英語版の自分をつくる!TOEFLにも効く「ネイティブ・マインド」とは?【ブックレビュー】

日本にいながらネイティブスピーカー並みの英語力が身に付き、さらに自由で楽しい世界が広がるとしたら?話題の新刊本をチェックしました!

英語ネイティブ脳みそのつくり方
  • 作者: 白川寧々
  • 出版社: 大和書房
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

著者の白川寧々さんはどんな人?

この本の著者である白川寧々さんは、日本語、英語、中国語を話すトライリンガルです。中国人の両親のもとに生まれ、6歳までは中国でおばあさんと生活。その後、日本で研究者として働く両親と暮らすため来日しました。

こう聞くと、「やっぱり国際的な環境に恵まれた人なんだ」と思ってしまいますが、英語を学習し始めたのは中学に入学してから。中学・高校時代も、留学どころか英語圏に行ったこともなかったそうです。

それでも、高校を卒業するころにはTOEFL(英語圏の大学などへ留学する人が受験する英語能力テスト)ではほぼ満点を 取得 。アメリカで最難関レベルの大学、デューク大学に奨学金付きで合格しました。

それでも、「私は能力が人と比べて高かったわけじゃない」と白川さん。目標ややり方が明確であれば、日本の「ふつうの高校生」にもできると考えた白川さんは、自分の経験を生かすべく、 タクトピア株式会社 を創業。1万5000人以上の高校生に英語習得プログラム「ネイティブ・マインド」を提供してきました。

このプログラムを経験した高校生の中から、海外の大学への進学者が続出。それも、進学校ではい学校の生徒もいて話題になりました。

「ネイティブ・マインド」は、単に英語を効率よく身に付けるプログラムではなく、「英語版の自分をつくり上げて、自分自身をすごくするプログラム」。 英語を身に付けることで、「自分は平凡だと思っていた人がユニークに輝ける 可能性 」を開くためのものなのです

お金をかけずに、どこにいてもスタートできる

本書には、「ネイティブ・マインド」の1から6までのすべてのステップが掲載されています。身近にある素材やネット上の無料コンテンツを使い、どんな環境にいても実践できるものばかり。

英語初心者の人や、お子さんと一緒に英語を楽しみたい人は、まずはこちらから始めてみては?STEP 1で紹介されている方法です。

付箋で部屋を「英語化」

まずはこれ。自分の生活空間の中で目にするものすべてを、英語で何と言うのか付箋に書いて貼り付けます。すぐできる上に簡単そう!

The wall(壁)、The dresser (たんす)、といった具合にとにかく何でもペタペタ貼っていきます。

分からないものが出てきたら、ウェブ上の辞書を使って調べましょう。本書のお勧めは、絵を見て意味を理解できる Kids Picture Dictionary 。英語で何と言うのか分からないものや、「ベッドカバー」のように「和製英語かな?」と思うものをチェックします。

ちなみに ベッドカバーは、英語では bedspread 。ひとつ勉強になりましたね。

また、「ベッド下収納」や「こたつ」のように英語に直訳できないものは、自分なりに英訳して書いておきましょう。「ベッド下収納」なら Drawers under the bed など。

この段階では、日ごろ目にしているものを英語で認識することが大切です。

オリジナルの感想を英語で付け加える

続いてそれぞれの付箋に、そのものにまつわる思い出や意見を書いていきます。もちろん英語で。

目覚まし時計(The alarm clock)ならこんな具合です。

I hate this thing in the morning.

朝、コイツが憎い。

長年にわたって愛用している机(My desk)ならこう言えますね。
I’ve had this since I was in elementary school.

小学校のときから使ってる!

目覚まし時計ひとつとっても、「私の目覚まし時計」と「ほかの誰かの目覚まし時計」は違いますね。こうして、 身の回りのものやそれに対する気持ちをどんどん英語化していくことで、自分自身を語る英語が身に付いていく のです。 

自分の意見を作ろう

少し飛ばして、STEP 3を見てみましょう。ここで紹介しているのは「自分の意見を作る」方法です。

日常会話はそこそこできても、英語で自分の意見を述べるとなると、途端に身構えてしまうという方もいるのでは?「ロジカルに考えて発言しなくては」と思っているうちに、会話や議論の流れに乗り遅れてしまうこともあるでしょう。

「ネイティブ・マインド」では、ゲーム感覚でできるトレーニング、3 Points Game(3点ゲーム)を紹介しています。 ある議題に対して、自分の意見とその理由3つを1分以内に述べる というもの。といっても、その議題も難しいものではありません。

例えば「ファストフードなら、マックとモス、どっちがいい?」とこんな議題でもいいのです。さて、どんな理由を出せるでしょうか?本書を見てみましょう。

どちらが好きかは個人の好みですし(両方嫌いというのももちろんありです)、正解はありません。でも、 自分の意見とその理由を すぐに 言語化できるようにするには、やはりトレーニングが必要 なのです。

「ネイティブ・マインド」のワークショップでは、まず1分間でこのトレーニングをやってみて、30秒、10秒と縮めていき、最後は英語でやってみるという 手順 を踏むそう。難しいことは考えず、とにかくやってみることを本書では勧めています。

話がそれますが、ファストフードといえば、海外ではマクドナルドより店舗数の多いサブウェイが、日本では不振だそうですね。パンの種類だけで4つ、それをトーストするかしないか、トッピングはソースはと、完成品を手にするまでに「私は何が好きか」という「意見」を何回も問われるシステムが、日本人にとっては面倒と感じられるのかも・・・。

それはさておき、自分の意見を述べることに苦手意識がある人や、「なんで?」と聞かれると、つい「何となく」と答えてしまう人は、ぜひこのトレーニングをやってみてください!

まとめ

本書ではさらに、「英語を」ではなく「英語で」学問を探求したり、学んだ結果を英語プレゼンしたりする方法を、分かりやすく楽しく伝えています。

「ネイティブ・マインド」はTOEFLのスコアアップを目的としたものではありませんが、結果としてこのプログラムに参加した「ふつうの高校生」の中から、TOEFLで100点越え(120点満点)する人が続出しました。

そもそも 「『ふつうの子』なんか、ひとりもいない」と白川さん。 「自分は何者で、どんなにユニークな理由で、どんな問題を解決したくて、世界をどう変えたいか」、誰もがみんな「オリジナルな自分」を持っている はず。「ネイティブ・マインド」は単なる英語習得法ではなく、「英語版のオリジナルの自分」をつくる方法なんですね。

著者が、対象年齢を0歳から100歳までにしているのはあながち大げさではありません。子どもから大人まで、英語習得はもちろん、新しい自分をつくり出す きっかけ になる本です。

英語ネイティブ脳みそのつくり方
  • 作者: 白川寧々
  • 出版社: 大和書房
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

文:尾野七青子

都内某所で働く初老の元OLにしてフリーライター。本書p. 38に登場する「英語教材大手企業の創業者」という方はもしや・・・。

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