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あなたの英語力は高い。まずはこの絶対的事実を認識しよう

日本語ほぐし法

イングリッシュ・ドクター(英語学習のお医者さん)こと西澤ロイさん。連載「英語で自在に表現するための日本語ほぐし法」(全3回)では、英語を使わない英会話トレーニング法を使って、あなたの英語学習を妨げている「英語病」を徹底治療します!

「私は英語が話せない」はただの誤解だった

あなたは「自分は英語が話せない」「私は英語ができない」と思ってしまっていませんか?

あとで詳しく述べますが、実はそれは大きな誤解――。日本人英語学習者の多くは、この誤解のために「ボタンの掛け違い」をしてしまっているのです。

「英語が話せない」と思い違いをすると、まずその原因を探してしまいます。そうすると、例えば「ボキャブラリー不足」や「英文法がよくわからない」、「発音がよくないから伝わらない」などと、さまざまな事柄が思い当たります。そして、そういった足りなく思えるスキルを埋める(高める)ための学習をしてしまうのです。

しかしそもそも、英語の日常会話で使われる単語の8割を占めるのが、わずか1,000単語程度の中学英語です(これは言語学的なデータです)。ですから、ボキャブラリー不足原因で英語がしゃべれない日本人は、大人であればほとんどいません。

また、日本人は「正しい英語」を話そうとして、(細かい)文法にこだわってしまいがちです。しかし、お世辞にも正しいとは言えない下手な英語で堂々と話している外国人は、世界にたくさんいます。

発音に関しても、発音以前に声が小さくて相手によく聞こえていないだけの人も少なくないため、大きな声で話す方が重要です。「日本人は発音が悪い」といった情報を真に受けてしまう人もいますが、そもそもどこの国の人であっても、きちんと習わない限り、英語の発音はよくないものであり、お互いさまなのです。

日本人は「ちゃんとした英語」で「正しく話そう」と考える人が多いのですが、そういう考え方をしてしまうことが、英語が話せなくなる(より正確に表現するならば「自分で話せなくしてしまう」)原因だと言えます。少しくらい泥臭くたって、単語を並べればカタコトでコミュニケーションは取れるのです。

「英語を使わない英会話トレーニング」とは?

私がイングリッシュ・ドクターとしてオススメするのが、「英語を使わない英会話トレーニング」です。新しい英単語や会話表現などを覚えたり、英文法を学んだりするような、英語力を高めることは一切行ないません。

だから英語を使わない英会話トレーニングなのです。

このトレーニングは、3つのステップで行なっていきます。今回は「STEP 1」をお伝えしていきますが、まずはその準備運動から始めてみましょう。

例えば、英語で「名乗ること」は誰でもできるでしょう。

例:I am ○○. / My name is ○○.

「住んでいる場所」を表現したり、

例:I live in ○○.

「年齢」を言ったり、

例:I am ○○ years old.

「好きなスポーツ」を伝えたり。

例:I like baseball/soccer/basketball.

こういったことは、(細かいところがあやふやだったり、自信がなかったりするかもしれませんが)英語で誰でも表現できるのです。

つまり、日本人には既に、ある程度の英語の素養があります。「英語を話すのに十分な、最低限の力が既に備わっている」と認識することから始めるべきなのです。

大切なのは、新たに英単語や会話表現を覚える(増やす)ことではなく、既に持っている英語力をきちんと発揮できるようにすること――。

そのように「考え方」を切り替えていただくことで、英語学習のやり方も、そして成果も、大きく変わっていくのです。

英語の語順で、日本語を考えよう

日本人が英語を話そうとしたときに、最初につまずくポイントが、語順の違いです。そのためSTEP 1のトレーニングとしてオススメなのが、「大げさに日本語を話すこと(大げさトーク)」です。

「大げさ」というのは、例えば以下のような話し方です。

私、食べたんです

このように言われたら、相手は「いったいどんなすごいものを食べたのだろう・・・?」と気になってしまうのではないでしょうか。

次に、食べたものを言います。

ハンバーガーを

ここで、相手は「なんだ、ハンバーガーか」と拍子抜けするかもしれません。ですが実は、この日本語は、英語と全く同じ語順になっているのです。

I ate a hamburger.

そう、英語は「主語(S)+動詞(V)」から話し始める言語です。それに対して日本語では、動詞が出てくるのは最後。そのため、日本語アタマのままで英語を話そうとすると、動詞がうまく思い浮かばず、スムーズに話せなくなる人が多いのです。

しかし日本語の語順を英語の語順に近づけて、大げさに話そうとするだけで、英語がずっとラクに話せるようになります。

もう少し長い文を例にしますと、「私は昨日、新宿でハンバーガーを食べました」というのが通常の日本語の語順でしょう。しかしこれを、「主語(S)+動詞(V)」から始めることで、大げさに話してみてください。

そうすると、「何を?」「どこで?」「いつ?」のような自然と疑問が出てきますので、それに順番に答えていきます。

私、食べました。
 ↓(何を?)
ハンバーガーを
 ↓(どこで?)
新宿で
 ↓(いつ?)
昨日

同じことを英語で言ってみましょう。

I ate
 ↓(何を?)
a hamburger
 ↓(どこで?)
in Shinjuku
 ↓(いつ?)
yesterday.

このように、日本語を大げさに話そうとするだけで、

I ate a hamburger in Shinjuku yesterday.

という英語が出やすくなるのです。

練習問題に挑戦してみよう

それでは、2問ほど練習問題を出しますので、ぜひ日本語を大げさに言ってみてください。

1.  私は先週、友達と北海道へ行きました。

2.  私は今日、渋谷で、ジョンのためのプレゼントを買いました。

余力があれば、ぜひ英語にも変換してみてくださいね。

それでは模範解答を発表します。

1問目

私、行きました
 ↓(どこへ?)
北海道へ
 ↓(誰と?)
友達と
 ↓(いつ?)
先週

 

I went
 ↓(どこへ?)
to Hokkaido
 ↓(誰と?)
with my friends
 ↓(いつ?)
last week. 

2問目

私、買いました
 ↓(何を?)
プレゼントを
 ↓(どんな?/誰のための?)
ジョンのための
 ↓(どこで?)
渋谷で
 ↓(いつ?)
今日

 

I bought
 ↓(何を?)
a present
 ↓(どんな?/誰のための?)
for John
 ↓(どこで?)
in Shibuya
 ↓(いつ?)
today. 

あなたはもう英語が話せる!

先ほどもお伝えしましたように、日本人は「正しい英語」「ちゃんとした英語」を使おうとしてしまいがちです。その結果として、「知らない」「話せない」「できない」・・・といった「無いモノゴト」に目を向けてしまう人が多いのです。

しかし、そうやって「否定」をしていては、堂々と英語を使うことはできませんし、いつまでも自信を持てなくなってしまいます。

大切なのは、「英語は結構知っている」「それなりに知識がある」「なんとかコミュニケーションが取れる」などと肯定的に捉えることであり、「既にある自分の力」をきちんと認めることなのです。そのように考えることで初めて、「今ある英語力をどう生かしていこう」という視点に立てます(英語力を「高める」のは、その後のお話なのです)。

ところが、「自分は英語が話せる/できるかどうか」という判断を「相対的」な形で、つまり他人と比べて行なってしまう人が少なくありません。

こんなレベルで『英語が話せる』だなんて、とてもじゃないが言えない

ほかにもっと英語ができる人がいるのに、こんな英語力では恥ずかしい

そうやって無意識に他人と比べてしまい、「ちゃんとした英語が上手に話せる」だけの力を身に付けるまで「自分は英語ができる」と認められないのが、多くの日本人に共通する悪いクセ。自分がどれだけの英単語を知っていて、どれだけたくさんの英語の知識があるのかは、「絶対的」に評価すべきなのです。

あなたは、日本語と英語以外の言語で名乗ったり、挨拶をしたりできますか?例えばベトナム語で、年齢を言ったり、住んでいる場所を伝えたり、好きなスポーツなどを表現したりできますか?

ほとんどの方ができないでしょう。私もできません。それは、ベトナム語の力がほとんどゼロだということです。外国語ではそれが普通であり、単語をほとんど何も知りません。そこを基準にして英語力を捉え直してみてください。

あなたの英語力は、相当高いです。もちろん、上を目指せばもっともっと上が存在しますが、今それは関係ありません。ほかの外国語だと言えないたくさんのことが、英語なら表現できるだけの、すごい力を持っているのです。その力を生かさないままにしていることは、「宝の持ち腐れ」以外の何ものでもなく、非常にもったいない損失だと言えます。

まずはその絶対的な事実を、ぜひしっかりと認識してください。そしてその英語力を、「足りない」と誤解して高めようとする、つまり英語を学ぼうとしてしまうのではなく、まずは今の力のまま、少しずつでも発揮してみてください。

あなたは既に、英語が話せます。つたない英語でも、文法や語法が少しくらい間違っていても、何の問題もありません。英語でコミュニケーションを取ることを邪魔しているのは、日本人流の「完璧主義」「減点主義」に過ぎないのです――。

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西澤ロイ

西澤ロイ イングリッシュ・ドクター TM。英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。獨協大学英語学科卒業。TOEIC満点(990点)、英検4級。アメリカのジョージア州に1年間の留学経験あり。「英語感覚」や「英語の考え方」を分かりやすく日本語で伝えるスキルには定評があり、「長年の疑問がすっきり解消した!」「そんなふうに英語を捉えたことがなかった」「目からウロコ!」という多くの感動や喜びの声が寄せられている。著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計10冊で累計15万部を突破。メディア出演多数。「西澤ロイの頑張らない英語」の他、コミュニティFMにてレギュラーを2本オンエア中。
公式HP:http://english-doctor.co.jp/
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/990english