英語を話すのは「英語圏の人」だけではありません。「ノン・ネイティブ」の多種多様な英語を、世界を旅するように楽しみましょう!今回は、ベトナムの英語をお届けします。生春巻きやフォーなど、ベトナムグルメは日本でも大人気。首都はハノイで、最大の商業都市ホーチミンには、世界中から観光客が訪れます。
目次
今回のスピーカー
- Tram Phamさん(20代/ネイリスト):アメリカ滞在歴 2年
- 聞き取りの難易度(1:易→5:難)… 3
音声を聞いてみよう!
※音声には、インタビュアーの声も含まれています。
※発言されるべき部分で抜けている箇所を( )で、言い間違えている部分で本来の正しい表現を[ ]で、英文中に補足しています。
Q. 出身地について教えてください。
I’m from Vietnam. Uh, I’m from Ho Chi Minh City〔*1〕. My country, uh, is[has] a lot of, uh, beautiful place(s). Uh, post office〔*2〕 in the central city. And, uh, Ben Thanh market〔*3〕.
ベトナムのホーチミン市出身です。私の国には、たくさんの美しい所があります。(有名なのは)市の中心にある郵便局ですね。あと、ベンタイン市場があります。Um, my favorite food in Vietnam is pho〔*4〕. It’s, um, famous food in the world ― noodle(s) and, uh, the beef and soup.
私の好きなベトナム料理はフォーです。世界的に有名な料理で、麺と牛肉とスープ(が入ったもの)ですね。
- 〔*1〕Ho Chi Minh City:ホーチミン市/ベトナム南部に位置する、同国最大の商業都市(旧サイゴン)。
- 〔*2〕post office:郵便局/ホーチミン市にある「中央郵便局」のこと。フランス統治時代の建造物で、パリのオルセー美術館をモデルに造られた。
- 〔*3〕Ben Thanh market:ベンタイン市場/観光客だけでなく地元の人も訪れるホーチミン市最大の市場で、露天商や屋台がひしめく。
- 〔*4〕pho:フォー/ベトナムを代表する麺料理。鶏や牛などからだしをとった透明なスープに平たい米粉の麺が入ったもの。
Q. 時間があるときは何をしますか?
Uh, when I have free time, I, uh, often listen to music. I like to〔*5〕, pop music. Um, I love to, uh, Britney Spear(s).
時間があるときは、よく音楽を聞きます。ポップ音楽が好きで、ブリトニー・スピアーズのファンです。
- 〔*5〕to:※正しくは不要。後出のtoも同様。
Q. 仕事や将来の夢について教えてください。
Yes, I, uh, work, uh, part-time. Uh, I am part-time in a nail shop, at my uncle’s shop, manicurist〔*6〕. It’s, uh, hard. It’s a work hard〔*7〕.
はい、アルバイトをしています。ネイルサロンのアルバイトです。そこは私のおじの店で、(私は)ネイリストです。大変で、ハードな仕事です。Um, I want to become a(n) English teacher, uh, (or) history teacher. Um, if I can, um, move on〔*8〕, I want to, uh, be a master〔*9〕, if I can.
(将来は)英語教師、(もしくは)歴史の先生になりたいです。もし上に進むことができたら、修士号を取りたいんです、可能なら。
- 〔*6〕manicurist:ネイリスト
- 〔*7〕work hard:※正しくは、hard work。
- 〔*8〕move on:先に進む、進歩する
- 〔*9〕master:修士(号)
Q. 英語学習で難しいことはありますか?
I think, uh, the most difficult thing, uh, for me, is, uh, listening and writing. I think, uh, I have to, uh, practice. I have learn [learned], uh, writing a lot. Uh, and I, uh, can improve. Just practice a lot.
私にとって最も難しいことは、リスニングとライティングです。練習しなければならないと思います。ライティングをたくさん勉強して、それで上達することができます。とにかくたくさん練習することですね。I just, tell you some, uh, one advice. Uh, you can try my[to do your] best, uh, in any circumstances.
私からのアドバイスは一つです。全力を尽くすこと。どんな状況にあっても、です。
解説:母語の影響を強く受けた、初級レベルの英語
つなぎのuhという語の多用や、基本的な文法の誤りが散見されたり、practiceやcircumstancesのような長めの語の発音が正確でなかったりと、初級レベルの英語といえます。
tryのようにきちんと発音できているものもあるのですが、全体的に母語に影響された発音の特徴が多く認められます。特に子音では、foodやhardの-dなどにおける語尾子音が脱落することが多く、母音では、marketの-ar- や teacherの-ea-のような長母音が短母音化している点が特徴的です。
これらの特徴が組み合わさった、It’s, uh, hard. It’s a work hard.の部分は特に聞き取りにくく感じます。また、I thinkの think がthingと同じ発音になっている点にも、聞き取りの際には注意が必要です。
【音声解説】里井久輝(さといひさき)
龍谷大学教授。イギリス、リーズ大学大学院修士課程修了。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了、博士(言語文化学)。専門は音声学、言語学、英語教育。著書に『英語で歌おう! スタンダード・ジャズ』『「世界の英語」リスニング』(いずれもアルク)がある。
- 取材:酒巻バレット有里
- 翻訳:吉田章子
- 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2017年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
- 作成:2016年1月14日、更新:2024年8月30日