TOEICテストが新形式にリニューアルされてから、ちょうど1年が経ちました。もうすっかり慣れたという方も、 久しぶり に受験して新形式に面食らったという方も、リーディング問題の最終章、Part7の出来栄えはいかがですか? あの文章量がツライ!という方も多いのでは? それなら、アルクの新刊 『TOEIC L&R テスト 究極のゼミ Part 7』 で、突破口が見つかるかもしれませんよ!
Part7の概要をおさらい
リーディング問題の最終章にあたるPart7では、こんな問題が出題されます。
- 1つの文書を読んで解く:29問
- 複数(2~3)の文書を読んで解く:25問
また、テスト開始から1時間ほどたち、疲れを感じ始めているときに 取り組む のでなかなかハード。文字量の多さに加え、つながりを意識しながらいくつもの文書を読むなんてかなりのキツさです。
旧版からのファンも多いという「究極のゼミ」では、このPart7について、どのような攻略法を教えてくれるのでしょうか。
対話形式で読みやすい
そもそも 本書のタイトルはなぜ「ゼミ」なんてしょう?それは、 講師のヒロ先生が、3人の生徒と対話しながら授業を進める「誌上ゼミ」形式 をとっているから。
生徒は、証券会社に勤めるマイ、衣料品販売店で働くヤス、メーカー勤務のダイというバラエティに飛んだ面々。現在のTOEICのスコアもさまざまです。
淡々と解説が続くTOEIC本とは違い、4人の会話を楽しみながら、Part7の解法を学ぶことができるのです。
では、新形式に対応した部分を中心に、どんな解説がなされているのか見ていきましょう。
気になります!「位置選択問題」
シングルパッセージで登場する形式。ある英文(本書では「ターゲット文」と呼んでいます)が、文書全体のどの位置に入るかという問題です。
把握 ">情報と情報の関連性を 把握
例えば、次のようなターゲット文がある場合を考えてみましょう。
Therefore , I have decided to book the largest room at Hills Center for the event .接続副詞 “ therefore ( 従って )” に注目すると、その前には「大きな部屋を使う理由」に相当する情報があると 予測 できます。例えば、「昨年はすぐ満席になった」など。従って 、そのイベント用に、Hills Centerにある最大の部屋を予約することにしました。
※本書p.114より引用
このように「 情報と情報の関連性を 把握する 力が最も大事 」だとヒロ先生。
他にも、接続詞や副詞、代名詞、冠詞もヒントになるそうです。
ターゲット文には “the event (そのイベント)” という語があります。すると、ターゲット文の前には、“ceremony” や “conference” など何か特定のイベントがあると 予測 できますね。
「意図問題」はストーリーを理解
ある発言が暗示する意味や、発言した動機を問う問題を、本書では「意図問題」と呼んでいます。
シングルパッセージのチャット形式の問題で登場。こんな感じです。
飛ばし読みはしない
意図問題は「文脈を 把握 しなければ解けないようにできている」と、講師のヒロ先生。ターゲットの前も後も読んで、情報の流れを 把握 したほうが良いそうです。
ターゲットをサンドイッチするように、前後にヒントがある ので、飛ばし読みせず上から順に読みましょう。
口語表現の暗記より大事なことは?
チャット形式の文書が出題されるということで、「口語表現がでる」という情報を、あなたも聞いたことがあるのでは? となると、口語表現を覚えたほうがいいのではと思ってしまいますが、「 口語表現を覚えるより、文脈を 把握 したほうがよい 」というのがヒロ先生の教え。
同じフレーズでも、文脈によって意味が変わってくるので、文脈を 把握 したほうがよいそうです。そういえば、日本語の口語表現「ヤバい」も、文脈によっていい意味にもなれば、悪い意味にもなりますよね。
出ました!トリプルパッセージ
苦手とする人が多そうなトリプルパッセージ。こんな形式の問題ですね。
ささっと答えがわかるマル秘テクニックを教えてもらいたいところですが、ヒロ先生のおすすめは「 なるべく多くの文書を読んでから設問を解く 」こと。- 最初の設問を読んだら、2文書を続けて読む
- 解けない問題が出てくるまで、そのまま解答を続ける
- 解けない問題が出てきたら、3番目の文書も読む
すると確かに、この順番で問題を解くことになりますね。
納得のアドバイスですが、もっとこう、パッと答えがわかるテクニックはないのでしょうか。
大切なのは、「受験スキルを学んだあとの練習量」ですか・・・。やはり、TOEIC受験に王道なし! 目標スコア目指して、実践あるのみですね。死ぬかと思った! これぞ、怪我の功名?
「対話形式で読みやすい」は、本当だった
実は、私も5月21日のTOEIC公開テストを受験したのです。が、その前日が大変でした。1日かけて今までやってきた問題集の総仕上げをするつもりだったのですが、朝食後に激しい腹痛と嘔吐が。あいたたた。
「これはスコアアップする前に死ぬ」と思い、這うようにして近所の内科へ。待合室で2時間半待つことになり、症状が落ち着いてからは、ずっとこの本を読んでいました。発売日前ですが、この記事を書くために担当編集者から借りていて、病院へ行くとき気が動転したのか、保険証、お財布、そのほかと一緒にバッグに放り込んでいたのです。
で、私は実感しましたよ! 本の紹介をするとき、サラッと「対話形式でとっても読みやすい」などと書いてしまったりしますが、これは本当にそうだったのです!
いくら症状が落ち着いたといっても、20分ほど前まで死にそうだったので、堅苦しい解説文だったらとても読む気になれなかったと思います。でもこの本の、 ヒロ先生+生徒3人の会話なら、読んだことがスラスラと頭の中に入ってきました 。
その後、家に帰ってからも机に向かっての勉強はできず、ソファにゴロ寝しながら流し読み。
さすがに1冊丸ごとは無理でしたが、本全体の半分以上は読めたと思います。位置選択問題、意図問題、トリプルパッセージやチャット問題などを解説したページは、もちろんチェックしました。
本番でPart7が楽しめた!
そしてTOEICテストの当日。腹痛や吐き気は治まったものの、明らかに顔が半病人だし、もう試合前から負け気分です。ともかく、試験会場に来た自分をほめてあげたい・・・という気分でしたが、あら不思議! そもそも リーディングが苦手で、Part7に対しては「出たな、ラスボス!」という感じだったのに、 なんだかPart7を解くのが楽しい のです!
昨日読んだ「情報はサンドイッチ状に」というキーワードや、トリプルパッセージの解き方などがふっと思い出されて、「あ、これ分かるぞ!」と思いながら解くことができました。他にも、「ダイが○○と言ったらヒロ先生が違うって言ったっけ」等々、4人の会話が頭の中に残っていて、正解 かどうか はともかく、ひとまず根拠をもって答えられたのです。
もちろん、まだ結果はわかりませんが、「Part7を楽しんで解けた」というのは、初級者レベルの私にとってはなかなかスゴイことだったと思います。
まとめ
本書のカバーには、「対象レベル:全レベル」と表示されています。実は私、「Part7は中級以上の人がやればいいんじゃないですかね~」とひそかに思っていたんです。でも、違いますね!
初級者がこの本を読めば、あの手が付けられなそうなボリュームが怖くなくなりますし、中級者が読めば、確信をもって解答できるようになり、Part7を得点源にできると思います!
6月の公開テストまで3週間余り。Part7を楽しく解いてみたい人はぜひどうぞ。
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