コンパクトな新書サイズで楽しく読めて、しっかり英語学習の役に立つ本を紹介します。英語初級者はもちろん、仕事で英語を使う人や、英語上級者も必読です!
「日本人が間違う英語」には共通点がある!?
この本の著者であるジェームス・M・バーダマンさんは、アメリカはテネシー州生まれ。日本人に40年以上英語を教えてきた、英語教育の大ベテランです。
そんなバーダマンさんによれば、日本人の英語の間違い表現には共通するパターンがあるとか。ちょっとしたミスはご愛嬌(あいきょう)ですが、ネイティブスピーカーをぎょっとさせたり、不快にさせたりするような間違いは避けたいものです。
本書では、そんな英語表現を150例、クイズ形式で紹介しています。「英語には、まあまあ自信あるのよね」という方も、読んでおいて損はありません!
どんな表現が掲載されているのか、早速見てみましょう。
日本語でも難しい!人に依頼する表現
職場などで「〇〇してもらえませんか?」と頼むのは、日本語でもなかなか難しいですよね。相手の忙しさや、スキル、権限などなど、さまざまな条件を考慮する必要があります。
さて、次の日本語を英語で表現するとき、適切なのはどちらでしょうか?
これを手伝ってくれる?どちらも文法的に間違っているわけではありませんが、マナーにのっとっているのは【A】の表現です。【A】Could you help me do this?
【B】Will you help me do this?
何かを依頼するのは、頼む側にとっても頼まれる側にとっても、ちょっとしたストレスですよね。そんなストレスはできるだけ減らしたいもの。そのために、英語では2段階を踏むのがマナーです。
まず、 可能 かどうか (Can you~? や Could you~? )を尋ねてから、手伝う意欲がある かどうか (Will you~? や Would you~?)を尋ねます 。
ですからまずは、次のように声を掛けるのがベスト。
これを手伝ってくれる?円滑な人間関係のために、こうした気遣いが必要なのは英語でも日本語でも同じ。覚えておいて、ぜひ使ってみてください!Could you help me do this?
要注意!何かをおすすめする表現
このところの外出自粛で、「家で映画やドラマばっかり見ている」という人も多いのでは?面白い作品に出合うとつい人に勧めたくなりますが、そんなときの表現にもちょっとした注意が必要です。
さて、次の日本語に合う英語表現はどちらでしょう?
あの新作映画は見たほうがいいよ。これも、どちらも文法的には正しいのですが、使いたいのは【A】の表現です。【A】You should see the new movie.
【B】You had better see the new movie.
本書によれば、日本人はちょっとしたアドバイスをしようとして had better をよく使うとのこと。しかし、 ネイティブスピーカーにとって had better は「強制的」で「命令している」ように聞こえる表現 なのだそう。きついタイプの上司が部下に対して使うような表現なのです。
これを、自分の上司やクライアントに使ってしまったとしたら・・・。そう思うとぞっとしますね。
一方、日本人にとってはなんとなく強制的な感じがする should ですが(シュッとしてるから?)、こちらの方が、何かを勧めたり、軽くアドバイスをしたりするのに適した表現なのだとか。
使い分けに自信がない人は、とにかく should を使うと覚えてしまった方がいいかもしれません。
さて、正しい英語表現をもう一度復習しておきましょう。
あの新作映画は見たほうがいいよ。
「汚い」にも種類がある!?
3つ目は、人から言われたくない、こんな表現。さて、どちらが正しいでしょう?
ジムの机は汚い。日本語では、「床や壁が汚れている」ことも「物が散らかっている」ことも、同じように「部屋が汚い」と表現しますね。英語では、これらをしっかり区別します。【A】Jim’s desk is always dirty.
【B】Jim’s desk is always messy .
机の上に書類などが散らばっていて「汚い」= messyオフィスの机が dirty な場合もなくはないでしょうが、「いつも」というのは考えにくいですね。妥当な表現としてはこうなります。ほこりや汚れが付いていて「汚い」=dirty
ジムの机は汚い。さらに、「机の上にコーヒーなどがこぼれて汚い」という場合は、また別の表現があります。Jim’s desk is always messy .
(コーヒーやスープ、水など液体が)こぼれて汚れている=sloppyオフィスの机は、 messy でも dirty でも sloppy でも評価が下がりそう。これは日本も海外も共通ですね。次に出社したら、 すぐに 自分の机を掃除したいと思います。
まとめ
日本人が間違いやすい英語表現を、クイズ形式で紹介している本書。2ページで1問という構成になっているので、ちょっとしたスキマ時間に気軽に読んで、役立つ知識を身に付けることができます。もちろん、まとめて読むのもおすすめです。
正しい方の表現をたくさん覚えて、ぜひ使ってみてくださいね。
文:尾野七青子
都内某所で働く初老のOL兼ライター。映画『ダーティーハリー』の主人公の机は dirtyかつ messy ですね、たぶん。
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