シャドーイングは英語学習において、高く評価される効果的な手法ですが、具体的にどうやって実践すれば良いのでしょうか。また、シャドーイングを通して「英語で意見を述べる」技術を磨く方法にも触れていきます。『ENGLISH JOURNAL』を使用しながら、その手法とポイントを詳しく解説します。
目次
シャドーイングとは?英語の効果的な学習法
シャドーイング(shadowing)は、英語を聞き、その聞こえてきた内容を少し遅れて同じように繰り返すトレーニングのことを指します。影(shadow)のように元の英文についていくことから、このように呼ばれています。
同時通訳者のためのトレーニングとしても紹介されている、とても有名な方法ですが、一体何がそんなにいいのでしょうか?
答えは簡単、「聞く」と「話す」の2つの力を、同時に鍛えることができるから、おすすめなんです!
英語の「聞く」技術を高める
最初に、シャドーイングは「聞こえた英語を少し遅れて声に出し、再現すること」だと説明しました。正しく再現するためには、「正しく聞き取る」ことが大切です。最終的に何も見ずに再現できることが理想ですが、最初は文字で書かれたスクリプトを見ながらでも構いません。何度も聞いて、まずは聞く力を鍛えましょう。
英語で「話す」技術を鍛える
次に、追いかけるようにして声に出しますが、このときに大切なのが、「なるべく忠実に再現しようとすること」です。発音やリズム、強弱などをしっかりまねしてみましょう。こうすることにより、口が英語を声に出すことに慣れてきます。
実際にシャドーイングを行う方法
シャドーイングをするためには、音声付きの英文素材が必要です。何でも、自分の好きなもので取り組んで大丈夫ですが、最初は話すスピードがあまり速くないものや、シャドーイング用に分量を調整してあるものを選びましょう。
ここでは語学出版社のアルクが発行していた『ENGLISH JOURNAL』で紹介していた音声を基に、シャドーイングの進め方を説明します。
シャドーイングの手順を確認
シャドーイングを進めるための3ステップを確認しましょう。
- 全体を通して聞き、英文スクリプトを見て意味を把握。慣れるために、まずは英文を音読してもOK。難しい場合は、まず音を聞きながら英文を目で追えるか確かめましょう。
- 最初は英文を見ながらで構わないので、聞こえてくる音声から1、2語遅れて、まねて声に出していく。発音やリズム・イントネーションを、できるだけ正確に再現。
- 慣れてきたら、英文を見ずに行う。難しいと感じたら無理をせず、再度、英文を見ながら練習してもOK。
難しいと感じたら、自分がやれる範囲のステップで、何度も取り組んでみてくださいね。
また、少し易しい教材に切り替えてみるのもよいでしょう。
「意見を述べる」技術を磨くシャドーイングの実践
「映画」についての英語表現を学ぼう
EJ2018年10月号のインタビューは、5月に開催されたカンヌ国際映画祭の審査員団の記者会見の様子をお届けします。審査員長の俳優ケイト・ブランシェットをはじめとし、クリステン・スチュアート、映画監督のドゥニ・ヴィルヌーヴとエイヴァ・デュヴァーネイが登場します。
映画界は今、2017年秋以降に勢いを増した「#MeToo」運動に加え、「映画館で上映しない作品を『映画』と呼べるのか」など、さまざまな論争を抱えています。
昨年、カンヌ国際映画祭は「劇場で公開がない映画はコンペティションの対象としない」と発表しましたが、これに対しては今年の審査員の中でも意見が分かれ、デュヴァーネイは“it’s so important that we are inclusive of the different ways in which we participate in film”(映画への関わり方のさまざまな手法を受け入れることがとても重要だ)とした上で、次のように続けています。
Film is a story told by a filmmaker. And the way in which that film’s presented to the audience, uh, I don’t think has bearing on whether or not it is a film, but I look forward to having those debates with my fellow jury members.
映画は監督によって語られる物語です。そしてその映画が観客に公開される方式は、それが映画であるかないかの判別には関係ないと私は思うのですが、ご一緒する審査員の皆さんとそうした議論ができることを楽しみにしています。
今回はここを使ってシャドーイングに取り組んでみましょう。
「何を映画と呼ぶか」はカンヌ国際映画祭が抱える論点のうちの1つですが、デュヴァーネイはここで、映画祭の立場とは異なり「(劇場公開しない作品も)映画である」という意見を述べています。
ENGLISH JOURNALでシャドーイングのポイントを解説している神田外語大学講師の柴原智幸先生は、ここでの話し方について、こうコメントしています。
ポイント
強弱のコントラストが明確な、メリハリの効いた話し方です。意味的に重要ではない箇所(冒頭のis aやby aなど)は、弱く、速く、つなげてサラリと発音するのが、上手にシャドーイングをするコツです。
このように、明確な立場の表明に重要な語は強く、そうでもないところはさらっと、という強弱をつけると、人に意見が届きやすくなります。シャドーイングで何度もまねしてみることで、こういった話し方のコツをつかみましょう。
構成・文:江頭 茉里
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