“Excuse me?”の連発はNG?「僕の声、そんなに小さい?」と思わせる残念なビジネス英語フレーズ

海外ビジネスで百戦錬磨の岡田兵吾さんが、25年の経験から学んだというビジネス英語の「気配り」についてご紹介します。今回は、相手に「僕の声、そんなに小さい?」と思わせてしまう「残念な英語フレーズ」について紹介します。

ChatGPTは英語学習のドラえもん?!

2022年11月にChatGPTという、IT業界を一変させるサービスがローンチされました。Microsoftが、ChatGPTの発展に100億ドル(約1.3兆円)という桁違いの額を投資したことも併せて、世界に衝撃が走りました。

日本のテレビ番組やYouTubeなどの各種メディアでも、ChatGPTがいかに革新的か解説していたので、ChatGPTを活用した、ITの新たな幕開けに心躍らせている方も多いと思います。

ご存じでない方へ簡単に説明すると、ChatGPTとは、文章で質問するとあらゆるテーマについて回答をしてくれる、AIチャットサービスです。今までは英語ネイティブに聞かないと理解しにくかった英単語のニュアンスなども、このツールに質問すれば解答してくれます。あるいは、一から読むと骨が折れるような英語文献の要約もしてくれる優れものです。つまり、英語を学ぶ私たちにとって、ChatGPTとは英語ネイティブのアシスタントのようなものです

AI翻訳が発達する今、英語の勉強は不要となってしまうのか!?

昨今のAI翻訳&デバイスの発展から、仕事で英語を必要としているビジネスパーソンの中には「もう英語は勉強しなくてよいのでは?」と感じている人も多くいるかもしれません。しかし私は、その疑問に対してはNoと言いたいです。なぜなら、AI翻訳の精度が上がっても、ビジネスの現場で英語を活用する際には、顧客先ごとで微妙に異なる案件内容の意味合いのズレを補正し、マネジメントする人の手が必要となるからです。

テレビやYouTubeに出演されている有名な方々が、「英語は必要ない!」と発言されているのは、それ以外のスキルが群を抜いていらっしゃるからです。英語スキル以外で十分稼げるから、そう発言しているだけなので、一般的にみれば英語も使えた方がいいに決まっています。

特にグローバルビジネスとなればスピードが命です。日常のチャットやオンラインミーティングにおいても、即答で確認を取り合う必要があります。いちいち翻訳サイトやデバイスを使っている暇はありません。こう言えば、「英語の勉強は必要」だとご理解いただけたかと思います。

では私たちがAIに負けないため、知っておくべきビジネス英語とはどんなものかと言うと、「相手をおもんぱかり、気持ちをくみ取り、信頼関係を築きながら心を通わせる英語」です。

グローバルビジネスの現場では、機械的にただ英語を話せればいいというシーンはありません。多様性を前提としたコミュニケーションスキルやマネジメントの仕方を学び、さまざまなバックグラウンドを持つ人々との協業の中で実践する必要があるのです。

日本語でも言葉遣いが人となりをあらわす基準となるように、丁寧なビジネス英語を使いこなすことができれば社会的評価につながります。

意外に感じる人もいるかもしれませんが、ビジネス英語では、相手を気遣う言い回しや丁寧な言葉遣いが常に求められます。英語の発音や文法に比べると後回しにしてしまう人も多いですが、相手に失礼のない、非ネイティブとして許容される丁寧な英語をいかに話せるかが、とても大事なことなのです。

たとえ発音が悪かったとしても、ビジネスの現場にふさわしい英語を話すことで、非ネイティブでも信頼され高い評価を得ることができます。また、英語ネイティブであっても組織のリーダーとなるような人であれば、同様に日々「リーダーにふさわしい英語」を勉強していることを忘れてはいけません。

バックグラウンドが異なる外国人のマネジメントをしたり、外国人のプロフェッショナルと仕事をして高い成果を出すには、やはり私たちは学び続ける必要があります。

「僕の声、そんなに小さい?」と思わせる「残念な英語フレーズ」

日本政府はついに、大型連休明けの5月8日、新型コロナを現在の2類相当から5類に移行し、社会経済活動の正常化を目指すことに決めました。

筆者が住むシンガポールでも一足早く、新型コロナウイルス流行の終息を宣言。今月13日から感染症警戒レベルを最も低い「グリーン」に引き下げ、季節性インフルエンザなどと同等の扱いとしました。公共交通機関でのマスク着用義務や入国規制などもついに撤廃し、にぎわいのある日常の回復に向けた大きな一歩を踏み出したのです。

そんなシンガポールでは、外国人訪問者が増え始め、直接対面する機会が増えてきていますが、やはり英語で日々ビジネスをしていると、相手の話すスピードが速過ぎたり、単語が難しかったりして、聞き取れないことは多々あります。

しかしそんなときに忘れてはいけないのは、グローバルなビジネスの現場では、「聞き返すのは失礼かも」とためらっている暇などないということです。「分からないことはその場でどんどん聞き返す」のが、グローバルビジネスの流儀です。「聞き手」が分からないのは、「話し手」がきちんと説明していないからだと捉えるのがグローバルスタンダードです。つまり「話し手」は「聞き手」にわかるように説明する責任があると考えられているので、聞き取れなかったら「聞き手」は「話し手」に遠慮せずに聞き返せばよいのです。

ただ、その場合の聞き方は、失礼にならないよう配慮が必要です。Excuse me? やPardon?とだけ、返答する方も多いのではないでしょうか。実はこれらのフレーズは、相手の声が小さいときに使うことが多い言葉です。そのため、外国人たちに何度もExcuse me? と言ってしまうと、言われた相手は「自分の声って、そんなに小さい?」とイライラしてしまうのです。

ちなみにExcuse me. は、「ちょっとすみません」と人を呼び止めるときや、体が触れそうになって「失礼」と言うときなどにもよく使われるフレーズです。

話が聞き取れずに、聞き返すときは、Would you・・・? を使って、Would you say that again, please?(もう一度言っていただけますか?)と言うと失礼なく聞き返せます。このフレーズは、少し長めの話をされ、よく理解するために相手に言い直してほしいときにも使えます。

会議などで活発に話し合っている中で聞き取れない話が出てきて、スピーディーに聞き返したいというときには、Sorry?と聞くとよいでしょう。sorry は自分に非があるときに使う言葉なので、Excuse me? のように相手を責めるようなニュアンスがなく、 言われた相手も嫌な感じがしません。

他にも、Could you・・・?を使って、Could you say that again?(もう一度言っていただけますか?)や、Could you say that one more time?(もう一度お話しいただけますか?)のように言うこともできます。

プライベートなどで親しい間柄であれば、Would you・・・? やCould you・・・? だとよそよそし過ぎるので、Sorry? やSay again?(もう一度言って)などシンプルに聞くとよいでしょう。

相手の話を聞き逃したときは、そのままにせず、きちんと聞き返し、理解しようとする姿勢を見せましょう。わかったふりをしてやり過ごすのがいちばん不誠実な対応です。

相手の発言がよく分からなかったときに使えるフレーズ

What exactly do you mean by that?
それはつまりどういう意味ですか?

Would you mind repeating that?
もう一度言っていただけますか?

Just to be sure, do you mean that・・・?
念のために確認すると、それは…という意味でしょうか?

Let me check if I understand this correctly.
私が正しく理解しているかどうか確認させてください。

Could you elaborate on that?
詳しく教えていただけますか?

会議などで相手の発言を聞いて、「つまりはどういう意味なのか」と別の言葉で具体的に説明してほしいときには、What exactly do you mean by that?と尋ねるとよいでしょう。

exactlyは「正確に、ちょうど」といった意味ですが、このように疑問文の形で使うと、「つまりは、そもそも…」と具体的に尋ねる意味になります。exactlyは他にも、Exactly.(その通り)や、Not exactly.(ちょっと違います)、I’m not exactly sure.(正確にはわかりません)など、肯定文・否定文ともによく使います。

Just to be sure, do you mean that・・・?は、自分の理解が正しいか確信が持てないときに念押しで確認するためのフレーズです。Just to be sureとクッション言葉を入れることで、「念のため確認する」という姿勢を見せられるので、相手に安心感を与えることもできます。

elaborate on・・・は、「…について詳しく述べる」という意味。相手の言うことが全然分からないというときにも、より多くの情報を聞き出すことができる便利な表現です。

誤解を与えるビジネス英語を使わないよう気を付けようという話でしたが、相手をおもんぱかっていれば、気遣う気持ちは伝わるものです。

しかしながら、ぶしつけな英語はやはり相手に誤解を与えるリスクが高いので、今回紹介した「残念なビジネス英語」を意識しながら、外国人達とのコミュニケーションを大いに楽しんでください。

リモートでも仕事は十分こなせますが、直接会うことで、仕事情報だけではなく、経験・体験を共有できるので、信頼関係を一気に築けるチャンスです。今、世界がにぎわいのある日常の回復に向けて大きく動き始めています。タブー英語である「残念なビジネス英語」を知って頂き、今の英語力を更にスキルアップさせてください。

皆様がニューノーマル時代の新しいグローバルビジネス&コミュニケーションを楽しんで、国内外で益々活躍されることを願っています。

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岡田兵吾
岡田兵吾

Microsoft アジア太平洋地区本部長(リーダーシップチーム メンバー)/ 情報経営イノベーション専門職大学(iU)超客員教授/ オンラインサロン兵吾村塾主宰/ NewsPicks NewSchool講師/ BBTオンライン英会話監修/ ビジネス書著者/ シンガポールドラッカー学会元理事/ エグゼクティブMBA

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