成句だと思い込むと解けない!asの用法を問う問題【難問クイズで学ぶ文法知識⑦】

Twitterで話題になった北村一真さん作成の英語クイズで文法知識&読解力を高める本連載。第7回は提示された英文の中に登場するasと同じ用法のasを選択する問題です。

クイズ

下の英文を読んでクイズに答えましょう。

As the plant springs from and could not be without the seed, so every one of our acts springs from the hidden seeds of thought and could not have appeared without them. This applies equally to those acts called spontaneous and unpremeditated as to those that are deliberately executed.

―James Allen: As a Man Thinketh

文脈:イギリスの作家ジェームズ・アレンの代表作、As a Man Thinkethの冒頭近くからの抜粋です。本書は自己啓発書の原点とも言われており、初版の出版から100年以上経った現在でも世界中で読まれ続けている作品です。

以下の(1)~(4)のasのうち、下線部のasと同じ意味で用いられているものは?

(1) As the leader of the group, he addressed the issue firmly.
(2) As we get older, our eyesight gradually deteriorates.
(3) Writing a compelling novel can be as difficult as painting a masterpiece.
(4) いずれの例とも異なる。

単語・語句

as A, so B:Aと同様にB
spontaneous:無意識の、自発的な
unpremeditated:無計画の、前もって考えられていない
deliberately:計画的に、意図的に
execute:実行する、遂行する

ヒント

並列関係になっている語句に目を向けよう。

つまずきポイント

as toという形になっているからといって、about「・・・に関して」を意味する前置詞的な表現だと思い込んでしまうと正解にたどりつけません。

第1文

第1文はasが従える副詞節から始まります。それがコンマ(,)の前まで続き、その後に、every one of our acts (S) springs (V)…という主節が登場する形となっています。as節と呼応するsoの存在から、as…の意味が「・・・と同様に」であることもすぐに読み解けますね。人の行為が全て思考に端を発していて、それがなければ生じ得ないことを、植物のたとえを使って説明しています。

第2文

第2文の冒頭のThisが第1文の内容を受けていることは言うまでもないでしょう。構造としては、このThisを主語とし、apply to…「・・・に当てはまる」という動詞句が述語として続く形となっています。ここで、applyとtoの間に挿入されているequally「同様に」という副詞を見落としてはいけません。「同様に」と言うからには「何と」同様なのかが説明されなければいけませんが、それに当たる情報はここより前には出てきていません。となると、その情報は後から出てくるはずということになります。この点を念頭に置いて先を読み進めれば、後ろにtoが従える2つの類似した前置詞句があることに気づき、問題の下線部のasがそれを並列させるような形になっていることが分かるのではないでしょうか。

to those acts called spontaneous and unpremeditated
as
to those that are deliberately executed

となると、先に見ていたequally「同様に」というのは、この2つのtoがしたがえる前置詞句に対して言及したもので、equally…executedの部分の解釈は:

those that are deliberately executed「計画的に行われた行為」に対してと同様に、those acts called spontaneous and unpremeditated「無意識で計画的でない行為」に対しても

といった意味になるのではないかと考えることができます。よって、下線部のasをあえて日本語で説明するなら「何と同様か」の基準を示す際の「と」のような役割ということになります。

では、選択肢の中でこれと最も近いものはどれでしょうか。(1)は「・・・として」を意味する前置詞なので違いますね。(2)も「・・・するにつれて」という接続詞でやはり異なる用法です。(3)はどうでしょうか。ここで、as…as~ の原級比較の構造をas…as~ 構文としてしか認識していない人は候補から省いてしまうかもしれません。しかし、実際はこの表現はそれぞれのasが異なる文法的役割、意味を持っています。前のasは「同様に、同じように」を意味する副詞であり、後ろのasはその「同様に」というのを何と比べて言っているのか、比較の基準を示す「…と」という意味の接続詞(ただし、省略の結果、前置詞のように見えることもある)です。

as difficult
同じくらい難しい

→何と?

as painting a masterpiece
名画を描くの(が難しいの)

この成り立ちを理解している人であれば、今回の問題文のequally … as~の形がまさにこれと同タイプの構造になっていることに気づくのは難しくないでしょう。

applies equally to those acts called spontaneous and unpremeditated
無意識で計画的でない行為に対しても同様に当てはまる

→何と?

as to those that are deliberately executed
計画的に行われた行為に対して(当てはまるの)

したがって、問題文の下線部のasと同じ意味のものを選択肢から選ぶなら(3)ということになります。

ひょっとすると、 as toという形になっていることから、この部分をaboutを意味する成句だと思い込んで、(4)を選んでしまった人もいるかもしれません。しかし、前から自然に読み、equally「同様に」という言葉が出てきた時点で「何と?」と考える思考回路ができていれば、ここをas toというカタマリで読む発想自体がそもそも出てこないはずです。

解答と訳例

正解 (3)

訳例

植物が種から生まれ、それなしでは存在しえないのと同じように、私たちの行為の一つひとつも目に見えない思考の種から生まれるもので、それがなければ生じえなかったものである。このことは計画的に行われる行為と同様に、無意識で計画的でないとされる行為にも当てはまる。

前回までのクイズはこちらから

難問クイズで文法知識と読解力を高める!

英語上級者になるための第一関門!

Twitterで話題を呼んだ英文法と英文解釈に関するクイズを書籍化。クイズ形式なので謎解きのように楽しめて、詳細な解説で上級者の視点が身に付きます。大学受験レベルの英文法を勉強してきた人が、見落としていた文法事項や用法に気付くことができるでしょう。難文に挑戦したい人向けの新感覚の学習書です。

北村一真(きたむら・かずま)
北村一真(きたむら・かずま)

1982年生まれ。慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。学部生、大学院生時代に関西の大学受験塾、隆盛ゼミナールで難関大受験対策の英語講座を担当。滋賀大学、順天堂大学の非常勤講師を経て、2009年に杏林大学外国語学部助教に就任。2015年より同大学准教授。著書に『英文解体新書』(研究社)、『英語の読み方』(中公新書)、『知識と文脈で深める 上級英単語ロゴフィリア』(共著、アスク出版)、『ジャパンタイムズ社説集2022』(解説執筆、ジャパンタイムズ出版)、『英文読解を極める 「上級者の思考」を手に入れる5つのステップ』(NHK出版新書)など。Twitter:@Kazuma_Kitamura

SERIES連載

2024 02
NEW BOOK
おすすめ新刊
ITエンジニア本大賞2024受賞!チームを動かすIT英語実践マニュアル
詳しく見る
メルマガ登録