英会話は直訳をやめるとうまくいく!― 「脱・直訳」のコツ①「SVOで考える」

なぜ、英語で言いたいことがパッと言えないのでしょうか?その大きな原因の一つは、日本語に合わせようとするから。日本語をそのまま英語にしようとする、つまり「直訳」しようとすると、うまくいかないことが多いのです。では、どうすればいいのでしょう?

たとえば、ネイティブスピーカーの友達と買い物について会話しているときに、「買い物はいつも銀座だよ」と英語で伝えられますか?

買い物はいつも銀座です。

とっさに聞かれて慌てて、「Shopping is Ginza.かな?」とか「いやいや、場所の前置詞を入れてShopping is in Ginza.かも?」などと考えた人もいるでしょう。

日本の英語学習者は「~は」が出てくると、「~」が主語だと思って反射的にis/areを使ってしまいがちですね。しかし、isはそもそも「~は」じゃなくて「~です」の意味です。そして、「~は」は主語とは限りません。

この場合も「買い物」は主語ではありません。自然な答えは以下です。

I go shopping in Ginza.

SVO思考のメリット

日本語の「~は」に惑わされないようにするためのいちばんのコツは、SVOで考えることです。

今回は、英語の最も基礎的な構文「SVO」を見ていきましょう。

S(主語)+ V(動詞)+ O(目的語)

という語順のことです。

私が英語を学ぶ。

なら、S(主語)はI、V(動詞)はlearn、O(目的語)はEnglishですね。

I    learn English.
主語 動詞 目的語
~が    ~を

英語には日本語のように「~が」という単語も「~を」という単語も存在しません。英語では、それらの意味を位置で表すのです。したがって、単語を正しい位置に入れることがとっても大事になります。

  • 動詞の左側なら「~が」→ これが主語です。
  • 動詞の右側なら「~を」→ これが目的語です。

これが英語の基本形です。英語はこの並び順を間違えるとおかしなことになります。仮に、English learn I.としてしまうと「英語は私を学んでいる」ことになってしまいます。

一方、日本語には「が」も「を」もあるので、位置が変わっても意味は変わりません。

  • 私が英語を学んでいる
  • 英語を私が学んでいる
  • 学んでいる、英語を、私が

このように、多少不自然かもしれないけれど、日本語は順番が変わっても同じ意味として通じますよね。この日英の違いが、日本人にとって英語を難しくしている原因であり、日本語から英語に「直訳」をしてはいけない最大の理由です。

「は」は主語とは限らない!

実は、さっきから「私は英語を」じゃなくて「私が英語を」と言っているのには訳があります。

「は」は「主語」になったり「目的語」になったり、またはどっちでもなかったりします。「は=主語」と考えることが、数えきれないほどの間違いの原因になっているのです。

たとえば、「トイレはこの部屋を出て左です」を、

× The toilet leaves this room.
(トイレがこの部屋を出ていく)

したら大変!

こんな間違いは、SVO(主語→動詞→目的語)で考えるようにすると避けられます。

では、

ラーメンは食べたけど、餃子は食べなかった。

は何と言うでしょう?SVOで考えてみてください。

I ate ramen. But I didn’t eat gyoza.

「ラーメンは」「餃子は」となってますが、「ramen」と「gyoza」は主語ではなく、目的語ですよね。

「は=主語」と考えた場合

× Ramen ate but gyoza didn’t eat.
(Ramenさんが何かを食べた、Gyozaさんが何も食べなかった)

になっちゃいます。Gyozaさんはダイエット中?また、「は」が主語でも目語でもない場合もよくあります。「火曜日はラーメンを食べます」は、

× Tuesday eats ramen.(火曜日がラーメンを食べる)

……なわけありませんよね。ここもSVOで考えれば、日本語に惑わされません。正解

I eat ramen on Tuesdays.
(火曜日に私がラーメンを食べる)

「は」を「が」に置き換えてみる

日本語に惑わされないようにするコツの一つとして、日本語から訳すときに「は」を「が」に置き換えると間違えを防げるというものがあります。

上の文でも、「火曜日がラーメンを食べる」としてみれば、Tuesdayが主語でないのはすぐにわかります。

ただ、理想は、日本語から直訳せずに、英語の基本のフレームワークである「SVO」に単語を当てはめて最初から英語で考えることです。

誰が(S)→どうする(V)→何を(O)

のように考えるようにしましょう。

SV(目的語がない文)やSVOO(目的語が2つある文)はどうするのかって?そういったことにこだわるのも、英語を難しくする原因です。目的語がなくても2つあってもいいじゃないですか。

まずは、どんな場合でも、SVOで考えるようにすると、主語と動詞が決まって、日本語に惑わされなくなります。このコツを使うだけでも、あなたの英会話がイッキに楽になるはずです。

SVOで考える練習

次の日本語を英語にしてください。

コツ:SVOで考える。「は」を「が」に変えてみる。

練習問題

  1. メールは書きました。
  2. 冬はスキーに行けるね。
  3. 試合の後半は見た。
  4. 夕飯は私が作っている。

答え

  1. I wrote the mail.
  2. We can go skiing in winter.
  3. I saw the second half of the game.
  4. I make dinner.
ニック・ウィリアムソン(Nic Williamson)
ニック・ウィリアムソン(Nic Williamson)

英会話教室「ニック式英会話」主催。同名のYouTubeチャンネルは登録者数が52万人を超え、人気を博している。英語講師歴は20年超。

オーストラリア・シドニー出身。シドニー大学で心理学を専攻。同大学で3年間日本文学を学び、日本文化にも精通。在学中にオーストラリアの日本大使館主催の全豪日本語弁論大会で優勝。日本の文部科学省の奨学金を得て、東京学芸大学に研究生として1年半在学した。在学中にアルバイトで、英会話スクールで英語を教え始め、卒業後も人気講師として勤める。その後、自身の英会話教室を開設し、企業向けの英語研修や大学での講義、SKYPerfect TVの番組の司会やラジオDJ、数々の雑誌記事や十数冊の英語本の執筆など、活動は多岐にわたる。日本語を完璧に習得した経験と、大学で先行していた神経心理学の知見をもとに、効果的・効率的な独自の言語習得法を開発。著書に『たった30パターンで英会話!「言いたいことが出てこない」をスッキリ解消』『中学レベルの英単語でネイティブとペラペラ話せる本』(以上、ダイヤモンド社)『見るだけで英語ペラペラになるA4一枚英語勉強法』『話せる英文法』(以上、SBクリエイティブ)など多数。

ニック式英会話YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@nicwilliamson

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