今年の英会話のウォーミングアップにおすすめ、楽しく読めて英会話にも強くなれるお得な本の登場です。その名も『なんでやねんを英語で言えますか?』。関西人の関西人による関西人のための英会話本ですが、関東人にも大いにメリットがありそうです。
- 作者: 川合亮平,こいけぐらんじ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/11/24
- メディア: 単行本
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恐るべし、関西人のコミュニケーション力
「関西」「関西人」とひと口に言ってもどこまでの地域を含むかは諸説ありますし、もちろん個人差もあると思います。ただ、関東人からすると「関西の人はよくしゃべる」という印象があるのでは?
私は関東生まれ関東育ちですが、たまに関西方面に行くと、ちょっとした世間話でもちゃんとオチがついたりして、漫才か小話を聞いているような気持ちになります。また、初対面の人や通りすがりの人とでも会話が弾んでいたりしますね。いわゆる「ボケとツッコミ」というのか、会話のテンプレートができているので、それほど親しくない相手とでもスラスラと会話が進むようにお見受けします。
関西人は、総じてコミュニケーション力が高めだといえるのではないでしょうか。
一緒に学ぼう、関西弁と英会話
思えば、私たち日本人が英会話を学ぶのは、海外の人とコミュニケーションを取りたいから。それなら、関西弁と英会話を 同時に 学べば、コミュニケーション力が一気に高まるのでは?
この本の著者、川合亮平さんは、大阪府大阪市で生まれ育った生粋の関西人にして、イギリス英語に堪能なバイリンガル。関西弁と英会話を 同時に 教える先生として最適なのです。
関西弁、この奥深き世界を英訳する
関東人からすると、「声が大きい」「ちょっと怖い」「早口」という印象が強い関西弁ですが、実は意外と(失礼)繊細。ちょっとした語尾の違いでニュアンスが微妙に変化したり、いわゆる「ツッコミ」に見えても相手への配慮が感じられたりします。そのあたりがよくわかるのも本書の魅力です。
例えば関東人でもよく知っている「おおきに」という言葉。意味はもちろん「ありがとう」で、英語にすれば “ Thank you .” ですが、この本では訳として “Thanks a lot.” を取り上げています。
感謝 を表す英語フレーズはいくつかあります。 Thank you .でもよいですが、 「おおきに」に合うのは、 Thank you .よりもカジュアルで、若干意味が強い、Thanks a lot.がピッタリ きます。いかがですか?これを読めば、単に「おおきに=Thanks a lot.」というだけではなく、「おおきに」のニュアンスや、 “ Thank you .” と、 “Thanks a lot.” の違いまでわかりますね。※本書p23より引用
もうひとつ、相手の冗談がつまらないときに使う「さむっ!」は英語では何というのでしょうか。この本では “Hilarious.” をあげています。それも「真顔で( with serious face)」言うのがポイントだとか。
誰かが発言してスベった時に使います。そのままにしておくと変な空気になりますが、「さむっ!」ということで、いくぶん雰囲気がなごみます。そういう意味ではやさしさが感じられるフレーズです。スベッた人に「今スベりましたよ」と冷静に宣告しつつ、決してひとりぼっちにはしない関西弁。優しいですね。職場のエライ人が無邪気にオヤジギャグをくり出してきたときなど、いいタイミングで「さむっ!」を使えば丸く収まりそうです。さて、英訳する際のポイントとしては・・・。※本書p38より引用
直訳するとIt’s cold!ですが、それではこの関西弁が持つ意味が伝わりません。英語でHilarious.(超オモロ~い)という皮肉を真顔で言うことで、「さむっ!」と似たニュアンスを出しましょう。ちなみに 、 “Ha-Ha-Ha.” でも “Very funny.” でもOKですが、どちらも真顔で言うのがポイントだそうです。
実は関東人こそ得をする?
関西人が読めば、楽しめる上に、慣れ親しんだ関西弁にフィットする英会話が学べる本書。しかし、一番この本が役に立つのは、実は関東人かもしれません。
関西部長のコテコテギャグに息をひそめる関東部下、関西義母からの電話や LINE に動悸が止まらない関東嫁など、関西人と仲良くなりたい、仲良くなる必要のある関東人こそ、この本の真価を味わえるはず。
こっそり読んで対処法を練るもよし、ちゃっちゃと降参して「こんな本、見つけたんですよ」と手の内を明かしてしまうもよし。
相手は「アホやな、ほんま。なんぼくらいすんの?(You’re crazy. How much is it?)」とあきれながらも笑ってくれて、二人の関係はずっと良好なものになるのではないでしょうか。ま、知らんけどね~。
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