約四半世紀ぶりに生まれ変わる!日本人の英語学習者のための単語リスト「SVL」【Vol.2】

長年蓄積してきた膨大な英文データや、英米の大規模コーパスをもとに作成されたアルクのデータベース「SVL12000」。その発表から20数年──技術の進歩やビジネス環境の変化、学校英語教育や大学入試の改革、英検やTOEIC(R) テストといった英語試験の改訂、人々の生活スタイルや意識の変化などにより、日本人に必要とされる英語は大きく変わりました。そうした変化に対応すべく、アルクは「新SVL12000」をリリースしました。

【Vol.1】はこちらから!

英語の小説やドラマの理解も促進!

Vol.1にて詳しくご紹介したように、およそ四半世紀ぶりとなる今回のSVL改訂では、合わせて636単語(全体の5.3%)が、変更対象となりました。内訳は、次のとおりです。

  • 追加された新語 193語(全体の1.61%)
  • 削除された単語 193語(全体の1.61%)
  • レベルを見直した単語 443語(全体の3.69%)
  • 変更された語の総数 636語(全体の5.30%)

1万2000語のなかで、今回変更された単語は全体の5.3%に過ぎません。しかし、たったこれだけの変更でも、大きく変わったことがあります。

それは英語の各種試験に対する、SVLのカバー率です。ここでいうカバー率(網羅率)※1とは、TOEICテストなどで使われる語彙を、SVLがどの程度カバー(網羅)しているかを指しています。

一般に、対象となる試験で使われる単語のカバー率が95%程度ある語彙リストは、優秀だといわれています。カバー率95%ですから、すべて異なる100単語で書かれた英文のうち、5単語ほど知らない単語があるという感覚です。

95%の単語がわかれば、その英文はだいたい理解できるでしょう。しかし、細かいところまで正確に把握するには、95%というのはやや心もとないレベルです。

これがカバー率98%になると、100語に対してわからない単語は2つほど。ここまでくれば、ほぼ確実に内容が理解できますね。

SVLの改訂を機に、編集部では英語の小説に対するSVLのカバー率を、いろいろな本で調べてみました。一般的な読み物であれば、新SVLはその多くで、カバー率98%を満たしています。

洋画や英語のドラマのうち、日常生活で使用する口語が使われている作品については、リスニングという別の課題はあるものの、SVLのレベル7~9程度の語彙力を身につければ、おおむねカバー率98%が達成できると思われます。語彙力増強の成果を、身近な動画配信コンテンツにてぜひ試してみてください。

ただし、現代社会で一般に使われている単語に強いのがSVLであるため、政治経済、ビジネス、化学といった分野のコンテンツについては、専門用語も合わせて学習するのがおすすめです。

各種英語試験の語彙も高いカバー率

大学受験や各種英語試験の受験を予定している人にとって、カバー率はより重要な意味をもってきます。

旧SVLではレベル5(5000語)で、TOEICテストの単語を95.6%カバーしていました。新SVLもレベル5では、カバー96.12%ですから大差はありません。

新旧SVLともに、レベル8(8000語)まで身につければ、対TOEICテストのカバー率は98%以上を達成できます。とくに新SVLでは98.61%と、ぐっと99%に近づきます(旧SVLの場合は98.22%)。

これが共通テスト、センター試験の英語テストになると、新旧SVLのカバー率は、もっと差が開いてきます。旧SVLではレベル9(9000語)までやると、ようやく共通テストやセンター試験のカバー率が、98%を越えます。

対する新SVLでは、なんとレベル7(7000語)までの学習で、98%をカバーしてしまいます。掲載語彙を見直し、アップデートした新SVLは、旧版と比べて圧倒的に学習効率が高いのです。

繰り返しますが、カバー率98%というのは、テストに出てくる英文を読んで、98%の語彙を理解し、文章のニュアンスまできちんと把握できるレベルです。共通テストやセンター試験でこのレベルを目指すなら、新SVLレベル7までの語彙を、しっかりと身につけておきましょう。

最後に、挑戦する方が多いであろう、英検(実用英語技能検定)についてもみておきましょう。英検3級は、新SVLのレベル3(3000語)、英検準2級はレベル4(4000語)、英検2級はレベル5(5000語)で、カバー率98%を達成可能です。ワンステップにつき、だいたい1000語ずつ、語彙を増やしていくペースです。準1級になると一気に難しくなります。カバー率98%をクリアするには、レベル9(9000語)までの語彙を押さえておく必要があります。英検1級については、旧SVLではレベル12までやっても、98%をカバーすることができませんでした。新SVLでは、レベル11(1万1000語)でカバーできるようになりました。しかし、英検1級はなかなかに手ごわいことがわかりますね。

新SVLに準拠した「究極の英単語」シリーズ

各種英語試験の語彙対策は、新SVLを味方につけることで、効率的に進めることができます。ただ、新SVLを学習者が活用するには、学習に適したツールが必要です。

そのツールのひとつである、単語集「究極の英単語」も、新SVLに準拠し改訂されました。初級、中級、上級、超上級で構成され、各レベルにつき3000語、全4巻で新SVLの1万2000語がすべて網羅されています。

各巻の裏表紙には、CEFR※2、英検、TOEICテストとのレベル比較表が掲載されていますので、これもぜひ参考に、目標達成に向けて語彙力強化を目指しましょう。

CEFR画像。新SVLとCEFR-Jとの相関。日本人のターゲット語彙サイズと言われるBレベルまでの6000語※3をほぼカバーCEFR-Jのレベル区分との相関性も高い

※1:カバー率は当社調べによる

※2:CEFR-Jは欧州共通言語参照枠(CEFR)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の到達度指標 出典:CEFR-J公式Webサイト

※3:日本人の80%がCEFRレベルAに属しており、ターゲット語彙サイズは6000語 出典:文部科学省CEFR-Jとは

取材・編集協力 :田中洋子/ライター

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ENGLISH JOURNAL編集部

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