英語を学ぶのに遅過ぎることはない!自分の学習スタイルを見つけよう

英語を学ぶのに遅過ぎることはない!自分の学習スタイルを見つけよう

「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌ENGLISH JOURNAL(EJ)の動画連動企画「Lecture」。「人はどのように言語を学ぶのか」をテーマとしたレクチャーの最終回となる9月号は、「『国際共通語』としての英語を学ぶ意味」について言語学者の藤田 保さんに教えてもらいました。

言語学から見た「英語学習のヒント」をお教えします!

レクチャーの前半では、「言語学習における個人差」についてお話しし、英語学習のヒントとなる考え方をいくつかお教えします。後半では、グローバル化が進む中でよく耳にするようになってきた「World Englishes(世界の諸英語)」の概念と、国際共通語としての英語について説明します。

学習に日々励んでいる皆さんは、普段どのように英語を学んでいるでしょうか?「最近ちょっと伸び悩んでいる・・・」と言う人は、もしかしたらその学習スタイルがあなたに合っていないのかもしれません。学習において重要なのは、自分に最も合う学習スタイルを見つけることです。

ぜひ動画を見ながら、言語学習における個人差や英語学習のヒントなどについて学んでいきましょう!

1. 外国語を学ぶのは「若ければ若いほどいい」?(動画01:17~02:27)

The research findings say “yes and no.” As for the mastery of (the) phonological system, or pronunciation, researchers almost unanimously agree that the younger, the better. Most older learners inevitably have an accent when they speak the target language.

However, what about learning grammar or vocabulary? Let’s take a look at (an) example to [for] learning the past tense.

If you teach English to adults, you may simply tell them to put “-ed” at the end of the verb to express an action that happened in the past. Even if you list some examples, such as “talk — talked,” “express — expressed,” it will take only a few seconds to explain. But if you tell this to a 3-year-old, it doesn’t work as smoothly.

研究結果によると、その答えは、「イエスでもありノーでもある」です。音韻システム、つまり発音の熟達に関して言うと、研究者はほぼ全員一致で、若ければ若いほどいいと言います。年齢が上の学習者の大半は、目標とする言語を話すときに、どうしても(母語の)訛りが出てしまうのです。

しかし、文法や語彙を学ぶとなると、どうでしょうか?過去形を学ぶときの例を見てみましょう。

もし大人に英語を教えるのなら、過去に起こった行動を表現するには、動詞の最後に「ed」を付ける、と教えるだけで済むでしょう。例えば「talkならtalked」「expressならexpressed」などのようにいくつか例を挙げたとしても、説明するのにかかる時間はほんの数秒といったところでしょう。けれど、これを3歳の子どもに教えるとなると、これほどスムーズにはいきません。

「外国語を学ぶには若ければ若いほどいい、だから自分が始めるには遅過ぎる・・・」と諦めてしまっている人もいるのではないでしょうか?たしかに、会話や発音については子どもの頃から学習を始めることで上手に英語を話せるようになると言われています。しかし、文法の理解や語彙の暗記などについては、知識のある大人の方が子どもより効率よく学べることもあるそうです。そのように考えると、何歳になったとしても英語学習を始めるのに遅過ぎることはないと言えるでしょう。

2. 自分の学習スタイルを見つけよう(動画5:24~6:32)

Another difference in (the) cognitive style of learning identifies those who are “field independent” and those who are “field dependent.” “Field” in this case refer(s) to (the) context, and this distinction between the two is whether you separate details from the general background or you see things holistically. You can say a field-independent person is more analytical than (a) field-dependent person.

I have taught many students in the past, and student(s) who have[were] fieldindependent were very good at translating each sentence and analyzing the grammatical structures, but when they are[were] asked to summarize the whole text, they had trouble. In contrast, student(s) who are[were] fielddependent were quite skillful at grasping the gist of the reading but were not so sure about the grammatical details.

もう一つの学びの認知スタイルの違いとして、「場独立型」の人と「場依存型」の人を分けるものもあります。この場合の「場」とは文脈を指し、両者の違いは(物事の)あらましと細部を分けて考えるか、物事を全体として把握するかという点にあります。場独立型の人は場依存型の人より分析的だ、と言ってもいいでしょう。

私は過去に大勢の生徒を教えてきましたが、場独立型の生徒は一つ一つの文を訳したり、文法的構造を分析したりするのは非常に得意でしたが、文章の全体の内容を要約するように言われると、戸惑っていました。対照的に、場依存型の生徒は、読んだものの要点を極めて見事に把握するものの、文法的な細部はあまり理解できていませんでした。

学習者ごとにさまざまな学習スタイルがあります。例えばfield independent(場独立型)」の人とfield dependent(場依存型)という2つのタイプに分けられます。もしあなたが「場独立型」の学習者なら、英語を学ぶときには、文法の問題集に取り組み、精読やディクテーションをするといいでしょう。一方、もしあなたが「場依存型」の学習者なら、たくさん英語を読んだり聞いたり、外に出てできるだけ多くの人と英語でしゃべったりしてみる方がいいと言えます。

このように、自分の学習タイプを知り、自分に最も合う学習スタイルを見つけてみてください。ほかの人と比べるのではなく、自分自身のスタイルで続けることが最も重要です!

3. World Englishes(世界の諸英語)の3つのカテゴリー(動画9:51~11:20)

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インドの社会学者Braj Kachru(ブラジ・カチュル)は、1990年代に世界のさまざまな英語の重要性を主張しています。彼はこれらを「World Englishes(世界の諸英語)」と呼び、3つのカテゴリーに分類しました。

  1. Inner Circle(内円)―いわゆる英語を母語とする人々が暮らしている国。例:イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど。
  2. Outer Circle(外円)―英語が公用語、または第二言語とされているものの、日常生活の中ではそれとは違うその土地固有の言語すなわち現地語が使われる可能性がある国。例:インド、南アフリカ、シンガポールなど。
  3. Extended Circle(拡大円)―公的な場面でも日常でも現地語を使っているものの、貿易やその他のビジネスのために、外国語として英語を使っている国。例:日本、中国、韓国、ヨーロッパ、インドネシアなど。

Some statistics show that about 2.1 billion people speak English around the world. The number of people who speak English as a first language is (about) 330 million, which accounts for about 16 percent of all English speakers. The number of people who speak English as a second language is about 520 million, which is about 25 percent. And the rest, almost 60 percent of all English speakers, belong to the extended circle.

What does this mean? It means that when a Japanese businessperson use(s) English for business purposes, they are more likely to use it with people from (the) extended circle or the outer circle than the people from the inner
circle. In fact, many Japanese companies set up factories in Southeast Asian countries, but most of the communication is done in English rather than the local language there.

Thus, it is a common understanding that English no longer belong(s) to the inner circle country[countries] per se. English today is consider(ed) to be a common language or the lingua franca of the world.

いくつかの統計によると、世界で約21億人が英語を話しているそうです。英語を第一言語とする人の数は(約)3億3000万人で、これは、全英語話者の約16%に当たります。英語を第二言語として話す人の数は約5億2000万人で、全体の約25%です。そして残りの、全英語話者のほぼ60%は、拡大円に属する人々です。

これは、どういうことでしょうか。これはつまり、日本のビジネスパーソンが仕事で英語を使うとき、内円よりも、拡大円や外円に属する人を相手に使う方が多そうだ、ということです。実際、たくさんの日本企業が東南アジアの国々に工場を持っていますが、多くの場合、(そういった工場での)コミュニケーションは、その国の現地語ではなく英語でなされています。

ですから英語はそれ自体、もはや内円の国々のものではないというのが、共通の理解です。今や英語は共通言語、あるいは世界の国際共通語と捉えられています。

英語を学ぶとき、常に私たちは「内円」の人々、つまりネイティブの英語をモデルとしますが、そこを到達目標と見なす必要はありません。一生懸命に勉強してできる限り英語を磨こうとするのはいいことですが、私たち日本人が英語を使うのにネイティブスピーカーになる必要はないということです。

コミュニケーションを取る際に自分の英語を恥ずかしく思う必要なんてありませんし、ましてやほかの人の英語を見下すべきでもありません。自分の英語に自信を持って、世界の人たちとのコミュニケーションを楽しみながら、これからも英語を学んでいきましょう!

言語学にまつわる語句を要チェック!

「『国際共通語』としての英語を学ぶ意味」に関する英語レクチャーはいかがでしたか?動画の中で登場する、言語学にまつわる表現を下にまとめました。

    • acquisition:習得
    • lingua franca リンガフランカ、国際共通語 ★異なる母語を使う人たちの間で、意思疎通の手段として使われる言語。
    • pronunciation 発音
    • past tense 過去形 ★tenseは「時制」の意。
    • duration 継続期間
    • aural 聴覚の
    • concentrate on ~ ~に集中する、~に専念する
    • context 前後関係、文脈
    • summarize ~を要約する、~をまとめる
    • grasp ~を理解する、~を把握する
    • dictation 書き取り、ディクテーション
    • extensive reading 多読 ★extensiveは「広範囲にわたる」の意。
    • plural 複数、複数形
    • fluency 流暢さ
    • accuracy 正確さ

 

皆さんもぜひ、これらの語句を使って「言語学」について人と話したり、説明したりできるようになりましょう!

この動画の全スクリプトと和訳はENGLISH JOURNAL 9月号で!

動画での学習は、視覚情報を伴い、英語でどんな内容を話しているかをより理解しやすくなるため、初級者の方にもおすすめです。レクチャー動画を実際に見ながら、「言語学」についてぜひ英語で学んでみてください!

英語レクチャーが充実! EJオリジナル動画はこちら

ENGLISH JOURNAL の連載「Lecture」ではこれまで、ロッシェル・カップさん(経営コンサルタント)に「英語での働き方」、ギャヴィン・ブレアさん(ジャーナリスト)に「Brexit問題」、ソンヤ・デールさんに「ジェンダー/LGBT」、勝又泰洋さんに「神話」、フー・ユィーングさんに「身近な医学」についてレクチャーしていただきました。ぜひこちらも併せてお楽しみください!

藤田 保(ふじた・たもつ)
東京生まれ。言語学者。日本全国で幼稚園、小学校、中・高、大学とあらゆる校種の英語教育やバイリンガル教育に関わり、文部科学省や東京都教育委員会等で各種委員を歴任。現在、上智大学言語教育研究センター教授、副センター長を務める。

写真・動画:田村 充
構成・文:須藤瑠美(ENGLISH JOURNAL編集部)