「英語が口を突いて出る」と「直読直解」を可能にする音読トレーニング法【TOEIC満点60回講師の秘訣】

フリーランスTOEIC講師を経て、現在は「猛牛ちゃんねる」でTOEIC対策動画を配信するTOEIC YouTuberの加藤草平さん(またの名をJet Bull、猛牛)。この連載「TOEIC満点者の頭ン中」では、TOEIC満点を通算60回以上 取得 している加藤さんが、TOEIC満点レベル以上の英語力を獲得する方法を紹介します。第5回は「英語を英語のまま理解し話せるようになる音読トレーニング法」です。

短期で英語力アップを実感できる「音読」

TOEIC満点 取得 者は、TOEICの問題を解くとき、完全ではないにしても 95パーセント程度の部分は英語を英語のまま理解 しています。

▼「英語を英語のまま理解する」の詳細はこちら↓

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今回は、その「英語を英語で理解する」という感覚を比較的、短期で体験できる「音読」について書いていきます。

前回の記事で扱った「多読多聴」と、今回紹介する「音読」は、どちらも王道の英語学習法ですが、非常に対照的な学習法です。

スポーツに例えるなら、「多読多聴」はウォーキングのようなトレーニングなのに対し、「音読」は筋トレのようなトレーニングです。ウォーキングは体への負担が 少ない ですが、効果は長期的に表れるのに対し、筋トレはきつくて大変ですが、効果は短期で目に見えてきますよね。

「多読多聴」は1回ずつのトレーニングの負担が 少ない 代わりに、短期的にはその効果に気付きにくいです。ストレスが 少ない (むしろ楽しい)分、習慣化さえしてしまえば学習の継続は簡単ですし、長期的に見て非常に効果の高い方法です。

これに対して 「音読」は、1回ずつのトレーニングは少しきついですが、その代わりに短期で効果を実感 できます。「音読」のトレーニングをすれば、一つ一つの英語素材をダイレクトに吸収して、 すぐに 血肉化できるからです。しっかり取り組めば、ほんの2、3日で「英語を英語で理解する感覚」がつかめますよ。

▼前回の「多読多聴」はこちら↓

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音読にはいろいろな種類がある

さて、「音読」と一口に言ってしまうと誤解を招くかもしれませんので、ここでいったん少し説明しておきます。

僕の言う「音読」というのは、「黙読」の反対語である「音読」のことを指しているわけではありません。ここでの「音読」は、「文字を目で見てそれを声に出して読むこと」だけを指すわけではなく、「英語を声に出して行う学習全般」のことを指しています。

具体的に は、 「シャドーイング」「オーバーラッピング」「Read & Look Up 」(詳しくは後述)などを含めた総称 として「音読」という言葉を使っています。

音読で「音の認識力」と「直解力」が上がる

「音読」の効果は多岐にわたるのですが、今回紹介する「音読トレーニング」をして特に上がるのは「英語の音を認識する力」と「直読直解力」です。

「英語の音を認識する力」とは、英語の つづりなどに惑わされずに英語そのままの音を認識する力 です。

僕たち英語ノンネイティブは、英語の音 に関して 多かれ少なかれ、「自分がこうだと思っている音」というものがあります。例えば、a cup of coffee「1杯のコーヒー」という音を想像してみてください。「アカップオブコーフィー」や「アカッポブカフィー」のような音を想像するのではないでしょうか。おそらく、of(オブ)のブ(V)の音を省略して想像した方は多くないですよね。

実は、a cup of coffeeと言うときのofのfの音は多くの場合、省略されます。そのため、a cup of coffeeは「アカッパカフィー」のように発音されるのです(片仮名での表記には無理がありますが)。

「音読トレーニング」をすると、この 「自分が思い込んでいる音」と「英語本来の音」の違いに気付き 、英語そのままの音を認識する力がアップします。

「直読直解力」とは、英語を、 英語の語順のまま理解していく力 のことです。

英語と日本語では語順が大きく異なります。英語を日本語で理解しようとすると、後ろから訳して理解するという「返り読み」をどうしてもしがちです。

「音読トレーニング」では、使用する英語素材で 返り読みができないようトレーニング を進めていくため、直読直解力がアップします。

音読トレーニングは3段階で行う

僕の場合、音読トレーニングを大きく3段階に分けています。

第1段階:「音を覚える」シャドーイング

第2段階:「口を慣らす」テキスト付きシャドーイング

第3段階:「意味を乗せる」Read & Look Up

なお、使う素材は、TOEICのPart 3やPart 4のような、複数の英文から成る少し長さのあるものが適しています。これを「1つの素材」と呼びます。

第1段階:「音を覚える」シャドーイング

「シャドーイング」とは、 お手本音声を聞き、聞こえたそばから聞こえたまま口に出してまねてみる トレーニング方法です。お手本音声に0.5秒~1秒遅れて自分が声を出すようなイメージです。

最初はうまくいかないかもしれませんが、「1つの素材」を何度も繰り返しているうちに徐々に上手になっていきます(むしろ、最初からうまくいくのであれば、シャドーイングをする必要はありません)。

このシャドーイングは、僕の場合は 「1つの素材」につき10~20回程度 行います。

なお、シャドーイングは、「1つの素材」を通しで行います(1文ずつ区切って行うのではなく、複数の文をまとめて行います)。

この段階でのポイントは、お手本音声の原稿を 文字で見ずにまねをする ことです。これは、英語を文字で見てしまうと、自分が思い込んでいる音にどうしても引っ張られてしまうためです。

ちなみに 、シャドーイングの前や途中で、英語音声を聞くだけのリスニングを行ってもOKです。

また、この時点でお手本音声の原稿や意味の確認は特に行いませんが、どうしても気になる場合はしてもOKです。 ただし 、原稿の確認をすることによって自分が思い込んでいる音に引っ張られないよう、シャドーイングをしているときは原稿を見ないようにしましょう。

第2段階:「口を慣らす」テキスト付きシャドーイング

シャドーイングで大体の音を覚えたところで、今度はお手本音声の 原稿(テキスト)を見ながらシャドーイング を行います。

何度も繰り返し「テキスト付きシャドーイング」をしていると、徐々にお手本音声とほぼ 同時に 発話できるようになっていきます。お手本の英語音声に自分の声をオーバーラップさせる(重ねる)ことから、このトレーニングは「 オーバーラッピング 」とも呼ばれます。

「1つの素材」についてテキスト付きシャドーイングを 10~20回行う と、かなりお手本音声に近い発話ができるようになるでしょう。

なお、このテキスト付きシャドーイングが終わった後で、いったん 英文の意味や文構造の確認 をしましょう。

Look Up ">第3段階:「意味を乗せる」Read & Look Up

既にシャドーイングとテキスト付きシャドーイングを繰り返しているため、英語の音がかなり口になじんでいる状態ですね。

この段階で行う「Read & Look Up 」は、お手本 音声を使わない トレーニングです。

これは、まず テキストを見て英語を声に出して読み(Read)、その直後にテキストから目を上げて( Look Up )、同じ英語を声に出す 、というものです。テキストの英語を声に出して読み、瞬間的に記憶して、今度はテキストを見ずに声に出す、というトレーニングですね。

シャドーイングやテキスト付きシャドーイングのときは「1つの素材」を通しで行っていましたが、Read & Look Up単位 に区切って 行います。つまり、瞬間的に記憶する 単位 は、1文です。

ただし 、1文とはいえ、瞬間的に記憶するのはかなり負担の大きい 作業 です。英文の意味を全く意識せずに記憶することはかなり難しいため、Read & Look Up意味を意識しながら 行います。瞬間的に記憶して、口に出した英語に「意味を乗せる」ようなイメージで行いましょう。

このRead & Look Up は、1度、もしくは2、3度行ってもいいでしょう。

音読で、英語をそのままの音と語順で理解できるようになる

この3段階のトレーニングをざっくりまとめると、次のような流れになります。

シャドーイング、テキスト付きシャドーイング→英語そのままの音を口で覚える

Read & Look Up →「口で覚えた英語」と「意味」を脳内でブレンド

この3段階のトレーニングを「1つの素材」について行うと、その素材については 日本語を介さなくても理解 できる状態になります。

もちろん、「1つの素材」をトレーニングしただけで、全ての英語を英語のまま理解できるようになるわけではありません。しかし、幾つもの素材でこのトレーニングを繰り返していけば、徐々に 「英語を英語のまま理解できる」 割合 が増えて いきます。

さらに、英語をそのまま「口で覚える」という 作業 は、長期的にはスピーキングにも非常に役立ちます。「英語が口を突いて出てくる」という表現がありますよね。僕の場合はこの 「音読トレーニング」を積み重ねた結果、英語が口を突いて出てくる という瞬間を何度も経験しています。

正直なところ、今回紹介した音読トレーニングは決して楽なものではありません。しかし、「英語を英語のまま理解するってどういう状態?」と疑問に思う人は、この音読トレーニングを一度体験すると、「英語を英語で理解するってこういうことか!」と疑問がスッキリ解決するはずです。

まずは、「1つの素材」について「英語を英語のまま理解できる」体験をするのが非常に大事なことです。この感覚をつかめると、その後の英語上達の道筋が見えてきますよ。

ぜひ、回紹介した3段階の音読トレーニングを試してみてください!

▼「英語を英語のまま理解する」のがどういうことか今すぐ知りたい方はこちら↓

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加藤草平(Jet Bull、猛牛)
TOEIC YouTuber。TOEIC対策動画を配信する「猛牛ちゃんねる」でYouTuberとして活動中。YouTuberになる前はフリーランスTOEIC講師。TOEIC満点は通算60回以上 取得 、最高で40回連続満点を 取得 したこともある。書籍 『TOEIC(R) L&Rテスト プライム模試400問』 (アルク)を監修するなど、TOEIC教材の制作にも携わっている。

「猛牛ちゃんねる」: https://www.youtube.com/channel/UCv8HudXBy1Hyd-R2v1jqTvg

編集:GOTCHA!編集部

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