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学校で習った日本文学の有名な書き出し!英語で作品名いくつわかる?

学校の教科書などで一度は目にしたことがある日本文学の「あの名文」。英訳された文章を読んで作品名を考えてみましょう。

英訳された日本文学の名文

学校の教科書や本屋さんで一度は目にしたことがある有名な日本文学の「あの名文」。実は英訳されて世界中の人に読まれている作品も少なくありません。英訳された文章の冒頭部分を読んで、元の作品がなにかを当てるクイズに挑戦しましょう!あなたは何問正解できますか?

Q.1

The train came out of the long tunnel into the snow country *1 .
ヒント :日本初のノーベル文学賞作家の代表作です。

Q.2

Mine has been a life of much shame *2 .
ヒント :この作品の執筆後、作者は玉川上水へ入水自殺してしまいます。

Q.3

Because of hereditary recklessness, I have been playing always a losing game since my childhood *3 .
ヒント :四国・愛媛県松山市の道後温泉が舞台です。

Q.4

Evening, and a lowly servant sat beneath the Rashomon, waiting for the rain to end *4 .
ヒント :古典『今昔物語集』内の作品がベースにある物語です。

Q.5

“Mr. Shizuka Kanai is a philosopher by profession *5 .”
ヒント :発表当時は発売禁止処分を受けるなど波紋を広げました。

答えと解説

Q.1の答え:『雪国』

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
『雪国』はノーベル文学賞作家の川端康成の中編小説で中期の作品です。越後湯沢の温泉町を舞台に、主人公と芸者の不毛な愛の形を、少女のピュアでひたむきな生と対照させた『雪国』は、川端文学を代表する名作です。海外においても非常に高い評価を得ており、アメリカの日本文学研究者であるエドワード・G・サイデンステッカーの訳業が、ノーベル文学賞受賞に寄与したと言われています。

冒頭の一文は、主人公が汽車に乗っていることを「汽車」という単語を用いずに表現することができる日本語に対して、英語では“train”という主語が明示されることに注目してみると、言語によるニュアンスの違いが感じられて面白いですね。

Q.2の答え:『人間失格』

恥の多い生涯を送って来ました。
『人間失格』は、太宰治による中編小説で代表作の1つです。社会に調和できず、廃人 同様に 生きる男の手記を通して、太宰が自分の内面を吐露した小説とされています。自身の体験が基になった小説であり、完結した作品としては太宰の遺作。脱稿の1か月後、山崎富栄と玉川上水で入水自殺しています。

コロンビア大学名誉教授のドナルド・キーンによる英訳は、“Mine”から始まっているのが特徴的ですね。“mine”は「私のもの」を意味する代名詞で、ここでは“my life”の意味で使われています。そうすることで、印象的なこの書き出しの一文が持つリズムを、英語に取り入れることができているのではないでしょうか。また、“ No Longer Human”という英題は原題とはまた異なる魅力を醸し出している気がして面白いです。

Q.3の答え:『坊っちゃん』

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
『坊っちゃん』は、1906年『ホトトギス』に発表された夏目漱石の短編小説です。正義感の強い江戸っ子の主人公「坊っちゃん」が、赴任先の四国松山の中学で、生徒たちのいたずらや教師間の内紛に巻き込まれながらも、痛快な活躍をするストーリー。歯切れのよい文体で最も親しみやすい漱石作品の一つとされており、現代でも多くの読者を集めています。

「親譲りの」の訳語として選択されている“hereditary”は、容姿や性格などを受け継ぐ場合の「遺伝」から、財産や地位などを受け継ぐ場合の「世襲」まで、幅広い意味で使用できる単語です。例えば、“hereditary cancer”であれば「遺伝性がん」、“hereditary authority ”であれば「世襲権力」という意味になります。ラテン語で「継承者」や「後継者」を意味する“heres”が語源で、「遺産」の意味を持つ“ heritage ”と同根の言葉です。

Q.4の答え:『羅生門』

ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
『羅生門』は、古典『今昔物語集』内のお話を原典にして創作された芥川龍之介の小説です。平安末期、荒れ果てた羅生門に上って寝ようとした下人が、生きるために盗人になる決意をするという物語を通して、状況次第では悪をも選択するエゴイズムと、それを肯定せざるを得ない人間の心を描きました。心理ドラマが高い完成度で示される、近代短編小説を代表する一編です。翻訳者のJay Rubinはハーバード大学名誉教授で、村上春樹の作品の英訳者としても知られています。

また同じく芥川の短編小説「藪の中」を原作とした黒澤明監督の映画作品『羅生門』も、三船敏郎、京マチ子、森雅之などが出演し、今でも世界的中の映画ファンに愛されています。

Q.5の答え:『ヰタ・セクスアリス』

金井湛君は哲学が職業である。
『ヰタ・セクスアリス』は森鷗外の小説で、題名はラテン語で「性生活」を意味する“vita sexualis”からとられています。主人公の哲学者・金井湛が、高等学校を卒業する長男への性教育のための資料として、幼年期から青年期に至る自身の性欲を自叙形式で描くといった内容で、当時はその大胆な性欲描写が問題となり発禁となりました。

科学者的で淡々とした文体で描かれる自伝体小説『ヰタ・セクスアリス』は、東大医学部卒業後に陸軍軍医として働いていた経歴を持つ鴎外のバックグラウンドを感じさせます。冒頭の一文も、辞書の定義のように非常にシンプルな構造で、英訳でもその文体が保たれているようです。

原典を読んだことある人もない人も、日本文学を英語で読んでみると新鮮な感覚を味わえるかもしれません。また既に内容をよく知っている日本文学の作品なら、英語でも簡単に読めるかも?ぜひ洋書にもチャレンジしてみてください!

こちらの記事もおすすめ!

*1 :Yasunari Kawabata, Edward G. Seidensticker, Snow Country, Charles E. Tuttle, 1957.

*2 :Osamu Dazai, Donald Keene, Snow Country, New Directions, 1973.

*3 :Natsume Soseki, J. Cohn, Botchan, Penguin Classics,2013

*4 :Ryunosuke Akutagawa, Jay Rubin, Rashomon and Seventeen Other Stories, Penguin Classics,2013

*5 :Ogai Mori, Sanford Goldstein, Kazuji Ninomiya, Vita Sexualis: A Novel , Tuttle Publishing , 2011.

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ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部 「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌『ENGLISH JOURNAL』が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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