TOEICスコアアップ200点請負人の Jay(ジェイ)こと早川幸治さんの連載。単語の覚え方、語彙力アップに革命(?)を起こす、ルー語の活用法についてお話しいただきます。
すてきに省略されるカタカナ語は便利?
「アジェンダについてディテールを詰めたいので、明日のミーティングはリスケしましょう」のように、英語と日本語、さらに英語を器用に省略して、「ミックスピザ」もびっくりな感じの言葉のミックスが日常的に行われています。
rescheduleをリスケとか、renovationをリノベとか。
operationをオペとか、complianceをコンプラとか。
cost performanceをコスパとか、smartphoneをスマホとか。
中には、entertainmentをエンタメという神業まであります。
ビジネスで最も活用されるものが「リスケ」かもしれません。ちなみに、初代内閣総理大臣である伊藤博文の幼名はリスケ(利助)といいます。脱線ついでに、ここで、私が予想する「カタカナ略語としてこれから使われそうなTOEIC系語句」を発表します!
コントリ・・・[名]contribution(貢献)
クオプラ・・・quoted price(見積もり金額)
インプリ・・・[動]implement(実行する)
このような、外国語を芸術的で華麗な取り込み方をする日本の言語文化の柔軟性もすてきですが、そのまま使っても英語としては通じません。英語学習を基準に考えるならば、正しい英語をそのまま日本語の中に取り入れてしまったほうが、単語力や表現力は確実にアップします。
なお、フレーズで使うと文法力もアップします。先ほどの例でいうと、こんな感じです。
「Details of the agendaを詰めたいので、明日のはreschedule the meetingしましょう」
もちろん、実際にこれを使うと相手が嫌がるかもしれません。そこで、独り言として、このような感じで学習した単語やフレーズを組み込んでしまうことをお勧めします。または、英語学習仲間とのやりとりの中に入れるのも効果的です。
「英語を英語のまま理解する」のはハードルが高過ぎるという方へ。
「トゥギャザーしようぜ!」で有名なタレント・ルー大柴さんは、「やぶからスティック」や「寝耳にウオーター」のように日本語の中に英単語を入れた、いわゆる「ルー語」を活用されています。英語学習において、英語を英語のまま理解したり、そのまま覚えたりすることのハードルが高すぎるという場合には、「ルー語」の活用が単語力アップに効果的です。
覚えられないのは記憶力や歳のせい?
学習の悩みのトップは「単語が覚えられない」です。「記憶力が悪いから」とか「もう歳だから」とか、覚えられない理由を脳のせいにして「だから、しょうがない」と片付けようとする方が多くいます。
それは脳に失礼です!
脳にとっては、単語が難しいとか簡単とかの区別はありません。ただ、思い出しやすくなるか思い出しにくくなるかは、私たちの単語との付き合い方次第なのです。例えば、pandemicは英検1級レベルの単語なのですが、TOEIC 200点台の方でも意味を知っているのではないでしょうか。これは、「カタカナで使われているから」ではあるのですが、英検1級レベルの単語を覚えようともせずに覚えられた経緯に、単語学習の大きなヒントがあります。
まず、「パンデミック」という言葉を「文字」だけでなく「音」でも触れました。また、単語だけでなく、「新型コロナウイルス感染症」という世界中にまん延する感染症のことを話す中で使われていることから、「文脈」を通して触れたはずです。しかも、一度や二度ではなく、何度も「繰り返し」触れました。このように、「文字」と「音」を「文脈」の中で「繰り返し」触れることで、苦労せずに身に付けることができるのです。
言い換えると、単語を覚えるためには、「聞いて/読んですぐに思い出せる状態」を作り上げることが必要です。例えば、「これはexpenseがかかりすぎる」といってもあまり、ぴんと来ないかもしれません。それは、expenseという単語を文字で見る機会も、音で聞く機会も、文脈の中で触れる機会も少なかったからです。でも、この名詞を形容詞にして「これはexpensiveすぎる」と言えば、スムーズに理解できるでしょう。形容詞expensiveは日本語に訳さなくてもピンとくるのに、名詞expenseにした途端になじみがなくなるというのは、よく考えてみると不思議ですよね。
海外旅行中に見た単語や表現がスムーズに覚えられた、という経験がある方も少なくないと思います。それは、「文字」「音」「文脈」「繰り返し」が含まれていたからです。
ルー語センテンスに挑戦
レベルの高い単語が含まれている文でも、ルー語で書かれていたら理解しやすいでしょう。ここでは、語句の意味を知らなかったとしても「文字」と「文脈」から推測できるかどうか挑戦してみましょう。
・この記事でご紹介した方法で学習をすると、単語力がincrease exponentiallyでしょう。
・in the proximity of the stationのマンションは家賃が高いです。
・事故があったようで道路がcongestedでした。
・給料はcommensurate with your experienceです。
・このイスはsturdy materialsで作られているので、壊れにくいです。
いかがでしょうか。知らない単語があったとしても、推測しやすかったのではないでしょうか。単語学習をする中で、なかなか覚えられないと思う単語があれば、自分自身に関係のある文脈で、身に付けたい語句を含む文を作ってみることをお勧めします。
ここで、先ほどの語句の日本語訳をお伝えします。
increase exponentially(飛躍的に増加する)
in the proximity of the station(駅の近くに)
congested(混雑して)
commensurate with your experience(経験に応じて)
sturdy materials(頑丈な素材)
推測できていたでしょうか。ニュアンスが同じであれば、ぴったりと合う日本語訳でなくても大丈夫です。
上では、書かれている英文から内容を推測するという形で取り組んでみましたが、先に書いたように、単語学習をする際には「自分に合う」文脈で内容を作って声に出すことをお勧めします。「このカフェのテーブルはsturdy materialだなあ」とか、「100人乗っても壊れないなんて、sturdyな物置だなあ」のように、独り言や学習仲間との会話の中に盛り込むことで、話す側も聞く側も文脈の中で語句を学ぶことができるので、Killing two birds with one stoneです。
また、ルー語で学習することで、単語の意味だけでなく、使い方まで学ぶことができますし、フレーズを活用することで正しい文法のまま身に付けることができます。そう考えると、Killing many birds with one stoneですね。
ちなみに、私は大学生時代に第2外国語として取っていたスペイン語の学習において、友人とスペイン語版のルー語で会話をしていました。その後、20年近くたってからスペインに行ったときに、意外とフレーズを覚えていたことに、ルー語の効果を体感しました。
TOEIC学習にルー語学習が効果的な理由
前回の記事では、TOEICに登場するシーンは「問題解決」と「情報提供」の2つであるというお話をさせていただきました。
リスニング・リーディング共に、それぞれの場面は異なりますが、抽象化して考えると似たような文脈が繰り返し登場します。「買ったものが壊れていた」という文脈であれば、コピー機の話であってもコーヒーメーカーの話であっても、機械をreplace(交換)する話になるでしょう。
TOEICにはsimilar(似ている)な文脈がrepetitively(繰り返し)に登場します。そして、似た文脈であれば、使われる語句も似てきます。ルー語を活用して「文脈を把握する力」を高めることで、リスニングにおいてもリーディングにおいても、使われている英語から文脈を推測できるようになります。
ルー語は、単語学習を変えます!
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