いつになっても悩ましいのが、「私の発音はきれいなの?」ということ。通じればいい!とは思うものの、やっぱりきれいな発音で英語を話したい――。そんな方のために、今回は鬼門ともいえるLとRのスペシャルトレーニングをご用意しました。しっかり鍛えて、英語の発音で周囲に感動の嵐を巻き起こしましょう。
目次
朗読で口周りの筋肉を鍛えましょう
美しい英語を話す日本人といえば小林克也さん――1980年代に人気だった音楽番組『ベストヒットUSA』などを通じて、そう信じていた方も多いのではないでしょうか。
そんな小林さんが出演した『English - My Way』というビデオ教材がありました。教材の狙いは、口の周りの筋肉を鍛えて英語の発音を上達させること。そのため、小林さんのドアップ映像がほとんどで、時に笑いをこらえながらのトレーニングとなるわけですが、それが大変面白く、当時、周りで英語の勉強をしている人に薦めまくっていました。
その中で紹介されていたトレーニングの一つに、「さまざまな読み方でナンセンスな英文を声に出し、口の周りの筋肉を鍛える」というものがありました。ささやき声で読む、部屋の反対側にいる人に聞こえるように読む、1語ずつ強調して読む、息継ぎなしに一息で読む、などなど。当時の記憶がいまだに鮮明で、実はそのアイデアを拝借して作ったのが、本記事で紹介するLとRのストーリーです。
朗読トレーニングアドバイス
日常生活でLとRを聞くのは会話や文章の中がほとんどです。2つの音をたっぷり含んだナンセンスな文章を聞いて読んで、英語の発声をブラッシュアップしましょう。
トレーニングの前に、放送通訳者・映像翻訳者で、英語発音トレーニングのエキスパート柴原智幸さんから頂いた、朗読トレーニングへの取り組み方に関するアドバイスを紹介します。
なぜそう読まれるかを理解しましょう
単語や1文ぐらいの長さであればきちんと発音できるようになっても、会話や文章になると、途端に発音のレベルが数段階逆戻りしてしまうことがよくあります。これは、会話の流れや文章の内容など、気を配ることが増えるからです。
単に「お手本のコピー」だけでは応用が利きません。どう読むかを自分なりに考えて、それをお手本と聞き比べてみましょう。違う場合は理由を考えてみると、応用力が付き、朗読力全体を引き上げられます。
お手本の朗読が唯一の「正解」というわけではありません。「なぜそう読まれたのか」がわかれば、「自分にはこういう意図があるので、こう読む」ということもできるようになります。
次の[準備編][実践編]で提案している内容を参考にして、文章の朗読に取り組んでみてください。
こんなトレーニングをしてみましょう
LとRの3編の文章を朗読する前の「準備編」、朗読トレーニング中の「実践編」。それぞれの項目に取り組んでみましょう。
[準備編]
1.知らない単語の意味や発音を調べる
2.意味的に重要だと思う単語やフレーズをチェックする
3.意味的にひとかたまりで読むべきフレーズをチェックする
4.チェックしていない部分の音がどう変化(つながる、脱落するなど)するか考える
5.息継ぎをする場所、間を置く場所などを考える
[実践編]
1.舌が回らないところをチェックして練習する
2.「準備編」でチェックした部分を、膝や机をたたきながら大げさに強調して読む
3.文章の内容を頭に思い浮かべながら読む
4.「誰に」「どのような状況で」聞かせているかを想定しながら読む
5.誰かに聞いてもらいながら(または録音しながら)読む
6.息継ぎをせずに一息で読む(音声変化がきちんとできているかを確認)
7.ささやき声で読む(強弱のメリハリがきちんと付けられているかを確認)
朗読1:「L」の物語
We left late in the morning to lower breakfast into an oleander patch, and my lucky aunt Lettie left her wig in the leaf litter. So, all of the locals levied a tax on lavender file folders and told us to leave the poor lipstick alone unless we wanted the lake to collect a lot of lentils. Then Larry loaded his lips with pilfered appliances and lifted his hallowed lemons into the light. The larks just laughed as we let the filly flee across the lampshade. She liked the filigree ladle I had loaned her.
私たちは朝遅く家を出て、朝食をオレアンダーの茂みまで運んだ。運がいい私の叔母レティーは、かつらを落ち葉の中に忘れた。そこで地元の人たちみんなはラベンダー色の書類挟みにかかる税金を徴収し、湖にレンズ豆をたくさん集めてもらいたくないなら、かわいそうな口紅に手を出さないようにと私たちに言った。そのときラリーは、くすねた歯科矯正器具を口に装着し、神聖なレモンを光にかざした。私たちがメスの子馬をランプのかさの向こうに逃がすとき、ヒバリが笑った。彼女は私が貸した金線細工のひしゃくが好きだ。
朗読2:「R」の物語
Right before the rest of the royalty arrived, Richard wrote to arrange a marriage in the rumpus room of a rental cottage. But the runt of the litter refused to ride along and ran into the reeds where a reindeer rested. “Who are you?” read the reindeer from a script it had written, but there was no reply from the river or the rotting barrels of rainwater. So, Ruby drove into the road with a terrible screech of rubber and a rumpled shirt, hoping to arrive before the uproar of the revels resumed.
残りの王族がやって来る直前にリチャードは手紙を書き、貸別荘の娯楽室での縁談を 手配した。しかしいちばん小さいやつが一緒に乗っていくのを嫌だと言い、トナカイが休むアシの茂みに駆け込んだ。「君は誰だ?」トナカイは書かれた台本を読み上げたが、川からも雨水の入ったボロボロのたるからも返事はなかった。そこでルビーは車を走らせ、タイヤのゴムとしわくちゃのシャツがこすれる不快で甲高い音を立てて道に入り、どんちゃん騒ぎの騒音が再び始まる前に到着した。
朗読3:「L」と「R」の物語
He read the lemon paper in a loose manner that resembled the love of his life, a round little raven that liked licking the rice from leftover banana leaves. He said he required two links to be repaired, but the load they lifted rode to the left, and all the rattles clattered onto the road. I laughed because I couldn’t recall the last time I’d reacted with such horror to a lily or a lime, but Reginald was terrified of roses and left to rake the leaves.
彼は、生涯の恋人、残り物のバナナの葉に残った米をなめるのが好きな丸々としたかわいいカラスに似た、レモン色の紙をくつろいだ様子で読み上げた。彼はカフスボタンを2つ直さなければと言ったが、彼らが載せた積み荷は左側に寄り、ガタガタという音はすべて道に響き渡った。私は笑った。というのも、ユリの花やライムの実に身震いするような反応をしたのは、いつが最後だったか思い出せなかったからだ。しかし、レジナルドはバラをひどく怖がり、落ち葉を集めに出掛けて行った。
上手に朗読できましたか?お疲れさまでした!
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※ 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年2月号に掲載した記事を再編集したものです。
文・構成:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)
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