「過去最低」は英語でなんて言う?日本の世界競争力が34位に転落

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

日本の世界競争力低下が叫ばれて久しいですが、今回のニュースは、スイスの有力ビジネススクールIMDが発表した2020年の世界競争力ランキングで、日本が34位と過去最低のランキングになったというニュースです。

Japan is a record low of 34th in competitiveness, Hong Kong also falls日本の競争力34位、過去最低に 香港も後退
2020年6月30日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。いったい、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

Why have less people been traveling to Hong Kong?

(A) Protests caused by the novel coronavirus stunted tourism .
(B) Visitors are no longer able to express their political views.
(C) Tourism was negatively impacted by the occurrence of political protests.

正解は、この記事の最後に掲載しています。

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

Japan is a record low of 34th in competitiveness, Hong Kong also falls

In the 2020 World Competitiveness Ranking announced by leading Swiss business school IMD on the 16th, Hong Kong, which was shaken by China’s strengthening of control , came in 5th place , pulling back from 2nd place in 2019. The US and China, which are in conflict regarding trade issues, both fell in the ranking, and Japan reached a new record low of 34th.

The survey covers 63 countries and regions. It is calculated based on statistical data from governments and the World Bank, and questionnaire surveys directed at business operators.

Singapore was in first place for the second consecutive year. They were positively evaluated for their sound finances, employment, and the high productivity of companies. Due to the US-China trade war, the US moved from 3rd place last year to 10th place this year. China also dropped six places to 20th place .

Hong Kong is facing a situation , including the intent to enact the National Security Law that prohibits anti- regime activities, in which the “one country, two systems” policy becomes a mere shadow of its former self. The number of tourists from mainland China and other countries has also plummeted due to the effects of the massive , prolonged anti-government demonstrations in 2019.

Business conditions have deteriorated rapidly, including sales of expensive brand name goods and the hotel industry. The Trump administration is reassessing the tariffs and travel incentives it has provided to Hong Kong, and its status as a financial center in Asia, which has attracted many wealthy people and investors from all over the world, is in jeopardy.

翻訳

日本の競争力34位、過去最低に 香港も後退

スイスの有力ビジネススクールIMDが16日発表した2020年版世界競争力ランキングで、中国の統制 強化 に揺れる香港が5位となり、19年の2位から後退した。通商問題を中心に対立する米中も順位を落とし、日本は34位と過去最低を 更新 した。

調査対象は63カ国・地域。各国政府や世界銀行の統計データと、経営者への アンケート 調査を基に算出した。

1位は2年連続でシンガポール。健全な財政や雇用、企業の高い生産性などが評価されている。米中貿易戦争の 影響 で、米国は前年の3位から10位に後退した。中国も20位へと6つ順位を落とした。

香港は反 体制 活動を禁じる国家安全法の制定 方針 など「一国二制度」の形骸化に直面する。19年に大規模、長期化した反政府デモの 影響 で、中国本土やそれ以外からの観光客も激減した。

高額なブランド品の販売やホテル業界などの景況は急速に悪化した。トランプ米政権は香港に提供してきた関税や渡航面の優遇措置を見直す構えで、世界から多くの富裕層や投資家を引き付けてきたアジアの金融センターとしての地位が危うくなっている。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。

  • strengthening of control : 統制 強化
  • in conflict :対立して
  • record low:史上最低値
  • questionnaire surveys: アンケート 調査
  • consecutive :連続した
  • sound:健全な
  • enact:制定する
  • anti- regime activities:反 体制 活動
  • plummeted:激減する
  • deteriorated:悪化する
  • reassessing:見直す
  • tariff :関税
  • incentive :優遇措置、誘因
  • jeopardy:危険

ニュースのポイント

見出しから見ていきましょう。a record low of 34thというのは、34位が過去最低の値だということを表しています。

第1段落のstrengtheningは次に続く名詞との間にofという前置詞があるため、動名詞ではなく「 強化 」という意味の名詞です。その後のpulling back from 2nd place in 2019は香港が5位になったことを補足説明する働きですね。 「5位になる」を表すcame in 5th place という表現にも注目 しましょう。次の文の regarding は「~ に関して 」という意味の前置詞です。

第2段落では、ランキングの範囲や計算方法などの追加情報が述べられています。

第3段落の was in first place という表現も順位を表します 。同じ段落の最後にある dropped six places to 20th place は、順位を6位落として20位になったという意味 ですね。

第4段落以降は香港についての詳細。Hong Kong is facing a situation , including the intent to enact the National Security Law that prohibits anti- regime activities, in which the “one country, two systems” policy becomes a mere shadow of its former self.という文では、a situation に2種類の説明が続いています。つまり「国家安全法を制定しようという意図」という具体例と関係詞節による説明ですね。 shadowは「実体のないもの」 という感じでしょうか。

第5段落のits status as a financial center in Asia, which has attracted many wealthy people and investors from all over the world, is in jeopardy.は主語its status に対する説明が長いですが、関係詞節の前後のイントネーションでis in jeopardy.が文の述部だとわかります。

今週のキーワード

plummet急落する
急激な現象を表す動詞で、似た意味の plunge とともにニュースや記事ではかなり頻出の単語です。他にもdiveや tumble など、急落を意味する表現は多いですね。逆の意味のsurge、 soar 、jump、leapなども頻繁に用いられます。

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いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!

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ニュース解説:天満嗣雄(てんまひでお)

中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『TOEICR L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1・2』『TOEIC L&Rテスト 「直前」模試3回分』(いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

記事中画像: PexelsPixabay

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