海外就職は当たり前に?外国人と働ける人材にならなきゃいけないたったひとつの理由

「グローバル就職」と聞くと、超大手外資系企業への就職のことを想像してしまい、選択肢の外に置いてしまう日本人は未だ少なくありません。しかし今や、「グローバル就職」は一部のエリートや英語が堪能な帰国子女にしか開かれていない可能性ではありません。あなたの可能性を広げてくれる海外就職の現在地を探ります。

「日本がヤバイ」!最大の原因は少子化

近年、まことしやかに語られている「日本がヤバイ」という言説。確かに現在の日本は、給料は上がらないのに健康保険の金額は上がり、手取りが減っているにもかかわらず物価は上がっているという状況です。

これにはたくさんの理由がありますが、長期的に見て最大の理由は、人口減少です。日本の人口は2010年にピークを迎えてから、日々減少しています。1億2800万人だった人口は、今の大学生(2000年前後生まれ)が65歳になる2065年には、8135万人になるという試算があります。日本の人口の1/3がいなくなるわけです。

少子化社会対策白書

わかりやすく言うと、北海道と東北と北陸と中国と四国と九州と沖縄に住んでいる人が、まるっといなくなってしまうのと大体同じです。2065年の日本人の人口は、現在の関東と関西と中部を足した人口とほぼ一緒になるわけですね。

さらに、2022年の出生数は81万人となり、減少数は試算を超えています。またコロナ禍で婚姻数は戦後最低となっており、少子化が今後さらに加速していくことが濃厚です。

人口が減ることのビジネス的な問題点

ビジネスをやっている人にとっては当たり前ですが、顧客が減ると売上は下がります。 例えば、店の前を歩いている人の数が半分になると、売上も半分強まで下がるのが普通です。

これと同じようなことが、日本国内全体で起こると考えてみてください。 例えば、教育業界大手のベネッセの決算発表をみると、少子化の影響もあってか「こどもちゃれんじ」の会員数はすでに減少傾向にあります。 この影響はこれから、小学生向け、中学生向け、高校生向け、大学生向けビジネスと、だんだん多くのビジネスにも広がっていくはずです。

なお、65歳以上の人口は当面増えていくので、高齢者向けのビジネスは、しばらくそれなりに安定しています。(ちなみに、ベネッセは高齢者介護のビジネスもやっています)

このような状況下で、これから働きはじめる学生や、今働いている若手の日本人はどうすればいいでしょうか?日本に居住している人を相手にする会社で働くのであれば、

1. 高齢者を対象としたビジネスに従事する

2. 高齢者以外を対象としたビジネスで頑張る

のどちらかになります。

高齢者を相手にするビジネスであれば、普通に仕事をしていれば売上は伸びていくので、給料も伸びていく可能性が高いです。これを、「上りエスカレーター状態」と呼びます。

高齢者以外を対象としたビジネスであれば、普通に仕事をしていたら売上は下がっていきます。毎年、お客さんの数が減っていくからです。そして、売上が下がれば利益も下がり、給料も下がる可能性が高いです。これを、「下りエスカレータ状態」と呼びます。

「下りエスカレータ状態」で売上を維持するためには、シェアを伸ばすか、より利益率の高いビジネスを見つけるかしなくてはなりません。

要するに、普通にやっていたらだんだん下がっていく。現状維持するためには階段を登り続けなきゃいけない。上に行くには、全力でダッシュしなくてはならないわけです。

多くの人が「上りエスカレーター」に乗りたがっていると思いますが、これが日本国内には高齢者をターゲットにしたビジネスくらいしかないのが現状です。医師や看護士といった資格取得が人気なのは、多くの人が「上りエスカレーター」に乗りたいと考えているからです。

NYと東京の飲食業を比較してみると?

ただ、この話は「日本国内で、日本人相手に働く」場合に限ったものです。もう少し視野を広げて「外国で、外国人相手に働く」ということを考えてみましょう。

日本では、低賃金・過剰労働の巣窟となっている飲食業。海外でもその傾向はありますが、日本の飲食業はその価格が安すぎることで有名です。

例えば、大衆食堂である大戸屋のニューヨーク店では「チキン母さん煮」は$26です。2022年6月現在、1ドル=130円なので、3380円。さらにここにチップ(20%)が加わるので4000円を超えます。ちなみに、日本のチキン母さん煮は859円です。同じメニューが4倍以上の値段なのです。

当然、働く人の給料も高くなっており、ニューヨークの最低時給は15ドル(1950円)ですが、実際は20-25ドル(2600円~3250円)でないと人が集まらないようです。さらに、週40時間を越えた労働(いわゆる「残業」)は時給が1.5倍になるので、3900円~4875円。飲食店の店員が、時給5000円近く稼げるという状態になっています。もちろん、その分生活費も高くなっているので、ニューヨークの飲食店員が必ずしも裕福なわけではありません。

しかし、こうやって売上がどんどん上がっていく世界もたくさんあるのです。このような、「上りエスカレーター」の世界を相手にして稼ぐ方法を考えてみましょう。

海外の恩恵をうける3つのビジネス

海外といっても、先進国と途上国で大きく分かれます。ニューヨークのように既に発展していて、物価や給料が高い国と、東南アジアのようにまだ物価は安いけどどんどん上がっていて、どんどん発展している国。それぞれの国で働く方法をパターン別で考えてみましょう。

日本国内に住んで海外のビジネスに携わる

「海外で働く」と考えると、まず「日本国外に住む」ということを考えがちです。 しかし、今の世の中、日本国内にいても海外のビジネスに携わることは可能です。 例えば、私は、日産自動車に勤めていたことがあります。日産自動車って、日本の会社だと思っている人が多いと思いますが、株主的にはフランス・ルノーが筆頭株主なのでフランスの会社です。そして、日産自動車の自動車販売台数の約9割が海外なんです。

統計データ

日本のオフィスには日本人がたくさん勤めているし、会社名も漢字なので日本の会社だとおもいきや、売上のほとんどは海外なんです。 つまり、日産の売上の9割は日本以外の国の経済成長に依存するので、ぶっちゃけ日本がどうなろうと日産の売上には大きな影響はないのです。

私は、主に本厚木のグローバルITセンターで、グローバル物流管理システムの設計の仕事をしていたのですが、仕事相手の6割は外国人でした。 世界13カ国のスタッフと(2006年に!)オンラインで会議をしながら、物流システムの仕様書を作っていくのです。

日産自動車に務めて、神奈川件本厚木に出勤していたわけですが、海外で売るモノを作るための仕組みを、外国人と一緒に作っていたのです。このように、日本在住でも先進国・途上国のビジネスに携わることはできるのです。

途上国に住んで途上国のビジネスに携わる

私は今、カンボジアと日本の会社を経営しており、カンボジアと日本の二拠点生活をしています。カンボジアに住んでいると、現地では、たくさんの日本人が働いている事がわかります。大きく分けると、日本企業に勤めていて会社の辞令でカンボジアに来ている「駐在員」と、自分で仕事を見つけて自分で渡航し、働いている「現地採用」に分かれます。今まさに発展している途上国で日本人が働くチャンスは予想以上にたくさんあります。

先進国に住んで先進国のビジネスに携わる

2022年現在、アメリカや欧州のビザをとることは非常に難しいです。 それは、世界中に欧米で働きたい人がいて、特に中国やインドの優秀な人材と席の取り合いになるからです。

なので、先進国に住んで働くのは非常に高いスキルが必要なのですが、私が新卒で入った会社の同期の1割はアメリカで働いてます。 なぜか?それは、アメリカ企業の日本支社で働いていたからです。この外資系企業から本社転籍というのは、先進国就職の有効な方法です。

本連載ではこれから、海外で働く方法をさらに詳しく解説していきます。

次回は、日本国内に住みながら先進国や途上国のビジネスに携わる方法をお伝えします。 既に働いているビジネスパーソンの方にも、これから就職する学生や就活生の方にも、参考になるお話なのでぜひ楽しみにしていてくださいね。

第2回は2022年6月29日(水)公開予定!

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