英語力に自信がなくても留学に行ける?英会話が憂鬱だった私が留学先で変われた理由

英語力に自信がなくて留学するのを戸惑ってはいませんか?実は、留学に一番必要なことは英語力ではないんです。英語が上手に話せなくても大丈夫。挑戦しないともったいない!アルクに新卒で入社した私が、あなたの一歩を後押しします。

間違えることは怖いこと?

「イクムだって?!笑 その漢字は、ハグクムって読むんだよ~笑」

教室中が大きな笑い声に包まれたその瞬間、私にはいったい何が起きているのかわかりませんでした。

クラスの皆の視線が私へと集中し、笑われているのは自分なのだと気が付いたとき、なんだかとても怖い気持ちになって、心がキュッと締め付けられる感じがしたことを覚えています。

漢字の読み間違いなんて、誰にでもよくあることだと思います。でもそれは、小学生だった私の心に、「間違えることは怖いことだ」という気持ちを植え付けるのには、十分すぎるほどの経験でした。大学生になるまでずっと消極的な性格だったのも、その時の経験が影響していた気がします。

そんな私ですが、大学2年生の夏休みにカナダへ短期留学する機会に恵まれました。とはいえ、英語力に自信がなかっただけでなく、海外旅行に行ったことも、1人で飛行機に乗ったことさえなかった私にとって、初めての海外生活は本当に大変な経験でした。

買い物の仕方も、電車の乗り方も分からない、見ず知らずの土地での生活は、文字通り「右も左もわからない」状態で、初めのうちはうまくいかないことばかり。

ホームステイ先への行き方をホストファミリーに電話で聞く勇気が出ず、道に迷ってしまいなかなかたどり着けなったり、忙しそうな駅員さんには話しかけることができず、電車を間違えて語学学校に遅刻したり、飲食店では上手く注文を伝えられず、頼みたかったものと違うものがきてしまったりと、日本では当たり前にしていたことができませんでした。

でも本当は、海外生活に慣れていないことだけが、うまくいかない原因ではありませんでした。前向きに挑戦することに消極的になってしまう私の性格が、状況をより悪くしてしまっていたのです。

例えば、英語力に自信がなかった当時の私は、周りの誰かに質問したいことがあっても、自分から聞いてみることさえできませんでした。

「英語の発音やイントネーションを間違えていたらどうしよう・・・」

そんな不安な気持ちは、小学生の頃に漢字を読み間違えて、クラスの皆に笑われた時に芽生えた、「間違えることは怖いことだ」という気持ちと同じです。

友達を作ろうにも、ホストファミリーと距離を縮めようにも、恐怖心から上手く英語を口に出せず、もどかしい留学の日々が続いていました。「せっかくカナダまで来たのに、何をやっているのだろう」と、自分を責めたくなってしまうときもありました。

でもそんな日々の中、私を変えてくれる出来事がありました。ホームステイ先で知り合った女の子が、休みの日にハイキングに誘ってくれたのです。彼女は、1年前にメキシコからカナダへと留学に来ており、うらやましいくらいに英語が上手に話せました。私は、誘いを受けたのはいいものの、自分の英語力できちんとコミュニケーションが取れるか不安で、前日まではとても憂鬱な気持ちになってしまっていました。

しかし、せっかくの彼女の誘いを断りたくないという思いで、当日は勇気を出してハイキングに参加してみると、その日の彼女との会話は、なぜだかとてもリラックスした気持ちで楽しむことができたのです。「間違えてもいいからたくさん話してみて」という彼女の言葉とやさしい笑顔が、英語を話すことを後押ししてくれたのだと思います。

相変わらず、私の英語はその日も完ぺきではありませんでした。でも、彼女と楽しく英語で話していると、ふっと緊張が解けていくような気持ちになったのです。クラスの皆に笑われたあの日から、「ズシン」と私の肩に乗っかっていた、「間違えることは怖いことだ」という重たい気持ちを、やっと降ろすことができたのかもしれません。その日を境に私は前を向いて、「失敗しても大丈夫!英語を話そう!」という気持ちになることができました。

この経験を通じて、私なりに気が付いたことがあります。それは、失敗を恐れて留学中に英語を話さないでいることは、もっと大きな失敗だということです。たった1日の出来事でしたが、英語の会話を心から楽しめた経験が、その後の留学生活を大きく変えてくれたのです。

失敗なくして成功なし

結局、留学を成功させるために重要なことは、「英語を話したい」という気持ちなのだと思います。それさえあれば、海外への一歩を踏み出すのには十分です。消極的だった私が、カナダへの留学を思いきることができたのも、その強い気持ちがあったからだと思います。

最初は、本やスマホで調べながら話していたって何にも問題はありません。まじめに考えすぎずに、会話を楽しんでいれば、徐々に話せるようになるものです。「話さないから話せない、話せば話せる」というだけのことだと、大きく構えていたほうが、きっと上達も早くなると思います。

そうは言っても、特に自分の英語力に自信がないうちは、「間違えるのが怖い」と感じてしまう機会に、出くわすことがあると思います。私も、間違えることへの恐怖心が全くなくなったかといえば、決してそんなことはありません。

でも、よくよく考えてみれば、英語で簡単なコミュニケーションをする上で、難しい英単語や文法は必要ありません。必要最低限の英語の基礎さえあれば、大体は何とかなるものです。間違えることに過剰に怯える必要はないです。むしろ、失敗を恐れて成長できないことのほうが、とても怖いことです。

私は留学という経験を経たことで、消極的だった過去の自分に向き合い、さらにそれを乗り越える努力をすることができました。今はそのおかげで、なりたい自分になることができました。最初は失敗ばかりだったけれど、私の挑戦は大きな成長につながったと、胸を張って言うことができます。

新しいことに挑戦できるチャンスがあっても、初めの一歩を踏み出すことに躊躇してしまう人はたくさんいます。挑戦して失敗するよりは、現状維持の方が良いと考えてしまうからです。でも、挑戦しない人にいつまでもチャンスは巡ってくるのでしょうか。失敗を恐れて挑戦を諦めることを選ぶ人には、やがてチャンスは訪れなくなってしまうのではないでしょうか。

「挑戦すれば、成功もあれば失敗もあります。でも挑戦せずして成功はありません。何度も言いますが挑戦しないことには始まらないのです」という元野球選手の野茂英雄さんの言葉があります。野茂さんは、ご存じの通り日本のプロ野球選手がアメリカ大リーグへと挑戦する礎を築いた、まさにパイオニアと呼べる人物です。

もちろん私は、野茂さんのように大きな成功を果たしたわけではありません。でも、留学中に勇気を出して、挑戦への一歩を踏み出すことができた私は、野茂さんの言っていることが、身に染みてわかる気がします。

こんな私の経験が、勇気が出ずに留学をためらっている誰かの「一歩」を後押しすることができたら幸いです。

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ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部
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