「英会話が苦手」「間違った英語を話すのが恥ずかしい」という方におすすめしたいのが「セカンドベスト英語」。「セカンドベスト英語」を実践すると、今知っている英語の知識だけで、英会話力が格段にアップするのですが、いったいどんな方法なのでしょうか? 英語教育専門家に方法やその効果についてじっくり聞いてみました。
まずは英語クイズにチャレンジ!
突然ですが英語クイズです。
普段使わない単語なので、なかなか出てこない方も多いかもしれませんね。クイズなら「分からない」でOKなのですが、実際に火災が起きている場合など、 「絶対に伝えないといけない」緊急事態のときはどうしたらいいでしょうか 。
そんなときに活用したいのが「セカンドベスト英語」です。単語を知らない場合、正しい英語で伝えるというよりも、 伝えたい単語の意味を考えて、その意味になるよう知っている単語を組み合わせて表現する ことです。
例えば「消火器」の場合、英語では Fire extinguisher というのですが、分からない場合、まずは消火器の用途を考えます。用途は「火を止めるスプレー」なので、相手に伝えるには以下のように Fire stop spray でもOKなのです。
Fire stop spray という表現は、ネイティブスピーカーからすると聞きなれない表現なので、一瞬なんのことだろうと思うかもしれませんが、意味は伝わるので「もしかしたら Fire extinguisherのことかな?」と分かってくれるはずですよ。
たくさん英単語を知らなくても、「セカンドベスト英語」を使えば、伝えたいことを伝えることができます。ここで紹介したやりとりは 動画 でご覧いただけます。
【今すぐ英語で喋れる60分講座】#1 『Let’s start conversation』 - YouTube
「セカンドベスト英語」クイズ5
「セカンドベスト英語」の考え方が分かったところでクイズです。以下を英語で言ってみましょう。
- 痛み止めの薬
- 納品日
- 棚卸し
- 忘年会
- 賀詞交歓会
英語教育専門家が語る「セカンドベスト英語」とは
アルクで英語教育関連の調査や研究に携わる、アルク教育総合研究所の平野琢也所長に「セカンドベスト英語」の有用性と、「セカンドベスト英語」を鍛える方法について聞きました。
アルク教育総合研究所 平野琢也所長
英語教材編集やTSSTなどスピーキング能力テストの開発・運用、英語学習アドバイザー資格認定制度の立ち上げ・運用などに関わり、現在はアルク教育総合研究所にて、英語教育関連の調査・研究に携わる。
日本人が英会話が苦手な理由とは
日本で英語教育を受けた方々は、 英語は正解があって、その正解を言わないとだめというマインドがある んだと思います。間違った英語を話すことを恐れて、正しい英語だけを話そうとするため、結果的に会話が続かず沈黙してしまうのではないかと思います。
「セカンドベスト英語」の良さは何か
多少の間違いがあっても、知っている単語を組み合わせて、 とにかく話す経験を積み重ねるということが、英語を話す訓練につながる んだと思います。
例えば、以下の4つの中で、相手に自分のメッセージが伝わりやすいのは、どの順番だと思いますか?
- 正確な英語でたくさん話す
- 正確な英語で少し話す
- 不正確な英語だがたくさん話す
- 不正確な英語で少し話す
でも、 自分のメッセージが伝わりやすいのは、「3.不正確な英語だがたくさん話す」 です。なので、学習者の方は、自分が犯す多少の文法ミスには目をつぶってたくさん話す経験を積むと、意図が伝わる可能性が上がり、最終的に英語力アップにつながります。「セカンドベスト英語」はまさにこれに当たりますね。
「セカンドベスト英語」を鍛えるためには
自分が知っている単語を出す訓練が必要なのですが、 その際に大切なのが「英語を間違っても大丈夫」という環境 です。冠詞や三単現のSが抜けてる、など小さい間違いをいちいち指摘されると話し続ける気持ちがなくなってしまいますよね。
現在、高校の英語教育現場は、授業で習った英語を積極的に口に出させるような授業方法が広がりつつあります。スピーキングテストを実施して調査を続けていると、年々レベルが上がってきているのを実感します。 社会人の方も「間違ってもいいからとにかく話す」というマインドセットに変えて練習できる場があるといい ですね。ただ、独学ではなかなかその練習は難しいかもしれません。
「セカンドベスト英語」を鍛える英会話合宿
2日間の短期集中合宿で、英語を話すトレーニングを徹底的に行う「イングリッシュブートキャンプ」のプログラムには、「セカンドベスト英語」を鍛えるトレーニングが数多く含まれています。そのトレーニング内容を平野所長が検証してみました。
Quick shot
指定された写真の一部の状況を瞬時に表現するトレーニング。例えば、インストラクターが写真に写る男性を指さし、He...と振ってきたら、He is reading a book.などと、状況を即座に答える訓練を繰り返す。
また、時制が間違って分かりにくいときや、ネイティブスピーカーには伝わらない発音をしている場合は、その場でインストラクターが修正しているので「文法」「発音」のトレーニングにもなっています。1枚の写真に対して、たくさん話さなくてはいけないので「語彙」も増えていき、また たくさん話すことで自信にもつながっていきますので、とても効果的なトレーニング になっていると思います。
こちらは、「何かを英語を言わざるを得ない状況を作っている」トレーニングだと思います。単語を言い換えたり、説明したり、似たものに言及したり反対のものと比較したり、さまざまな言語機能を使う必要性が組み込まれていますね。
また、1対1で、時間制限もあり、どれだけ正解したかチームごとに競うというゲーム要素もあるため、沈黙させない工夫がされていると思います。 「セカンドベスト英語」に必要な「間違ってもいいから話す」という環境になっている と思います。
「セカンドベスト英語」で話せるようになる2日間の英会話合宿の詳細はこちら
短期間で英語力をアップしたい人におすすめの記事
1.痛み止めの薬:aspirin、medicine for pain などでOK。正しくは painkiller
2.納品日:the day of you'll get themなどでもOK。正しくは delivery date
3.棚卸し:stock check、 stock countingなどでもOK。正しくは stocktaking、inventory count
4.忘年会:year end party などでOK。
5.賀詞交歓会:New years party、New year's celebration などでOK。
企画構成・文:Natsue Tanaka/写真(平野所長):山本高裕