映画やドラマは生きた英語の宝庫。おすすめ映画・ドラマから、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回一つ紹介します!今回はドラマ「LUCIFER/ルシファー」から、「好かれて当然」という意味の英語フレーズをご紹介します。
今日のおすすめ表現
What’s not to like?好かない理由なんてどこにもないじゃん!という全面的に好意を意味する表現ですが、少しひねった言い方のフレーズを今回は取り上げます。
表現の出どころ
前回 に続き、今回も悪魔のルシファー・モーニングスター(トム・エリス)が主人公のドラマ「LUCIFER/ルシファー」(原題:LUCIFER)からです。
こんな感じで登場人物が個性的なのですが、それと当時に、とにかく美形な人ばかりなのもこのドラマの見どころです(笑)。
ルシファーが地獄から地上にやってきて暮らしているのは、ロサンゼルス。ロサンゼルスをアルファベットで書くとLos Angelesですよね。もともとはスペイン語で「天使たち」という意味があり、英語でも「City of Angels」(天使の都市)というニックネームが付けられています。ドラマの舞台としてロサンゼルスが選ばれたのも、そんなところに理由があるのかもしれません。
ルシファーは悪魔(the Devil)ですが、キリスト教で悪魔は、堕落した天使、つまり堕天使(fallen angel)とされています。天使は神によって作られたものであることから、ドラマの中でルシファーは神様のことを「dad」(親父)と呼んでいます。
キリスト教や聖書の知識があるとより一層、ドラマの理解が深まるかもしれませんが、なくても十分楽しめますよ。これを きっかけ に聖書に関する知識を増やすのもいいかもしれませんね。
ドラマ自体は、キリスト教の教えを説くものではまったくなく、シリーズの後半になっていくと、ルシファーなど登場人物のせりふを通じて制作者の人生哲学なんかも垣間見えるおもしろさもあります。
表現の使い方
このドラマのもう1人の主人公、ロサンゼルス市警の刑事クロエ(ローレン・ジャーマン)は、捜査中、一人娘のトリクシー(スカーレット・エステベス)が通う小学校に呼び出されて向かうことになります。車には、前の現場で身柄を拘束しようとしつつ、捜査に 協力 することになったルシファーも乗っています。
トリクシーの学校で、トリクシーとルシファーは初めて会います。子どもが大嫌いなルシファーですが、頭が切れておてんばなトリクシーのことは気に入ったようです。
一方のトリクシーも、自分をいじめた女の子にやり返してくれたルシファーのことを大好きになったようで、別れ際に「Bye Lucifer, it was nice meeting you」(バイバイ、ルシファー。会えてうれしかった)と手を振って去っていきます。
そんな娘を見たクロエはルシファーに向かい、「I think she likes you.」(あの子、あんたを気に入ったみたい)と言います。
そこでルシファーはこう言います。
Of course she does. What’s not to like? もちろんだよ。 嫌う理由なんかないじゃないか 。文章はクエスチョンマークが付いており疑問形ですが、ここでは答えを求めているわけではありません。「嫌う理由はない」つまりは「好かれて当然」と断定した意味になっています。
まとめ
今回は、そのまま訳すと「好かない理由は何?」という意味のWhat’s not to like?を取り上げました。前述のとおり、好かない理由を聞いているかのような疑問形ですが、本当に意味するところは、「好いて当然」ということです。
このフレーズのように、答えを求めていないのに疑問形になっている文章は、「rhetorical question」(修辞疑問文)と呼ばれます。
ポイントを強調したり、相手の関心を引いたりなどの効果があるため、演説や文章などでもよく使われます(もちろん、ルシファーのせりふにあるように、日常会話でも使われます)。
What’s not to like?と言われたら、相手は答えを求めているわけではないので、好かない理由を一生懸命考えて相手に答える必要はありませんので注意しましょう!
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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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