映画やドラマは生きた英語の宝庫。おすすめ映画・ドラマから、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回一つ紹介します!今回は映画『アイ・オリジンズ』から、rememberを使わずに「思い出せない」と言うときの表現です。
今日のおすすめ表現
I can’t place it.「思い出す」と言おうとすると、どうしてもrememberを使ってしまいがち・・・という人はわりと多いのではないでしょうか?今回は、 place を使って「思い出せない」という意味になるフレーズをご紹介します。
rememberとは少し違ったニュアンスですが、この言い方をモノにして、表現力を広げてくださいね!
表現の出どころ
今回も 前回 の続きで、少し変わったサイエンス・フィクション(SF)、『アイ・オリジンズ』(原題:I Origins)からの表現です。この映画は、サンダンス映画祭の、科学や技術を扱った作品に贈られる「アルフレッド・P・スローン賞」を2014年に受賞しています。
主人公のイアン・グレイ(マイケル・ピット)は、瞳の研究をしています。宗教よりも科学を信じるイアンは、神の存在を否定するために、進化論を証明したいと考えており、瞳を研究することでそれが実現できると確信しているのです。
この映画は、イアンが抱く瞳への強い思いを中心に 展開する のですが、 同時に 、かつて一緒に研究していた学友のケニー(スティーブン・ユァン)が就職した企業で行っている、虹彩を使って個人を特定する虹彩認証が、物語の鍵にもなります。
映画の中で、インドでは虹彩などを含めた生体認証用のデータを、12桁の番号と紐づけるプログラムが行われている・・・と説明されます。これは実際にインドで2009年に導入された国民IDシステムで、「Aadhaar(アドハー)」と呼ばれています。強制ではなく任意だそうですが、2020年2月の時点で、生体認証用のデータと12桁の番号が紐づけられた「Aadhaarカード」は、国民の90%以上に発行されたそうです。
表現の使い方
かつて一緒に瞳を研究していたイアンと、カレン(ブリット・マーリング)、ケニーが食事をしています。そこにウエートレスがやって来て、飲み物の追加がないか聞いてきます。
体調が悪そうに目頭を押さえたイアンに向かって、ケニーは 心配 そうに「You all right ?」(大丈夫か?)と聞きます。
ちなみに これはもちろん、「Are you all right ?」の「Are」を省略した言い方です。
イアンは、こう答えます。
Yeah, it‘s just a smell, I can‘t place it. あぁ、ただこの匂い、思い出せないんだ。place を動詞として使う場合、「置く」「配置する」という意味が真っ 先に 出てくるのではないでしょうか?
でもここでイアンが言っているI can’t place it.は、どこかで嗅いだ記憶はあるけれど、どこで嗅いだのか、なんの匂いだったか思い出せない、という意味です。
もちろん匂いに限らず、見たり聞いたりする記憶 に関して も使えます。確かに見覚え、聞き覚えはあるのに、その記憶がなんなのか思い出せない、というときにI can’t place itというフレーズが使えます。
place を辞書で引いてみると、「見分ける」「思い出す」などの意味が載っていますよ。
まとめ
place は、「何かを配置する」、「置く」という意味のほかに、「認識する」、「思い出す」という意味があります。
「思い出す」という意味で place を使う場合、自分の経験に照らし合わせて言っているニュアンスが含まれます。脳の中にあるはずのその記憶の置き場所が見つけられない・・・とイメージすると、わかりやすいかもしれませんね!?
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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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