英語の発音がネイティブに近付くたった一つの方法とは?

写真は女優でプロのナレーターの宮本和歌子さんです。

英語をカッコよくしゃべれるようになりたい!帰国子女じゃなくても、留学経験がなくても、英語に自信が持てるようになりたい!そんな夢がかなう学習法ってあるの?女優でプロのナレーターの宮本和歌子さんに、2回にわたって英語上達法を教えていただきます。

こんにちは、宮本和歌子です。 前回 に続き、海外居住経験がなくても、「英語の発音がきれい」と褒められるようになるまでの、とっておき発音練習法をお伝えします。

「母音」を正しく発音すればネイティブの英語に近づく

bit、sit、is の発音/i/をマスターしよう!

大学では英語音声学という発音について学ぶ授業がありました。そのときに気付いたことは、 母音を正しく使い分けることができると、かなり英語らしい発音になる ということです。英語の母音は日本語よりもはるかに多く、使い分けるのが難しいのです。やはり、地道に発音記号で確認しながら、丁寧に発音練習していくことが重要です。子音よりも、母音を正しく使い分ける方が難しいと感じます。
例えば、bit(少し)、sit(座る)、is(~です) の/i/と、beat(打つ)、seat(席)、ease( 安心 ) の/i?/の違い。どちらも日本語だと、「イ」ですが、/i/は、/i?/に比べるとあいまいな音になります。 顎の力を抜いて、「イ」と「エ」を 同時に 発音する イメージです。

/i/bit(少し)sit(座る)is(~です)
/i?/beat(打つ)seat(席)ease( 安心

so 、toe の発音/ou/ができたら、ネイティブらしく聞こえる">low、 so 、toe の発音/ou/ができたら、ネイティブらしく聞こえる

二重母音にも気を付けています。これは英語と日本語で大きく違うところなので、英語の二重母音は、はっきりと発音することを意識しています。簡単に言うと、 「オウ」なのか「オー」なのかの違い ですね。

英語だと、二重母音なのか、単純に伸ばす音なのかで、まったく違う意味になってしまうので、注意が必要です。 例えば、law(法律)、saw(のこぎり)、talk(話す)の/??/と、low(低い)、 so (そのように)、toe(つまさき)の/ou/です。

/??/law(法律)saw(のこぎり)talk(話す)
/ou/low(低い) so (そのように)toe(つまさき)
よく耳にする「オー・マイ・ガー!」は、英語の Oh my God!(何てことだ!)を意味する表現として使われていますが、Oh は二重母音ですので、「オウ」と発音するのが正しいのです。

また、Oh, no ! (しまった!)は Oh も no も二重母音なので、「オウ・ノウ!」となりますね。「オー・ノー!」と言ってしまわないように気を付けてくださいね。

二重母音を見つけたら、正しく発音していくことで、発音全体が見違えるようにきれいになりますよ。

長い英文は、文のお尻から発音しよう!

大量の英語を覚えなければならないとき、これは本当に何度も繰り返し練習するのみなのですが、一つやっていた練習法があります。
長い文を覚えるときに、文のお尻から発音して覚えていきます。例えば、

Why didn’t you wear your glasses when you put on your makeup ?

なぜ化粧をしたときに眼鏡を掛けなかったの?

“The Show Must Go On ”『English in Three Acts』(Richard A. Via 著)より

という英語のせりふがあります。この文を覚える場合、まずは・・・
put on your makeup ?
お尻からフレーズの固まりを何回か練習します。次に・・・
when you put on your makeup ?
when you を加えて、何回か練習します。さらに・・・
wear your glasses when you put on your makeup ?
wear your glasses も加えて、何回か練習します。そして最後に・・・
Why didn’t you wear your glasses when you put on your makeup ?
と、一文全てを練習します。このように後ろから練習して覚えていく方法です。これは、 正確に一つ一つの英文を覚えていくときに効果的な方法 です。

スピーチやプレゼンなど、大量の英文を覚えていくコツとしては、全体の内容を理解するというのは大 前提 です。まず、大きな流れをつかんでから、細かく一文一文覚えていくことが大切です。
私は舞台で英語劇をすることがありますが、2時間ぐらいの芝居の台本を、自分のせりふ以外のところも全体を理解してから、自分のせりふの細かいところまで覚えていきます。 お尻から練習する方法を取り入れると、短いフレーズから始めて、何度も音読できるので、覚える過程で感情移入がスムーズにできることも利点 です。

音読におすすめの学習素材

音読練習におすすめしたい学習素材は、テキストがあって、音声も付いているものがいいです。どんな分野でも、自分の興味ある内容のものを選ぶのが一番だと思います。私は、アルクさんの 『ENGLISH JOURNAL』 は旬なトピックが取り上げられていて、 CD も付いているので、気に入っています(音声はスマホアプリ 「ALCO」 でも聞けます)。

CD付 ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2019年7月号
 
ある程度、正しく発音できる力が付いたら、あとは全てのものが教材になると思います。今は YouTube などで、いくらでも英語の音声を聞くことができます。

今から2年前、 NHKワールド というすべて英語で放送している海外向けの放送局の番組に出演、ナレーションを担当することになりました。そのときは、よく NHKワールド の番組をインターネットで視聴して、同じように発音できるように練習していました。
NHKワールド の番組は、英語を学習する上で、非常に優れていると思います。多様な番組がありますので、興味のある分野の番組を選んで、視聴されることをおすすめいたします。
私が出演していた Japan Railway Journal という番組は、日本の鉄道を扱った番組なのですが、 NHKワールド の中でも最も人気のある番組の一つなのだそうです。

YouTubeですと、字幕を表示させることもでき、それを見ながら発音できるので、よい教材だと思います。

自分がお手本にしたい発音の人を見つけましょう

よくやっていた練習法は、こんなふうに話せたらいいな、という人を見つけて、その人のまねをするというやり方です。女性でしたら女性、男性でしたら男性、年齢も同じくらいだとまねしやすいと思います。

その人が英語を話している YouTube 動画を探し、まず字幕を付けた状態で、その人と同じように発音してみます。それを何度か繰り返し、同じスピードで言えるようになったら、今度は字幕を外します。字幕のない状態で今度は、その人の声にかぶせるように同じように発音してみます。つまりシャドーイングですね。これはその人のリズムやスピード、イントネーションを体得するには非常に効果的です。 

まとめ

  • bit、sit、 kit の発音/i/をマスターしよう!
  • 二重母音に気を付けて Oh, no ! と言ってみよう
  • 長い英文はお尻から読んでみよう
  • 音声付きのテキストを音読しよう
  • 自分がお手本にしたい発音の人を見つけよう

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公演日:2019/07/03 (水) ~ 2019/07/07 (日)

stage.corich.jp  
文:宮本和歌子早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、中学・高校の英語科教員を経て、現在女優。2017年にはNHKワールド『 Japan Railway Journal 』に出演(ナレーションも担当)。2019年7月3日~7日、「狼少年」第10回記念公演(下北沢の「劇」小劇場)に出演予定。公式Twitterアカウントは @wakako_miyamoto
写真:寺岡祥平

編集:増尾美恵子

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