フリーランスTOEIC講師を経て、現在は「猛牛ちゃんねる」でTOEIC対策動画を配信するTOEIC YouTuberの加藤草平さん(またの名をJet Bull、猛牛)。この連載「TOEIC満点者の頭ン中」では、TOEIC満点を通算60回以上取得している加藤さんが、TOEIC満点レベル以上の英語力を獲得する方法を紹介します。第4回は「TOEIC満点取得や英語上級レベル到達に必要不可欠な多読多聴の方法」です。
目次
多読多聴はTOEIC満点などの英語上級レベルを目指すのに必須
前回は、「TOEICに出る全ての単語を覚える方法」を書きました。未読の方は下記リンクからどうぞ。
▼第3回はこちら↓
gotcha.alc.co.jpこの第4回では、 英語上級者になるのに欠かせない「多読多聴」の実践方法 を紹介します。
「多読多聴」という言葉を聞いたことはありますか?簡単に言うと、「英語をたくさん読んで、たくさん聞く」ことです。
( ちなみに 、英語の多読学習法では、「SSS式多読 *1 」が有名ですが、この記事での多読多聴はSSS式多読のことではなく、広い意味で使っています)
「TOEICで満点を取りたい」とか、「英語の上級者になりたい」ということであれば、多読多聴は絶対にやるべき です。
多読多聴の最大のメリットは、「英語学習のモチベーションが下がり、 学習をやめてしまったときでも、英語力を維持、もしくは上げることができる 」点です。
例えば、 前回の記事 で紹介した、「単語学習」のような「お勉強」は、モチベーションが高いときでないとできません。
しかし、多読多聴はその性質上、モチベーションが低くても続けることができます。 多読多聴は、「学習」というよりは「習慣」や「娯楽」 になるからです。
「娯楽」であろうとも、英語で何かを読んだり聞いたりしていれば、英語に触れていることには変わりありませんから、少しずつ英語力は伸びていきます。僕自身、英語学習を一時休止したことは何度もありますが、多読多聴のおかげで、英語力が下がったと感じたことはありません。
TOEIC満点や英語の上級レベルを目指すのであれば、継続的に英語に 取り組む 必要があります。
しかし、何年もモチベーションを高く保ち続けられる人は多くはいませんから、普通は英語学習をどこかで卒業したり、一時休止したりします。多読多聴は、この 学習ストップによる英語力の低下を阻止 してくれるため、結果的に長期での英語力向上に大きく貢献するのです。
これから、僕がどのように多読多聴に取り組んできたのかをお話しします。
多読多聴の3つの段階
僕がこれまで取り組んできた多読多聴には、振り返ってみると3つの段階がありました。
学習初期に行った1つ目の段階だけは「お勉強」でしたが、残り2つの段階は「習慣」であり「娯楽」です。
第2段階: 日本語でワンクッション 置いた多読多聴
第3段階: 英語のみ での多読多聴
第1段階:英語学習を英語で行うことによる多読多聴
一般的に、英語を学習するときには、日本語で説明が書かれた英語教材を使うことが多いと思います。でも僕の場合は、 TOEIC 730点程度の段階で、英語のみの英語教材に切り替え ました。
具体的に は、英和辞典ではなく 英英辞典 を使って( 前回の記事 を参照)、 英語のみで書かれた英語学習書 で自習し、 英語学習者向けPodcast(ポッドキャスト) を聞きました。
英語学習時における日本語を排除し、常に英語で読み、英語で聞く状態(多読多聴の状態)を作ったわけです。 具体的に は、次のような英語学習書とPodcastを使いました。
第1段階で使った主な英語学習書
第1段階で聞いた主なPodcast
- 「 The English We Speak 」(BBC Learning English)
- 「 Culips 」
正直に書くと、この段階はややつらいものでした。英語を英語で理解することに慣れていない段階でしたから、最初は特に苦労しました。
「果たして自分は正しくテキストを理解できているのだろうか」「このPodcastは一体、何の話だろう」、このように不安になることは多々ありました。
しかし、英語力向上へのモチベーションが高かった時期だったため、何とか乗り切ることができました。(英語の理解に不安があるときは、 英和辞典なども併用 しました)
この段階で日本語をほぼ排除したため、 英語に触れる量が格段に増加し、英語を英語のまま理解する感覚を養う ことができました。
▼「英語を英語のまま理解する」についてはこちら↓
gotcha.alc.co.jpなお、最近は多くの 「英語を英語で学べるレッスン動画」がオンライン上で無料公開 されています。
英語を英語で学べるYouTubeチャンネル
- 「 BBC Learning English 」:Podcastとして紹介した「The English We Speak」を含む、多くの英語学習動画があります。
- 「 engVid: Learn English 」:まるで、海外の語学学校で授業を受けているかのような動画が多数あります。
第2段階:日本語でワンクッション置いた多読多聴
第1段階のような英語学習をする中で、「休憩」として始めたのがこの第2段階です。
当時、偶然にも、子どものころに日本語吹き替え版で見たアメリカのドラマ『 フルハウス 』とアニメ『 サウスパーク 』がテレビで放映されており、休憩がてら、これらを見るようになりました。
これらのテレビ番組を英語で見たことは、自分の中にあった意識を大きく変えました。その意識とは、「英語でドラマなどを見るのは難易度が高い」というものです。この意識が変わり、 「日本語で一度ストーリーを理解していれば、英語で見ても十分に作品を楽しめる」ということに気付いた のです。
英語でドラマを見るときに大きな障害になるのは、その作品の世界観や設定を理解するというステップです。英語のドラマなどが難しく感じるのは、英語が分からないという理由だけではないのです。
日本語で一度見たものであれば、 世界観や設定を知った上で作品を見ることができる ので、英語でも十分に楽しめます。
( ちなみに 、僕自身はドラマ鑑賞を多読と多聴の両方に含めています。というのもほとんどの場合、ドラマは英語字幕を出して見ているからです)
いきなり日本語の助けなしで英語の作品を楽しむのは難しいかもしれませんが、 日本語でワンクッション置くことによって、難易度はぐっと下がり ます。
まずは、「日本語で見た・読んだことのある作品を英語で見る・読む」というのは、ぜひおすすめしたい「娯楽」です。
現在では、 Netflix や Hulu といった、オンラインの定額制動画配信サービスが便利です。これらのサービスで見られる海外ドラマの多くが、「英語字幕」に対応しています。また、これらで提供されている日本のアニメも、「英語吹き替え」や「英語字幕」に対応しているものが多くありますので、こういったものを活用するといいでしょう。
第3段階:英語のみでの多読多聴
第2段階をしばらく続けると、次第に「英語だけで英語の作品を楽しむ」ことに慣れてきます。
すると自然に、日本語でワンクッション置かずに、 全く知らなかった海外ドラマなどをいきなり英語で見られる ようになります。それが、この第3段階です。
僕がこの段階に到達したのはここ7、8年ほどのことで、比較的、最近です。Netflix、HuluやYouTubeなどを活用して、「娯楽」として面白そうなドラマや動画を見ています。日本のテレビを見る代わりに、英語の動画を見ているような状況です。
これは、 多読多聴が生活に完全に組み込まれている 状態ですね。この状態であれば、 1年や2年、英語の「お勉強」をしなくても、英語力が落ちることはありません 。
ちなみに 、海外ドラマの話をすると、よく、「字幕なしで見ているのですか?」と聞かれます。僕は、海外ドラマを見るときは今でも「英語字幕」を出すことが多いです。英語字幕なしで挑戦することもありますが、そんなときも 「聞き取りが苦しいな」と思ったら、 すぐに 英語字幕を出す ようにしています。なぜかYouTubeの動画は聞き取りやすいものが多いので、字幕なしで見ることの方が多いですね。
できる段階から今すぐ多読多聴を始めよう
さて、いきなり第3段階から多読多聴を始められる人はあまりいないと思います。第3段階ができるのなら、その人はすでにTOEIC満点レベル、英語上級レベルでしょう。
まずは、英語の教材を英語だけのものに切り替えてみたり(第1段階)、日本語でワンクッション置いて作品を楽しんでみる(第2段階)ことをおすすめします。
日本語を使わずに英語の「お勉強」をする第1段階は、「理解できているのかな」という不安を多少感じることもあるかもしれませんが、意外に楽しい側面もあります。また、第2段階は そもそも 「好きな作品」を繰り返し見る だけなので、確実に楽しいものです。
多読多聴は、「お勉強」よりも「娯楽」に近いものですから、ぜひ楽しんで取り組んでください。多読多聴が生活に組み込まれて習慣化し、 第3段階になるころには、英語上級レベル に足を踏み入れているはずですよ!
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加藤草平(Jet Bull、猛牛)
TOEIC YouTuber。TOEIC対策動画を配信する「猛牛ちゃんねる」でYouTuberとして活動中。YouTuberになる前はフリーランスTOEIC講師。TOEIC満点は通算60回以上 取得 、最高で40回連続満点を 取得 したこともある。書籍 『TOEIC(R) L&Rテスト プライム模試400問』 (アルク)を監修するなど、TOEIC教材の制作にも携わっている。
「猛牛ちゃんねる」: https://www.youtube.com/channel/UCv8HudXBy1Hyd-R2v1jqTvg
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