英語の「関係詞」:名詞にいろいろな情報を付け加える、便利な「関係詞」クイズ5問【大竹保幹の英文法パラダイス】

英文法でつまずきがちなポイントや苦手な人が多いところを、現役高校英語教師の大竹保幹さんが優しく解説する連載「英文法パラダイス」。今回は「関係詞」を取り上げます。「whoとwhich、どちらを選ぶべき?」「thatはどんなときに使えばいい?」など、“よく分からないまま”になりがちな疑問を克服しましょう!

パラダイス行き切符を手に入れる問題

学校では新学期が始まり、新しいことを始めようと思ったり、今まで以上に何かを頑張たくなったりと、とにかくやる気に満ちた季節となりました。この記事を読んでくださっているということは、きっとみなさんはしっかりと英文法の勉強をしようと心に決めていることでしょう。その気持ち、とても大切です。

それでは、今回も一緒に英文法の問題に挑戦していきましょう。


【問題】

次の(1) ~ (5) の英文について、正しいかどうかを判断してください。
正しい:〇   間違っている:×  ちょっと怪しい:△

(1)

A:What do you want for your birthday?
B:I want the smartphone that is waterproof.

(2)

Nanami lives in London which has lots of nice pubs.

(3)

The principal’s office is a room where the students are not allowed to enter.

(4)

Naoto was the last student who submitted a graduation thesis.

(5)

This is the book for which I have been looking for!


今回は苦手な人が多い「関係詞」がテーマです。ある名詞について、それがどのようなものなのかを説明する方法は形容詞や不定詞などさまざまありますが、主語と動詞を用いてより詳しい情報を付け加えられる点で、関係詞はとても便利です。

関係詞なんて使わなくても英語は伝わる」なんて言う人もたまにいますが、関係詞は日常的によく使われますし、より高度な内容を伝えるためになくてはならない存在です。

基本的な事柄からちょっと応用したものまで、その使い方を確認していきましょう。


解答と解説

(1)

【答え:△】
A:What do you want for your birthday?
B:I want the smartphone that is waterproof.
   ↓
A:What do you want for your birthday?(誕生日に何が欲しいの?)
B:I want a smartphone that is waterproof.(防水のスマホが欲しいな)

誕生日プレゼントについて聞かれて、普通のスマホではなく「防水機能があるスマホ」が欲しいと言っています。このように、関係代名詞は名詞(ここではsmartphone)についてより具体的な情報を付け加えることができるのでした。機能が指定されている分、候補となるスマホが限定されるので「限定用法」とも言います。 

I can remember all the students who were in my class.
自分のクラスにいた生徒は全員覚えてますよ。

Did you buy the book (that) Haruki Murakami wrote recently?
村上春樹が最近書いた本買った?

関係詞が修飾している名詞を「先行詞」と言いますが、それが人ならwho、物ならwhichといった使い分けをするのでした。ちなみに、thatはどちらの場合でも使えると習った人も多いかと思いますが、日常会話においては人にはwhoを、物にはthatを使うのが一般的です。

ただ、今回問題となっているのは、関係詞というより先行詞の冠詞の使い分けです。上の2つの例文では、どの生徒のことか、村上春樹のどの本のことかが相手にとって特定しやすい状況になっているので先行詞にtheが付けられています。関係詞の例文はこういう理由でtheが使われることが多いのかもしれません。

❖aとthe、「どっちを付ける?」と迷ったら

しかし、だからといって「関係詞を使ったら先行詞にはtheを付けるんだ」と思い込んではいけません。aとtheの使い分けは関係詞で限定されていても、いつもと同じ。「相手にとって『それ』と分かるかどうか」が基準です。

改めて(1)について考えてみます。全ては状況次第なのですが、仮に、自分が欲しいスマホの機種を相手に事前に話しているのであれば、the smartphoneのままで構いません。その場合は、「やっぱりあの防水機能のあるスマホがいいな」という感じですね。ただ、一般的にこういう会話では、財布やカバンやスマホなどプレゼントの種類を口にすることが多いと思うので、a smartphoneの方が自然です。

aとthe使い分けに困ったときは「関係詞の部分がなくても相手に分かるかどうか」で考えてみるのがおすすめですよ。

I want a smartphone.
スマホが欲しいな。

I want the smartphone.
(前に話した)あのスマホが欲しいな。

冠詞は英語のニュアンスの(かなめ)とも言えますから、使い分けにも少しずつ慣れていきましょう。解答ももう一度確認しておいてくださいね。

《解答をおさらい》
【答え:△】
A:What do you want for your birthday?
B:I want the smartphone that is waterproof.
   ↓
A:What do you want for your birthday?(誕生日に何が欲しいの?)
B:I want a smartphone that is waterproof.(防水のスマホが欲しいな)


(2)

【答え:×】
Nanami lives in London which has lots of nice pubs.
   ↓
Nanami lives in London, which has lots of nice pubs.
ナナミはロンドンに住んでいて、そこには素敵なパブがたくさんあります。

ナナミさんの住んでいるLondon(ロンドン)がどんな場所なのかを説明したいので、関係代名詞whichを使うというところまではいいのですが、その使い方にちょっと問題があります。このままでは「素敵なパブがあるロンドン」になってしまうからです。

「素敵なパブがあるロンドン」にはどんな問題があると思いますか? ちょっとひねくれて解釈すると、「じゃあ、『素敵なパブがないロンドン』も存在するの?」という考えが浮かんできそうです。ロンドンはイギリスにある都市ですが、当然世界に一つしかないので、「他にもある」ことになっては困るのです。

まずは、関係詞の限定用法の持つ意味についておさらいしましょう。

I have a brother who is a musician.
私にはミュージシャンをしている兄がいます。 

I have a brother. He is a musician.
私には兄がいまして、ミュージシャンをしています。

どちらも兄(a brother)について情報を付け加えている英文ですが、意味は全く同じでしょうか。――いえ、そんなことはなくしっかりと違いがあります。上の英文は先ほどのひねくれた解釈によって「ミュージシャンではない兄」の存在も匂わせていますが、下の英文だと兄は一人です。I have a brother.で区切りが生まれるため、「私」には兄が一人なのだということが確定するからです。

関係詞の限定用法とは、「たくさんある候補の中から話題にするものを『限定』する」ことなのです。

❖オンリーワンの物事や人を説明したいときの「非限定用法」

ということは、世界に一つしかないようなもの、人物名や都市名などの固有名詞は関係詞で限定してはいけないことになります。「他にもある」が許されないからです。

それでもどうしても説明を加えたい。そんなときのために、関係詞の前に「, (カンマ)」を入れ、文の区切れをあえて意識させる「非限定用法(または非制限用法)」というものがあります。

(○)
Our family went to USJ, which has fascinating attractions.
家族でUSJに行きました。そこには魅力的なアトラクションがたくさんあるんですよ。

(×)
Our family went to USJ which has fascinating attractions.
家族で魅力的なアトラクションがあるUSJに行きました。

カンマがあることで、「『魅力的でないUSJ』も存在する」という解釈をされないようにしています。こうすれば、固有名詞にも補足的に情報を付け加えることができるわけです。

カンマの有無は見た目としてはほんの少しの違いかもしれませんが、意味はずいぶん異なります。会話など文字で書き表すことがないときは、カンマのところで少し呼吸を置くことで意味の区切りを表現するということも覚えておきましょう。

《解答をおさらい》
【答え:×】
Nanami lives in London which has lots of nice pubs.
   ↓
Nanami lives in London, which has lots of nice pubs.
ナナミはロンドンに住んでいて、そこには素敵なパブがたくさんあります。


(3)

【答え:×】
The principal’s office is a room where the students are not allowed to enter.
   ↓
The principal’s office is a room (that) the students are not allowed to enter.
校長室は生徒が立ち入ることが許されていない部屋です。

いちいち注意されなくても「校長室に入ろう」なんて思う生徒はいないわけですが、このように場所に関する説明をするときにも関係詞は活躍しそうです。ただ、先行詞が「場所」を表しているからといってwhereを使えばいいというわけではありませんよ。

❖名刺/副詞句/前置詞句・・・どの代わりか見極める

まずは関係代名詞と関係副詞の違いについて確認をしていきましょう。

Yuri plays the saxophone very well.
ユリはサックスを上手に吹きます。

Yuri is a girl [who plays the saxophone very well].
ユリは [サックスを上手に吹く女の子] です。

whoやwhichなどの関係代名詞はその名の通り、「名詞」の代わりをします。上の例文ではYuriが主語ですが、その代わりとなるように下の例文ではwhoが [  ] 内で主語の役割を担っていますよね。

Yuri lives in a tower apartment.
ユリはタワマンに住んでいます。

That is a tower apartment [where Yuri lives].
あれは [ユリが住んでいるタワマン] です。

一方で、whereやwhenなどの関係副詞と呼ばれるものは、「副詞句」や「前置詞句」の代わりをすることになります。この例文ではin a tower mansionという前置詞句をwhereで置き換えていると考えてみましょう。それが場所に関する情報だからwhereを使っているわけです。

では、ここで(3)の元となる英文を想像してみます。

The students are not allowed to enter the principal’s room.
生徒は校長室に入ることは許可されていない。

enterは「~に入る」という意味の動詞なので、go into ~(~に入る)などと違って特に前置詞は必要ありません。そのため、今回関係詞が代わりを担うのはthe principal’s roomという名詞だけ。だから関係代名詞のwhichやthatで置き換えなくてはいけないのです。

関係詞は何の代わりをしているかによって形の選択を求められますが、動詞の使い方など他の文法をよく知らないとその判断が難しくなります。自動詞や他動詞の区別をこつこつと覚えることはここにもつながっているのですよ。

《解答をおさらい》
【答え:×】
The principal’s office is a room where the students are not allowed to enter.
   ↓
The principal’s office is a room (that) the students are not allowed to enter.
校長室は生徒が立ち入ることが許されていない部屋です。


(4)

【答え:○】
Naoto was the last student who submitted a graduation thesis.
ナオトが卒業論文を最後に提出した学生でした。

ナオトくんはなんとか卒論を提出することができたようです。もしかしたら、彼の友人たちは卒論の提出場所で肝を冷やしながらずっと待っていたのかもしれません。

❖「first/last/onlyがあるからthatだ!」の前に要確認

冗談はさておき、問題となっている英文をよく見てみましょう。特に深く考えなければ、何がひっかけだったのか分かりにくいかもしれません。しかし、実はこれは“英語を勉強しすぎると関係代名詞をthatにしたくなってしまう英文”なのです。

the first、the last、the onlyなど最上級的な意味合いを持つ語句が先行詞に付いているとき、関係代名詞はthatの使用が優先されるという規則があります。

Humans are the only animals that talk.
人間は話をする唯一の動物だ。

先行詞animalsは人ではないので、通常であればwhichかthatのどちらかを使用することができますが、この例文ではthe only(唯一の)という特別な意味合いが込められているためthatを使うことになります。うーん、なかなか上級者向けの使い分けですね。

ただ、先行詞が「人」のときはこの通りにはならず、whoを使うのが一般的なんです。thatについての細かい規則ではありますが、実際には通常の関係詞の使い方と大して変わりがありません。難しく考えるのはやめにしましょう。


(5)

【答え:×】
This is the book for which I have been looking!
   ↓
This is the book (that) I have been looking for!
これが私がずっと探して求めていた本です!

こんなふうに言ってくれたら著者としては本望ですよね。本を書くって素敵な仕事です。

ここで使われているlook for ~(~を探す、探し求める)はいわゆる動詞の熟語ですが、同じように前置詞とセットで使われる表現は関係詞を使うときに気にしなければいけないことがあります。それは、前置詞をどこに置くかです。

次の例文を参考に考えていきましょう。

My father worked at the company.
父はその会社で働いていました。

My father retired from the company [which he had worked at for 40 years].
父は40年間勤めていた会社を退職しました。

みなさんご存知のように、どこで働いていたか場所を表すときにはat(~で)という前置詞を使います。下の英文で関係代名詞whichが代わりをしているのはthe companyという名詞だけなので、atは [  ] の中に残ったままです。

英文としてはこのままでもいいのですが、少し口語的な感じが出てしまうため、書き言葉ではatを関係詞の前に出すことがあります。

My father retired from the company [at which he had worked for 40 years].
父は40年間勤めていた会社を退職しました。

何だかスッキリと整理された印象ですね。このように [  ] 内に中途半端に残った前置詞は関係詞の前に移動してまとめてもいいというルールがあるのです。

❖「前置詞+関係詞」でスッキリ、ができないケース

ところがこのルールはちょっと厄介で、動詞と前置詞を組み合わせた「群動詞」と呼ばれる熟語のときは、前置詞を動詞から離してはいけません。それだけ熟語は仲良しなので互いのそばにいたいのだ、と考えると分かりやすいかもしれません。

Please tell us the new ideas (that) you came up with.
君が思いついた新しいアイデアを僕たちに教えておくれよ。

他にもput up with ~(~を我慢する)、make use of ~(~を利用する)など例を挙げればきりがありません。前置詞などとの組み合わせによって、本来の動詞の意味とは違う意味に変わっているときには群動詞だと考えるようにしましょう。

ちなみに、どちらか迷ったときは前置詞をそのまま後ろに残しておくのがおすすめです。文体の違いこそあるものの、残していて悪いということはありませんからね。

では、最後にもう一度、答えを振り返っておきましょう。

《解答をおさらい》
【答え:×】
This is the book for which I have been looking!
   ↓
This is the book (that) I have been looking for!
これが私がずっと探して求めていた本です!


まとめ

「関係詞が苦手だ」と言う人は結構いますが、その難しさは関係詞の規則というより、実は動詞の使い方にあります。つまり、ある動詞が自動詞なのか他動詞なのか、どの前置詞と一緒に使われるのかが分かってはじめて適切な関係詞を選択することができるということです。

関係詞を使わなくても説明できることはあるかもしれませんが、使えたほうがより大人な印象を与えるのは間違いありません。それこそ私たちが目指すべきゴールですよね。


大竹保幹
大竹保幹

明治大学文学部文学科卒業。神奈川県立多摩高等学校教諭。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。著書に『子どもに聞かれて困らない英文法のキソ』『まんがでわかる「have」の本』(いずれもアルク)『APPLAUSE LOGIC AND EXPRESSION Ⅰ~Ⅲ』(開隆堂出版)など。


大竹保幹さんの本

『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』では、「仮定法」をはじめとする、子どもが抱きそうな疑問・質問に対して、ある程度答えられるように英文法の基礎を学ぶことができます。英語を学ぶ面白さに触れられる雑学的な小話も随所にあり、楽しみながら英文法を復習できます。

●画素材:from canva

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