけでも、英語の音やリズムを意識するきっかけになります。
満足できるスコアを取った後で、音読に興味を持ち始める人もいるでしょう。そのときがスタートの合図でも構いません。
雑音は気にしすぎず、自分がしっくり来る学習法を選ぶことが大切です。
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