英語を話すのは「英語圏の人」だけではありません。「ノン・ネイティブ」の多種多様な英語を、世界を旅するように楽しみましょう!今回は、ポーランドの英語をお届けします。ポーランドはヨーロッパの中央に位置する共和国で、首都はワルシャワ。ショパンが生まれた国としても知られています。
目次
今回のスピーカー
- Dorota Petrouさん(30代/学生):イギリス滞在歴 18年
- 聞き取りの難易度(1:易→5:難)… 2
音声を聞いてみよう!
※音声には、インタビュアーの声も含まれています。
※発言されるべき部分で抜けている箇所を( )で、言い間違えている部分で本来の正しい表現を[ ]で、英文中に補足しています。
Q. 出身地について教えてください。
I’m from Poland. I come from (a) city called Krakow〔*1〕, and, it is a beautiful city ― very old. It has a lot of history and lots of nice galleries and museums, and places to eat and drink.
ポーランドのクラクフという街の出身です。美しい街で、とても古い所です。数多くの歴史を持ち、すてきな画廊や美術館がたくさんあって、レストランなども多いです。I really love music, so I (will) tell you about a famous composer〔*2〕 some people might know. His name is Zbigniew Preisner〔*3〕, and he composes film music.
私は音楽が大好きなので、ご存じの人もいると思いますが有名な作曲家についてお話ししますね。彼はズビグニエフ・プレイスネルといって、映画音楽を作曲しています。So, one of the movies he, composed music for, it’s, um, Three Colours〔*4〕. Actually (it) is a threelogy〔*5〕 of the movies. And he composed the music for them, and his music is absolutely beautiful.
そして彼が音楽を担当した映画の一つは、「トリコロール」です。実はこの映画は三部作なのですが、音楽はすべて彼が作りました。この上なく美しい音楽です。
- 〔*1〕Krakow:クラクフ。ポーランド南部の古都。
- 〔*2〕composer:作曲家。後出のcomposeは動詞で「~を作曲する」の意。
- 〔*3〕Zbigniew Preisner:ズビグニエフ・プレイスネル(1955年~)。ポーランドの作曲家で、「トリコロール」三部作などのクシシュトフ・キェシロフスキ監督(1941-1996)の映画音楽で知られる。
- 〔*4〕Three Colours:キェシロフスキ監督の「トリコロール」三部作を指す。colourはイギリス式つづり。アメリカ式ではcolor。
- 〔*5〕threelogy:※正しくはtrilogy(三部作)。
Q. 仕事や学校について教えてください。
At the moment, I’m studying nutritional therapy〔*6〕 in the (8)College of Naturopathic Medicine〔*7〕. So, I’m studying to become a nutritionist, and, um, I’m really enjoying the, um, course.
私は現在、自然療法の専門学校で栄養療法を学んでいます。栄養士になるための勉強をしていて、講義はとても楽しいです。Although it’s a〔*8〕 very hard work. Er, it’s a lot of studying, a lot of writing, reading.
すごく大変ですけどね。勉強することがたくさんあって、大量に書いて大量に読むんです。
- 〔*6〕nutritional therapy:栄養療法。/後出のnutritionistは「栄養士」の意。
- 〔*7〕College of Naturopathic Medicine:イギリス、ロンドンにある自然療法を学ぶ専門学校。
- 〔*8〕a:※正しくは不要。
Q. 好きなことについて教えてください。
Yes, apart from food and collecting cookery books〔*9〕, I love the〔*10〕 music and movies, especially French cinema. And European cinema. Of course, Polish〔*11〕 movies.
はい、食べ物と料理本集めのほかには、音楽と映画が大好きで、特にフランス映画が好きです。ヨーロッパの映画、もちろんポーランドの映画も好きですね。
- 〔*9〕cookery book:料理本。/※イギリス英語。アメリカではcookbook。
- 〔*10〕the:※正しくは不要。
- 〔*11〕Polish:ポーランドの
Q. 英語学習について教えてください。
Although I took A level〔*12〕, in Poland, when I came, I find[found] it, I was terrified to open〔*13〕 my mouth and start talking. So, it took me a while to became[become] quite fluent.
ポーランドでAレベルは取得したのですが、こちらに来たときは口を開いて話し始めるのが怖かったです。流暢に話せるようになるまで、時間がかかりました。So, and I think, I remember after reading a few books in English and socialise〔*14〕 more, and just trying to read papers, just one morning, I woke up and I spoke to my friend, my flatmate〔*15〕, and I was, like, actually, it’s easier, I just realised〔*16〕, it’s more fluent than it used to be.
そして私の記憶では、あれは英語の本を何冊か読み、付き合いを広げて、新聞を読む努力をして、その後のある朝のことでした。朝起きて友人のルームメートに話し掛けたら、ふと前より簡単な気がしました。以前より、英語がすらすら話せるようになっていることに気付いたのです。
- 〔*12〕A level:= General Certificate of Education Advanced Level(一般教育修了上級レベル)。イギリスなどで「大学入学レベル」にあることを示す。
- 〔*13〕be terrified to do:~するのが怖い
- 〔*14〕socialise:付き合う/※イギリス式つづり。アメリカ式ではsocialize。
- 〔*15〕flatmate:同居人/※イギリス英語。アメリカではroommate。
- 〔*16〕realise:※イギリス式つづり。アメリカ式ではrealize。
解説:流暢なイギリス式発音の英語
ヨーロッパではイギリス英語を学ぶことが一般的ですが、Dorotaさんはその発音がしっかり身に付いています。
例えば、city、lot、writingなどのはっきりした/t/の発音、composeの-o-、know の-owなどの発音、composer、Preisnerなどの語尾発音に/r/の音色が入らないこと、Collegeの-o-、after のa-、lot の-o-の発音などは、イギリス式発音の特徴です。
リズムやアクセントも含め全体として流暢で聞き取りやすい話し方ですが、galleriesの-a-がより大きく口を開く/a/で発音されたり、movies、Colours、papers などの語尾が無声音の/s/になるなど、いくつか特徴的な発音も見られますので、注意して聞き取りを行いましょう。
【音声解説】里井久輝(さといひさき)
龍谷大学教授。イギリス、リーズ大学大学院修士課程修了。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了、博士(言語文化学)。専門は音声学、言語学、英語教育。著書に『英語で歌おう! スタンダード・ジャズ』『「世界の英語」リスニング』(いずれもアルク)がある。
- 取材:冨久岡ナヲ
- 翻訳:吉田章子
- 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2018年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
- 作成:2016年1月10日、更新:2024年8月22日
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