social justice、makeover、luck・・・有識者が選んだ2020年を表す英単語・フレーズとは!?

social justice、makeover、luck・・・有識者が選んだ2020年を表す英単語・フレーズとは!?

2020年の流行語大賞に「3密」が選ばれました。皆さんの1年を表す単語は何でしょうか?本記事では、ENGLISH JOURNAL、ENGLISH JOURNAL ONLINEでお世話になっている有識者の方々に選んでもらった2020年を表す英単語やフレーズをご紹介します。

有識者が選ぶ2020年を表す英単語・英語フレーズ

luck

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、TOEICの受験に定員制が導入されました。抽選により受験の可否が決定されるという、コロナ禍以前には想像できないことです。TOEICスコアを上げるために、英語力だけでなく「運」が必要な1年でした。

西田 大(静岡英語教室「英語屋」代表)

WFH/PPE/CDC

「在宅勤務」を意味するworking from home、「個人用防具」を意味するpersonal protective [protection] equipment、「疾病対策センター」を意味するCenters for Disease Control and Preventionの略語で、いずれも新型コロナウイルスの時代に最も頻繁に目にするものを選びました。

杉田 敏(NHKラジオ「実践ビジネス英語」講師、昭和女子大学客員教授)

they

LGBTQへの理解が進む中、ノンバイナリーな人に対してheやsheに代わって「they」を使う動きが広まっています。例えば、ノンバイナリーの友人を紹介するとき、This is my friend, Terry. I met them at work. などと言います。2015年末にアメリカの大手辞書出版社がこの語をWord of the Yearに選んでいますので、厳密には2020年を代表する単語とは言えませんが、社会変化の影響が、言語の骨格を成す文法にまで及んでいる興味深い例でしたので、挙げさせていただきました。

寺澤 盾(東京大学教授)

social justice

春からBlack Lives Matter に象徴される黒人の差別に反対する運動が注目を集め、それがLGBTQ差別に対するデモなどほかの運動にも波及し、「社会正義」を求める活動が世界的に広がりました。また、個人的に大きな衝撃だったのは、アメリカ最高裁判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグの死去です。キャリアを通して社会正義の問題に鋭く切り込むことで、男女間の格差是正に大きく貢献したギンズバーグ判事は、私の憧れでした。興味がある方は映画『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)をどうぞ。

関根マイク(会議通訳者・翻訳者)

social distancing

他人と物理的な距離を空けることを日本語では「ソーシャルディスタンス」と言いますが、英語では-ingを付け、practice social distancing(距離を取ることを実践する)という表現がよく使われます。要するに、英語ではもともとが動詞だという意識があるわけで、英語学習者としてはこういった細かい使い方までもしっかりと押さえておくべき……という大事な教訓も一緒に学べる言葉です。

西澤ロイ(イングリッシュ・ドクター)

unprecedented/quarantine/postponement

まず、unprecedentedがパッと頭に思い浮かびました。世界の「前代未聞の」状況はオンゴーイングなので、2021年以降もしばらくさまざまな場面で使われる単語になると予想します。少なからず海外と行き来のある生活をしているので、「隔離」は2020年になっていきなり日常化した単語です。オリンピックの「延期」も、2020年を語る上では外せないです。3つの単語に共通する理由としては、2019年までほとんど使わなかったのに、2020年になっていきなり日常語になった、ということです。

川合亮平(通訳者)

Black Lives Matter

2020年5月に起こった白人警官による黒人男性暴行死事件を巡る抗議運動が、史上最大規模に膨れ上がっています。そのスローガンであり、運動の名称でもあるため選びました。今回、人種差別反対デモが問題視している、警察の過剰で暴力的な取り締まりは、アメリカ社会の中にsystemic racism(システミック・レイシズム、刷り込まれてしまった人種差別主義)が消えてはいないことを意味しています。

前嶋和弘(上智大学教授)

BLM

コロナ禍の1年でしたが、後から振り返ればCOVID-19 でもなくsocial distancingでもなく「Black Lives Matter」こそ2020年の鍵言葉だったということになれば、という願望から選びました。

柴田元幸(翻訳家)

makeover

自分の力ではどうにもならない大きな変革が起きた1年でした。でも、「どうにもならないこと」はどうにもならないので、今までの自分が「やらなかったこと」、でも「その気になれば自分でできること」「やってみたかったけれどもやってこなかったこと」をいくつか始めることができた年でした。makeoverには「改革」「変革」などの意味があります。2020年に手に入れたmakeoverを糧に、2021年はさらに飛躍できるよう精進する次第です。

濵﨑潤之輔(大学・企業研修講師、書籍編集者)

hybrid

「ハイブリッド」という言葉を聞けば、多くの人はガソリンと電気の2つの動力源を備えて走る自動車を思い浮かべるでしょう。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、学校での授業の在り方が変化した中、「ハイブリッド」という言葉は「オンラインと対面型の両方を組み合わせた授業」という意味としても使われ始めました。学校教育に多様性を求められる時代、言葉も時流に乗り柔軟に変化しつつあります。

春原陽子(テンプル大学ジャパンキャンパス生涯教育プログラム 日本美術講師)

Brexit

2020年のイギリスは、「ブレグジット」で明けた年でした。ロンドンに暮らし始めたとき、「私はイギリスではなくて『ヨーロッパ』に来たんだ」と強く思ったことが忘れられません。イギリスに住みながら、EU諸国との近さに驚いたからです。選挙権がない「ガイジン」の私ですが、ブレグジットの行く末と、国民投票がもたらした社会の分断を見つめています。

宮田華子(在英ライター・エッセイスト)

online

コロナ禍で生活様式が一変し、「オンライン」サービスの利用が激増しました。自粛期間中、仕事は自宅から遠隔で行い、ビデオ会議システムに接続したリアルタイムの授業や、オンラインサービス(Google ClassroomやOffice 365)を活用した課題管理など、初めての経験となりました。買い物はオンラインに切り替え、友人とのやりとりもオンラインになりました。外出しなくていい便利さはあるものの、ITリテラシーや環境面で終始非常に苦労しました。

中村理恵(英語講師)

A good year

2020 was a good year for me. I closed my school for a few months due to the COVID-19 pandemic. That meant I had to quickly find new ways to teach and support my students remotely. I had to get out of my own comfort zone by trying new things. Yes, I’ve learned a lot from it.

恵比須大輔/Evine(株式会社evinet biz代表取締役)

“These things gotta happen every 10 years or so. Helps to get rid of the bad blood.”

新型コロナウイルスで僕の会社にも厳しい年でした。でも、だからこそ生き残るために策を考え、無駄を発見できた!リモートワークが可能だと気付いた企業にとって、通勤はその一つかもしれません。選んだフレーズは、『ゴッドファーザー』(1972)の中で初めて殺人に向かう若者に先輩が言ったセリフです。そこから抗争が始まるのですが「10年ほどで必ず起こる大掃除みたいなもの」のような訳だったと思います。きつい年でしたが、その前向きな姿勢を僕は学びたいな。

Kan Andrew Hashimoto(株式会社ジェイルハウス・ミュージック代表取締役)

dumpster fire

Literally this phrase refers to an actual fire occurring in a garbage dumpster. But it’s used to mean “an utterly calamitous or mismanaged situation or occurrence, a disaster.” That of course applies to the coronavirus, and to so many other things in this year where everything seemed to go completely haywire. So I thought it was an appropriate choice!

Rochelle Kopp(Managing Principal, Japan Intercultural Consulting)

-demic

新型コロナウイルスは当初、epidemic(特定地域での感染症流行)とされていましたが、3月にWHOがpandemic(感染症の世界的大流行)と表明。不安や恐怖から真偽不明の情報がSNSで大量に拡散し(=infodemic)、同機関から注意喚起される事態に。冬には新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念され、twindemicという言葉も聞かれました。2020 年はCOVID-19による「-demic」が絶えない1年でした。

石原真弓(英語学習スタイリスト)

“The contemplation of things as they are without error or confusion, without substitution or imposture, is in itself a nobler thing than a whole harvest of invention”

「物事の“ありのまま” を熟考することは、何かを新たに発明したり創造したりするより高潔である」(フランシス・ベーコン、16世紀、イギリス哲学者)

These words resonated with me during my stay-at-home period in 2020. My favorite photographer, Dorothea Lange, pinned Bacon’s phrase on her studio wall. We are so preoccupied with advancement, development, progress, the future and in making something new that we never take the time to contemplate the present and appreciate what we already have. I interpreted Bacon’s words in this way as I had time to reflect on life and society through the COVID crisis.

宮本由紀(アート・エデュケーター)

「世界の新語・流行語」特集は『ENGLISH JOURNAL』1月号で!

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年1月号に掲載した記事を再編集したものです。