「英会話レッスンを受けているのに、英語が話せない」の解決策3つ【同時通訳者が回答】

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「英会話のレッスンを受けているのに、話せるようにならない」です。

相談:英会話学校に通っているのに、英語で言いたいことが言えない

今回のご相談は、「 英会話学校に通っているのに、英語で言いたいことが言えない 」です。

▼「学校で英語を習ったのに、話せるようにならない」の解決法はこちら↓

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▼「ブロークンな英語を話してしまい、相手に通じにくい」の解決法はこちら↓

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最大の要因は「学ぶ姿勢」

今回のご相談の一番の 原因 は、学ぶ姿勢です。英会話のレッスンに参加するときに、 受け身になっていませんか?

受け身でいるというのは、「先生に教えてもらう」という気持ちで学んでいる状態です。受け身でいると、脳への吸収率が下がります。

聞くだけでなく、人に教えれば、学習が定着する

ただ講義を 聞くだけだと、内容をあまり覚えていない 、という経験はありませんか?それよりも、自分で読書した内容の方が頭に残ることもありますし、映像を視聴するなど、ビジュアルや音で触れると、印象に強く残るという人もいます。さらに、実物を見ながら学んだり、他の人と話し合ったりすることによって、学びは深まります。私の経験では、 実際に体験したことと、人に教えた内容が、最も記憶に定着しやすい です。

団体旅行で観光地に行くと、どうやって行ったのかがほとんど記憶に残らないのも、これと同じです。一方で、自分で調べて能動的に探した観光地のことは克明に覚えていませんか?

つまり、 能動的な活動を伴わない受け身の学習は、定着率が低い のです。英会話学校に行っても、ただ聞いているだけではほとんど定着しません。

ところが、クラスで学んだことをすぐ他の人に教えるつもりで吸収すると、途端に定着率が上がるでしょう。さらに実際に誰かに教えれば、ほぼ確実に学習内容を定着させることができます。 英会話学校に通うという同じ行為の結果が、極端に変わってくる のです。

脳は重要な情報だけを長期に記憶する

学習定着率の差は、「重要な情報だと認識されたものが大脳に書き込まれる」という脳の性質によって生まれます。脳は、人の周辺情報を全て認知していると言われていますが、それを全て重要と捉えてしまうと、脳の中で情報のパンクが起きてしまいます。まるで、インターネット上にある全ての情報が、あなたのパソコン(脳)の中に一気に入ってきてしまうのと同じような状況になるわけです。

パソコンでも、パンクしないようにサーチエンジンがあり、キーワードに入れた言葉に最も関連する情報だけが検索結果として表示されますよね。それと同じことが脳内でも起きているのです。

サーチエンジンの検索結果がコンピューターのキャッシュに残るのと同じように、 学んだ情報を人に教えようとして思い出すことによって、サーチエンジンの結果のように、記憶すべきものとして脳内のランキングに上がってくる のです。

そして、それを実際に教えるために準備をすると、データが 整理 されたファイルとしてコンピューターに保存されるのと同じように、学習内容が重要な情報として脳内に保存されるようになります。さらに、実際に 教える行為によって、アウトプット もされますから、重要情報として大脳に完全に書き込まれることになるのです。

先生の話を聞いて返事をするだけでは、話せるようにならない

脳は、人に教えるくらい重要な情報はちゃんと記憶するようになっていますが、ただ聞いている程度の情報はさほど重要ではないと 判断 し、短期記憶にしかなりません。一晩寝るなど、時間の経過とともに忘れてしまうのです。

このようなことから、英会話学校にただ通うだけでは効果は薄く、学ぶ姿勢が重要になってきます。英会話学校で、ただ 先生の言うことを聞いて、先生の質問にイエス、ノーと答えているだけでは、話せるようにはならない のです。

レッスン中に自分が英語で「教え」よう

では、一体どうすれば、英会話学校に通いながら、英語のスピーキング力を上げられるのでしょうか?

答えは、レッスンを受ける前に、 自分が何かを教えるつもりで準備をして、レッスン中に先生に教えてあげればいい のです。教える内容は、別に英語でなくても構いません。例えば、 日本の文化を伝える のでもいいのです。

お盆について教えてあげようと思ったとしましょう。まず、インターネットで「What is obon in Japan?」と検索してみます。そうすると、次のような検索結果が出てきます。

The Obon festival ( also known as Bon festival) is an annual Japanese holiday which commemorates and remembers deceased ancestors. It is believed that their spirits return at this time to visit their relatives. Chochin (paper) lanterns are hung to guide the spirits and Obon dances (bon odori) are performed.

お盆(または盆)とは、年に一度の日本の休みの時期で、亡くなった先祖をしのび、思い出すときです。この時期には先祖の霊が親族の元に戻ってくるとされています。霊を導くために紙製のちょうちんが掲げられ、「盆踊り」というお盆のダンスが行われます。

Japan Rail Pass 」サイトより

次に、この説明を自分なりの言葉にしていくのです。次のような感じでもいいですよね。

The obon festival is a Japanese holiday. We remember our ancestors. Because we believe their sprits come back to us.

お盆(祭り)は、日本の休みの時期です。先祖のことを思います。彼らの霊が戻ってくるとされているからです。

そして、レッスンではそれを実際に伝えてみます。これを毎回準備していけば、 表現力も付きますし、言いたいことが英語で出てくるようになる のです。

言い直してもらった英語表現は即使おう

もう一つ、英会のレッスンで実践をおすすめしたいことがあります。

言いたいことがうまく言えなかったときに、先生が言い直してくれるときがありますよね?よく見掛ける駄目なパターンは、それにイエス、イエスと言うだけで、先生がせっかく教えてくれた正解を聞き流してしまうこと。これでは結局、ただ話を聞いているのと同じになってしまいますから、使える英語表現が脳に定着せず、話す力が伸びません。

先生が自分の発言を言い直してくれたときは、それが一番学ぶべき表現なのですから、 すぐに 口で繰り返して使いましょう 。その場で使うことで、定着率はぐんと上がります。

レッスンを録音して、復習して定着させよう

また、 レッスンはできる限り録音 しておきましょう。

ただ聞いていることで学んだものは、48時間で80パーセント忘れると言われています。しかし、 すぐに 自分で言ってみるなど、その場で復習することで、記憶の定着を96パーセントにまで上げることができるのです。そして、1週間後と1カ月後に復習すると、それまでにまた緩やかに低下していた記憶が90パーセント定着します。

ですから、 録音したものを、48時間後、1週間後、1カ月後のタイミングで聞き 、さらにその内容を誰かに伝えれば、確実にあなたの英語力はアップしていくのです。

教え合うのは、最大の効果を発揮する学習法

私のスクールでも、バディー制度とチーム制度があり、 学習者同士で教え合う ように指導しています。これは、 最大の学習成果をもたらす ためのものです。

さらに、学習者には、私が開発した、 10分で英語の聞き取り力が8倍アップする「リスイン」というメソッド の認定講師になってもらうこともあります。このメソッドは、英語の初心者であっても、リスニングを上級者にも教えられる 仕組み になっています。そのため、認定講師になって人に教えることで、自分の英語力を最も効果的に上げていくことができます。

▼「リスイン」メソッドの詳細はこちら↓

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人に教えることは、最良の学び です。 学びの姿勢を変えるだけで、同じレッスンに通うのでも、成果が大きく変わってくる ことを ご理解 いただければ幸いです。

小熊弥生さんの本

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文:小熊弥生

https://www.sokupera-english.com/opt2/
株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を 取得 。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを 展開 。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish :著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)

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