ヒアリングマラソン受講生が1カ月で挑む! スピーキング力アップの旅

「1000時間ヒアリングマラソン」受講生が、短期集中トレーニングでスピーキング力アップを目指した1カ月のドキュメント。専属コーチは同講座の「スピーキング魂」コーナーを担当する冨田三穂先生です。さあ、結果はいかに?実力測定には、自宅で気軽に受けられるスピーキングテスト「 VERSANT Speaking Test 」を活用しました。

プロフィール

■スピーキング力アップに挑戦した人

磯野綾さん
高校英語教師。生徒の語学研修先の現地校と英語でやりとりしたり、学校のALT(外国語指導助手)と英語で打ち合わせをしたりするとき、もっと不自由なく話せるようになりたいと考え、スピーキング力アップを決意。「 1000時間ヒアリングマラソン 」受講生。

■スピーキングコーチ

冨田三穂先生
上智大学講師。慶應義塾大学文学部卒業。上智大学大学院言語科学研究科博士前期課程修了(専攻:言語学)。研究対象は、主に日本人英語学習者のスピーキング技能発達過程について。英検1級、TOEIC L&R990点満点、TOEIC S&W400点満点。スピーキング指導15年。著書に『 TOEICRスピーキングテスト究極のゼミ 』(アルク)他。「1000時間ヒアリングマラソン」の「スピーキング魂」担当コーチを務める。

初めて受けたVERSANTスコアは43点

高校で英語教師をしているので、仕事でネイティブスピーカーと話したりすることが少なくないのですが、「もっと緊張せずにスムーズに話せるようになりたい」と思い、1カ月間、冨田コーチにみっちり鍛えていただくことを決めました。

1カ月後の実力測定としてVERSANT Speaking Testを受験するということで、過去のVERSANTスコアを冨田コーチに 提出し、スタート時の実力分析をしていただきました。

VERSANTを初めて受けた際のスコアシート

初めて受けたときは、問題に答えられずに引っかかったところから軽くパニックになり、気持ちの切り替えができずに終わってしまって「できなかった」という印象だけが残りました。スコアは43点。当時はスコアの持つ意味がよくわかっておらず「80点満点で43点?」とショックでした。

日本人の平均は38点と知って、英語教師でありながら平均を5点しか超えていないことにさらにショックを受けました(VERSANTでの1点の重さを知らなかったこともあるのですが)。

「ビフォーテスト」でスタート地点の英語力をしっかり分析

週に1回、オンラインで冨田コーチによるカウンセリングを受けた

詳細な実力分析のため、初回カウンセリングで、冨田コーチが準備してくれたVERSANT形式の「ビフォーテスト」を受けました。その結果がこちらです。

ビフォーテストの結果(スタート時の実力測定)

基礎力はOK

スピーキングのベースとなる英語の基礎力には問題がないようです。ただ、 話すための素地はあるのにそれがうまく発揮できていない という状況に思われます。

リスニング処理能力が足かせ

現在の構文知識や語彙知識であれば難なく解答できるはずのPART B、C、D、E(構文力や語彙力に紐づく)で、 リスニング処理能力が足かせ となり「聞けなかった」「聞けたが頭に残らなかった」という状況を招き、多くの失点をしています。

発音には伸びしろあり

子音、母音、強勢が、日本語の癖に引っ張られてしまっている ようなので、弱点を見つけて伸ばしていきましょう。

流暢さは練習で要改善

VERSANTで流暢さは「回答までの時間、スピーキングの速度、言いよどみの有無」で採点されていますが、多くの回答で不自然な間や詰まりによる減点が見られます。 流暢さや発音は癖であることも多いので、練習で改善 していきましょう。また、焦りがあると流暢さが下がります。落ち着いて堂々と話すことも大切です。

1カ月の学習プランを組んでもらう

「英語らしい流れのある読み方が苦手」という自覚がありましたが、冨田コーチにしっかり弱点を指摘された形になりました。そして、弱点を克服するために提案してもらった1カ月の学習プランがこちらです。かなりのボリュームです。

スピーキング力アップのための1カ月学習プランby 冨田コーチ

タスク1:音練習

目的 :リスニング力アップ、発音矯正、構文知識の自動化

素材 :TOEIC LR Part 3, 4対策素材、英検準1級のリスニング対策素材など

やり方

音声とスクリプトを用意して、以下を順番に練習する。

  1. リピーティング(見本音声の発音を完全にまねて、音、リズムなどすべて見本の音で上塗りする!)

  2. 音読(音のヘルプなしで見本音声と同じ音を再現する!)

  3. リード&ルックアップ(リズムに気を付けて!一定のリズムを崩さないように!)

  4. リプロダクション(見本音声とそっくりに!発話時には意味処理も忘れずに!)

  5. オーバーラッピング(流暢さを意識して!)

  6. シャドーイング(暗記したものを出すのではなく、聞こえたものをリピート。同時に意味処理も!)

タスク2:ストーリーリテリング

目的 :流暢さ、発音、構文力アップ

素材 :英検3級~準1級のリスニング対策素材など

やり方

見本音声のトークを聞いて、直後に、聞こえた語彙、構文を使い再現する(リテリング)。要約はしない。途中で止まったり不自然なポーズを作らないように注意。自分の音声は録音して振り返る。または、音声認識機能のあるソフトやウェブサイトなどで文字認識されるか確認を行う。スクリプト通りに文字認識されない部分は、見本音声でリピート練習を重ねる。多くのトークで練習をすること。

タスク3:文整序

目的 :流暢さアップ、構文知識の自動化

素材 :TOEIC LR Part 1, 4, 5対策、センター試験対策の空所補充や語句整序問題など

やり方

まずはSVOの位置に注意しながら、短文の音読を繰り返す。音読は意味を理解しながら行うこと。その後、紙に英文を書き出し、1文ごとに切り取る。さらに各文を3つに切り離し、文の構築(VERSANT PART D)の練習をする(3つの順番をバラバラにして音読→すぐに顔を上げ、正しく並べ替えた文を発話)。不自然な間や詰まりを作らないように注意。できるだけ多くの文を用意するとよい。

学習プランに沿って磯野さんが作った計画表。「やったことを可視化したかったことと、サボらないために作りました」

「音練習」で、1週間目にして大きな変化が!

「アドバイス通りにやると本当に伸びるよ!」とのコーチの言葉を信じ、学習プランにかなり忠実に勉強しましたが、始めの1週間はいちばんきつかったです。「音練習」でリピーティングやシャドーイングをするのですが、練習自体は地味ですし、慣れていないのでなかなかうまく言えずイライラすることも多々ありました。

ただ、うまく言えないフレーズを何十回も練習していたら急になんのストレスもなく口から出てきたり、「あ、ネイティブっぽく話せている」と感じられたりと、楽しい瞬間も増えてきました。今までと違う口の使い方をしたためか、口が疲れました。

1週間後のカウンセリングで、冨田コーチがVERSANTのPART D「文の構築」の模擬問題を出題してくれました。すると、これまで苦手だったのに、一つ一つのフレーズが明確に聞こえて、正しい順番に並べ替える制限時間の間、覚えていられるようになっていたのです。音練習すごいなとびっくりしました。冨田コーチには「フレーズや構文を使い慣れて自分のものになってくると、覚えようとしなくても頭に残り、文法の知識を使って順番を考える余裕ができる」と言われました。

音練習をすることでリスニングも上がったと思います。「言えない言葉は聞き取れない、言える言葉は聞き取れる」というのは理屈では分かっていましたが、ここまで音練習をやり込んだことがなかったので、効果を体感したという感じでした。

また、発音チェックのために音声認識機能で正しく認識されるか試していましたが、音練習した後だと、AIが聞き取ってくれる単語が増えていました。

無料の自動字幕生成ツール「 Speech to Text Webcam Overlay 」で音声認識して発音チェック

2週目からは「英語漬け生活」に突入!

2週目から、冨田コーチとも英語のみでやりとりした

1週間、音練習に力を入れたわけですが、例えば2時間練習した後は「あ?疲れた」とテレビを見たりして、日本語の生活をしていました。すると、コーチとのカウンセリングで「英語漬けの生活をしてください」と言われて。2週間目からは、YouTubeのTEDやpodcastのバイリンガルニュースなど、見聞きするものを英語だけにしました。

「普段の自分の動作に英語をつけてみて」とも言われ、例えば立ち上がるときに"I’m going to stand up."とか、飲み物を取るときに"I’ll drink something."と言ったりしていました。「1人英会話もしてみて」と、1人2役で英会話をする練習方法を見せてくれたのがとても面白かったです。これはあまり実行できなかったのですが、「流暢さはこうして伸びるのだな」と感じました。

3週目の中だるみはエンタメ素材で乗り切る

3週目ぐらいから、仕事が忙しくなったこともあり時間があまり取れず、学習が少しマンネリ化してしまいました。コーチに相談すると「堅苦しく考えずに映画を見たりしたらどうですか」と言ってもらって、それからは、海外ドラマを見たり、面白いpodcastの英語番組を聞いたりするなどして、ストイックな練習から少し離れたことで気分転換できました。

1カ月の伸びはいかに?

1カ月間のトレーニングを経て、ついに実力測定がやってきました。冨田コーチによるVERSANT形式の「アフターテスト」を受けた結果がこちらです。

アフターテストの結果(1カ月後の実力測定)

たった1カ月でどこまで伸ばせるかと心配もありましたが、トレーニングを信じて取り組んだ結果、かなりの結果を出すことができました! 特に文の構築は、正答率が30%から65%と倍以上になり、冨田コーチにも「これってすごいこと、素晴らしい」と言っていただくレベルにまで到達できました。

気になるVERSANTのスコアは52点

続いてVERSANTを受けた結果は、52点。過去の受験と比べて、手応えは全く違いました。問題を解きながら「あ、この問題はできた」「この問題はわからなかった」など、自覚できたのです。またPART Cは、聞き取れるようになってみたら、質問自体はとても簡単な内容だったことが判明しました。苦手だったPART Dも落ち着いて回答できました。

1カ月のトレーニング後に受験した結果は52点

生徒にも伝えたい「話さなければ話せるようにならない」

今後は、授業の中に積極的にスモールトークを入れたり、ALTとの授業で私も会話に参加したりしていきたいと思っています。「間違いたくない、だから話したくない」と思っている生徒は多く、私もその気持ちはすごくよくわかります。でも、これまでの経験から「話さなければ話せるようにならない」と実感しているので、それは生徒にも伝えていきたいです。

以前から、CEFR(セファール、語学力のレベルを示す国際標準規格)で、B2 *1 を目指したいという目標があって、VERSANTだと58点に相当します。もう少し頑張れば手が届きそうなところまできたので、冨田コーチから教わった練習はこれからも続け、半年くらいしたらまたVERSANTで実力測定をしてみたいと思っています。

VERSANTのスコアの意味(CEFRとの相関)

※2018ピアソン調べ
※CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)とは、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドライン。

A1からC2まで7分類される

▼いつでもどこでも手軽に受験できるVERSANT。

あなたもスピーキングアップを目指して受験してみませんか。

VERSANT公式ページはこちら

取材・執筆:株式会社 REGION

*1 :B2は「大きな負担を感じさせずに、情報や視点を明確に述べることができる」とされるレベル

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