『チャーリーとチョコレート工場』『くまのパディントン』『ロード・オブ・ザ・リング』から『はりー・ポッター』まで、英語初級レベルからOKの、映画になっているおすすめのイギリス児童書をレベル別に紹介します。
目次
見てから読むか、読んでから見るか
映画化されている英語の本は、洋書を読んでみたい人におすすめです。映画を見て話の筋を知った上で読むと、がぜん読書がはかどるからです。「原書を先に読む」派の方も、読んだ後に映画を見ると、リーディング×リスニングの英語学習ができます。原作の邦訳も読み、映画の字幕と比べるのも楽しいものです。英語初級レベルからOKの、映画になっているおすすめのイギリス児童書を紹介します。
『Charlie and the Chocolate Factory(チャーリーとチョコレート工場)』ロアルド・ダール
■英語レベル:初級以上
とにかく笑える工場見学!
貧しい少年チャーリー・バケットが、大好きなチョコレートの工場を、他の子どもたちと一緒に見学できることになったことから始まる物語です。他の子どもたちの描き方に、ロアルド・ダールの持ち味であるシニカルな笑いがふんだんに表れています。
驚きが連続の映画
こちらも、監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップで、『チャーリーとチョコレート工場』というタイトルで2005年に映画化されています。この映画でも、ジョニー・デップの演技が強烈です。チョコレート工場長のウォンカさんがそういうキャラクターになるのか!と衝撃を受けました。
映画の関連作品が公開予定
工場長のウィリー・ウォンカの若き姿を描く映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり(原題:Wonka)』が2023年12月15日に公開されます。『パディントン』のポール・キングが監督を務め、ウィリー・ウォンカを演じるのはティモシー・シャラメ。これも楽しみですね!
『Winnie-the-Pooh(クマのプーさん)』A・A・ミルン
■英語レベル:初級以上
『プーと大人になった僕』を見る前に読みたい
2018年に公開された映画『プーと大人になった僕』は、タイトルの通り、大人になってからの「僕」クリストファー・ロビンとプーさんとのストーリー。そのため、子どものクリストファーとプーさんを描いた本『Winnie-the-Pooh(クマのプーさん)』を読んでいない、または昔読んだけれどよく覚えていないという方は、本を読んでから映画を見るとより楽しめるでしょう。
かく言う私も、大人になって初めてきちんと読み直しました。英語で読むのは初めてでしたが、幼い子ども向けとあって読みやすかったです。プーさんが即興で作った歌も、声に出してみると楽しいです。
プーさんは意外と侮れない!
白状しますと、私は子どものころ、プーさんの話があまり好きではありませんでした。なんだか間抜けなクマさんだなあと思って・・・(好きな方、ごめんなさい)。
でも、大人になって読み返してみて、少し印象が変わりました。こういうオチだったとは!プーさんは間抜けではありませんし、周りの人(動物)たちもきっとそう思ってはいないのですね。最後のプーさんとコブタさんの会話も、さりげなく英知に満ちていて、感動しました。
哲学本と美術展も
と思ったら、プーさんは哲学しているという本がいろいろ出ていました!
『Mary Poppins(風にのってきたメアリー・ポピンズ)』P・L・トラヴァース
■英語レベル:初級以上
ミュージカル映画が有名
これも児童文学の名作で、ジュリー・アンドリュースが主演した1964年のミュージカル映画『メリー・ポピンズ』を見た方も多いでしょう。突然現れた不思議な力を持つナニー(乳母)のメアリー・ポピンズ(映画の邦題では「メリー・ポピンズ」)と、バンクス家の子どもたちの物語です。
映画版が公開
このミュージカル映画から数十年の時を経て、2018年12月にはアメリカなどで続編の映画『メリー・ポピンズ・リターンズ(原題)』が公開されました。プーさんの新作映画と同じように、バンクス家の子どもたちが大人になってからの話です。
怖いけどすてきなナニー
ミュージカル映画も楽しいですが、個人的には、原作の、冷たくて怖いけどときにお茶目なポピンズの方がずっと好きです。英語の原作は学生のときに初めて読みました。とても読みやすく、話を知っていても最後まで面白く読めました。シリーズで数冊出ていますので、気に入った方はぜひコンプリートしてみてください。
ポピンズは雇い主に対してどうしてあんなに高飛車なのか?といったことが気になる方には、当時の時代背景などを考察したこちらの本もおすすめです。
『Tale of Peter Rabbit(ピーターラビットのおはなし)』ビアトリクス・ポター
■英語レベル:入門
美しい英語は音読にも最適
イギリスの田園を舞台に、ウサギたちと人間たちが繰り広げる日常の中の冒険物語。読んだことがある方も多いと思いますが、英語の原文は平易ながら美しく、音読にもぴったりです。
発見された新作
ピーターラビットの本はシリーズで出版されています。2015年には『The Tale of Kitty-in-Boots』という未出版のピーターラビットの物語が発見され、話題になりました。イギリス児童文学作家ロアルド・ダールの挿絵で有名なクェンティン・ブレイクが挿絵を描き、出版されています。
映画のストーリーは原作を基にアレンジ
2018年に公開された実写映画『ピーターラビット』は、本を原案とし、ピーターの恋心も描かれています。「マグレガーさん」といえば原作では怖いおじいさんですが、映画では別のマグレガーさんが登場しています。彼の正体を、映画を見て確かめましょう!
2021年には続編も公開されています。
『A Bear Called Paddington(くまのパディントン)』マイケル・ボンド
■英語レベル:初級以上
冒頭から引き付けられる
こちらもキャラクターがかわいいストーリー。冒頭の駅のシーンからすぐに物語の中に引き込まれ、なぜか胸が高鳴ります(Amazonのサイトの「なか見!検索」で読めます)。
2作の実写映画は「声」に意外性
映画は実写の『パディントン』『パディントン2』があります。最近の映画ですので、劇場で見た記憶がまだ新しい方もいらっしゃるかもしれません。パディントンの声はベン・ウィショーが担当していて、シブい。個人的には、ブラウン夫人を演じたサリー・ホーキンス(アカデミー賞作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』では主演)がかわいくて好きです。
『Alice’s Adventures in Wonderland(不思議の国のアリス)』ルイス・キャロル
■英語レベル:初中級以上
本も映画も必読&必見の名作
英語を学習しているなら2冊とも必読の書です。2010年公開のティム・バートン監督の実写映画『アリス・イン・ワンダーランド』は、ジョニー・デップ演じるマッドハッターがぶっ飛んでいました。2016年には続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が公開。この続編の原題は『Alice Through the Looking Glass』で、『鏡の国のアリス』が題材となっているので、本でも読んでおきたいところです。
『The Lion, the Witch and the Wardrobe(ライオンと魔女)』などの「The Chronicles of Narnia(ナルニア国ものがたり)シリーズ全7作」C・S・ルイス
■英語レベル:初級以上
子どもの夢を具現化した傑作ファンタジー
「ナルニア国ものがたり」シリーズの第1作『ライオンと魔女』は、第2次世界大戦中のイギリスで、屋敷の衣装だんすの奥に入り込んだルーシィが「ナルニア国」に行き、そこできょうだいのピーター、スーザン、エドマンドと一緒に冒険するファンタジーです。
第2作以降は、『カスピアン王子のつのぶえ』『朝びらき丸 東の海へ』『銀のいす』『馬と少年』『魔術師のおい』『さいごの戦い』です。時系列ではなく、時代が前後して物語が進みます。
子どものときに日本語訳でシリーズ全作品を一気に読んだときの興奮はいまだに忘れられません。結末にはあまり納得がいかなかったものの、子どものときにこの本が読めてよかったと思います。まだ読んだことがない大人の方にも、ぜひ一読をおすすめします。
映画はシリーズの新作が公開予定
映画は、『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』の3作が公開されています。現在、4作目の制作が進んでいるようです。
『The Hobbit(ホビットの冒険)』『The Lord of the Rings(指輪物語)』J・R・R・トールキン
■英語レベル:中級以上
イギリスの雰囲気を満喫できる長大なファンタジー
「ナルニア国ものがたり」シリーズと並び称されるファンタジー大作ですね。『指輪物語』は「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の3つに分かれていて、長大な物語です。実は私はまだ読破していません……。
映画でも全作が楽しめる
まずは、『指輪物語』の前の時代を描いた『ホビットの冒険』を読み、『指輪物語』の映画3部作、『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』を見るのもいいかもしれませんね。『ホビットの冒険』も、『ホビット 思いがけない冒険』『ホビット 竜に奪われた王国』『ホビット 決戦のゆくえ』の3部作として映画化されています。
『ロード・オブ・ザ・リング』は今年、日本公開20周年。その記念として、4Kリマスター版の3部作が公開されるそうです。
『Harry Potter and the Philosopher’s Stone(ハリー・ポッターと賢者の石)』などの「Harry Potter(ハリー・ポッター)シリーズ全7作」J・K・ローリング
■英語レベル:中級以上
世界で大ヒットしたロングセラー
言わずと知れた大人気ファンタジー小説。第2作以降は、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』『ハリー・ポッターと死の秘宝』。魔法使いの少年の成長と、時に過酷な運命が描かれています。
作家が執筆したカフェも有名
J・K・ローリングが第1作を書いた場所として知られるカフェ「The Elephant House」はスコットランドのエディンバラにあります。観光シーズンの夏は特に混み合いますが、居心地のいいカフェです。カフェのサイトで作家のインタビュー動画が見られます。
映画は、関連作品「ファンタスティック・ビースト」シリーズも話題
「ハリー・ポッター」は、映画もどれも大ヒットしましたね。関連する物語の映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』と、その続編『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018)『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022)も話題になりました。
「ファンタスティック・ビースト」の「教科書」と「脚本」
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、ハリーが通った魔法学校ホグワーツの教科書という設定で書かれた本『Fantastic Beasts and Where to Find Them(幻の動物とその生息地)』を基にしています。
映画の脚本はJ・K・ローリングが担当し、『Fantastic Beasts and Where to Find Them: The Original Screenplay(ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 映画オリジナル脚本版)』という本として出版されています。
トップ写真:Jake Hills from Unsplash
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